概要
cv:塩屋翼
ゴールデンバウム朝銀河帝国に仕える貴族のひとり。伯爵の門地をもつ。
門閥貴族のひとりでありながら、選民思想に囚われておらず、フレーゲル男爵の部下であったレオポルド・シューマッハ大佐にも対等な同志として屈託なく語りかける温和な人柄でもあり、基本的に育ちの良さから来る善良な人物と描写される。
ラインハルト・フォン・ローエングラムとも面識があるが、基本的に邪気のない人物であるためか、ラインハルトは「悪意の類を向けられたことはない」と、決して悪い感情を持ってはいなかった。
また、文学青年としての一面があり「詩」や「小説」を書く事を好んでいた。貴族連合軍に加担したのもラインハルトを憎悪したからではなく、純粋に帝国のためを思っての行動であり、それがゴールデンバウム朝に仕える貴族の義務と思ったからであった。
それゆえに、貴族連合軍が敗れ、惑星フェザーンに逃れたのちも、ラインハルトを憎むことはなく、皇帝・エルヴィン・ヨーゼフ2世の誘拐と自由惑星同盟への亡命も、彼にとっては「ゴールデンバウム朝」に対する忠義に他ならなかった。(ヒルダ曰く、行動的ロマンチスト)
惑星ハイネセンにおいて「銀河帝国正統政府」が樹立した後、内閣を主導するレムシャイド伯に軍務次官に任ぜられるが、正統政府自体が実態として権限を伴った存在ではなかったため、全くの無意味であった。正統政府の瓦解後、シューマッハと共にエルヴィン・ヨーゼフ2世をつれて逃亡。2年後に、ミイラ化した子供の遺体とエルヴィン・ヨーゼフ2世の末路を書いた書物とともに憲兵隊に逮捕、一旦は遺体は皇帝のものとされた。彼自身は狂気の兆候不明が見られるとして、精神病院に収監されており、以降は不明。
その後、シューマッハ大佐も逮捕され、「皇帝はランズベルク伯の束縛から逃げ、今どこにいるかわからない」と証言。結果的に「皇帝の末路」を書いた書物は彼の妄想が生み出した「創作物」に過ぎなかった事が判明する。仔細は不明ながら当時の帝国の治安関係者達を完璧に騙しきった程の代物で、ランズベルク伯にとって最高の創作物となった(ランズベルクの発狂も皇帝の逃走によるものと思われる)。
善良な人物ではあり、かなりのロマンチストで皇帝誘拐も奸臣の魔の手から救う為の行動であると信じて疑わなかった。ただし、そうした性格をローエングラム陣営に見抜かれており、アンネローゼに手を出す真似をしない事も予測されてしまい、皇帝誘拐も敢えて成功させた上で政略に利用されてしまった。
彼はラインハルトへの敵意を示した事は無かったため、ラインハルトも敵意を向けてこそいなかったが、同時にランズベルクを指し示す際には名前で呼ぶことはなく、「へぼ詩人」と軽視していた。しかし、ラインハルトには芸術方面の才や知識が乏しく、彼の作品を正確に批評するだけの知識と見識は持っていない。ゴールデンバウム王朝の貴族サロンではランズベルクの詩はそれなりの好評を得ていたとされているため、この辺りはラインハルトの偏見の度合いが強いと思われる。
ただし、フェザーンに亡命した際にはリップシュタット戦役に関する貴族側の視点を出版社に持ち込んだが、編集者からは「文章には美点があるが、主観的かつ不正確なので、冷静に客観的に書いて欲しい」と装飾華美すぎると手厳しい評価を受けている。なお、この件はランズベルク自身も結構なショックだった模様。
創作の能力に反して彼自身には軍事的な才覚と知識は乏しかった。リップシュタット戦役序盤ではシュターデンが提案した「帝都オーディンを強襲し、皇帝を貴族連合軍が擁し奉る」という純軍事的には有益、内部統制と政治的な問題で実行不可な作戦を大声で褒め称えてしまい、貴族連合の偽りの結束にいきなり亀裂を作る原因を作ってしまった。
Die Neue Theseではなぜかふくよかな体系の男性として登場しており、ラインハルトの貴族全体を侮蔑した挑発的な内容に顔を憤怒の表情を露わにする場面もあったが、内容や展開は小説版と同様に推移。
藤崎竜版のコミカライズではOVA版同様に細い体格をした若者として登場しており、OVA版以上に邪気の無さそうな青年として描かれている。
皇帝誘拐に参加したのもレムシャイド伯爵に賛同した事を誘拐の同志であるベーネミュンデやシューマッハに語っている。しかし、本作での誘拐の場面はエルヴィン・ヨーゼフ2世の反撃で負傷しながらも彼とゴールデンバウム王朝への揺るぎない忠誠を示し、彼の心を開かせる事に成功したベーネミュンデが目立っており、出番が少なくなってしまっている。