名称
アグラト・バト・マラトとは「マラトの娘アグラト」を意味する。日本語表記としては他に「アグラト・バト・マーラト」「アグラット・バット・マハラト」等がある。
ヘブライ語関連の語句のうちアルファベットで「ah」と転写される部分について、日本語表記では伸ばさずに止められる事も多い(例えばイザヤ(Isaiah)等)。
後述のNaamahは聖書においては人名として使われており、日本語訳聖書では「ナアマ」となっている。
娘を意味するbatも、ユダヤ人女性名を語る文章で「バット」と表記する例も見られるが、聖書和訳では「バト・シェバ(シェバの娘、誓いの娘)」という表記も使われている。
というわけで、この「アグラト・バト・マラト」という記事名も聖書に直接記載は無いながらもヘブライの世界観に連なる超常的存在の名称の日本語表記として問題はなかろうと思われる。
概要
『ゾーハル』に基づくカバラによると、彼女はリリスやナアマ(Naamah)に続く、堕天使サマエルの三人目の妻であり、四人目の妻としてエイシェト・ゼヌニム(Eisheth Zenunim)を加える事もある。
ラファエル・パタイ著『ヘブライの女神(The Hebrew Goddess)』(1967年にウェイン州立大学出版局より刊行)で引用された伝説によると、マラトはイグラティエル(Igrathiel)という天使と交わって彼女を産んだという。マラトはその後『創世記』に登場するアブラハムの孫エサウの妻になったという(つまりアグラトはアダムの最初の妻という伝承もあるリリスより年下、という事になる)。
同書はまた彼女がリリスと共に娼婦のふりをしてソロモン王を訪問したが、ソロモンが交流した他の精霊たちと共にジーニーのランプめいた容器に閉じ込められて死海の洞窟に放置され、その後アグラトが入った容器が、ソロモンの息子ダビデに見つけられ、彼と解放された彼女との間にアスモデウスが生まれた、というエピソードを伝えている。
『ユダヤ百科事典』の悪魔学(DEMONOLOGY)の箇所によると、4世紀から5世紀にかけてのバビロニアのラビであるアメマーに魔術の秘密を伝えた「女妖術師達の女主人(the mistress of the sorceresses)」だという。
後世の作品において
シリーズ24でラインナップされる。シリーズ3で登場した「リリス」が種族的には吸血鬼である(死亡日時も記載される)のに対し、アグラト・バト・マーラトはガチで悪魔という設定。
ゴールドのラインが入った赤い上着と黒いスカートをまとい、5つの墓標めいた飾りのあるブロンズ色の冠を被っている。
ダークイレギュラーズ所属のヴァンガードユニット「偽りの闇翼アグラト・バト・マラト」として登場。種族はサキュバス。
表記は「アグラット・バット・マハラット」。互いに戦わせるために歴史上の女傑たちを呼び寄せた悪魔の女王として登場。
「リリス」と古代メソポタミア伝承の「リリートゥ」が部下の名前として登場している。
リリスをリーダーにした悪魔集団「カディシュトゥ」の一員として登場。