概要
19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランスを中心にヨーロッパで流行した美術様式。その影響はアメリカや日本にも及んだ。
アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)はフランス語で、英語圏では「モダン・スタイル」、ドイツ語圏なら「ユーゲントシュティール」と呼ばれる。いずれも直訳すれば「新芸術」となる。
装飾過剰の様式がスピード・効率重視の時流にそぐわなかったため、第一次世界大戦を境に、アール・デコに急速にとってかわられる。一時は過去の奇怪な様式とみなされたが、1970年代から再評価された。
特徴
アール・ヌーヴォーに属する制作物は工芸・工業製品や建築など多岐にわたるが、特にイラストで顕著な特徴は以下の通り。
- 流れるような曲線の多用
- はっきりした輪郭線で区切られた、いわゆる「アニメ塗り」に近い着色
- ヨーロッパで主流だった動物(哺乳類・鳥類中心)モチーフのみでなく、植物・昆虫などのモチーフの多用
- 人物を中心に据え、装飾的な枠で囲った構図
上記の特徴は浮世絵その他の海外美術・工芸の影響を受けたものであり、同様に浮世絵の影響を受けた同時代の印象派絵画とともに、日本人好みの要素が多い。
ファンタジックで、漫画・アニメ的なモチーフとも相性が良いからか、日本の漫画調イラストにおいても西洋美術史的な表現のうちで特に人気が高い。
関連イラスト
表記揺れ
関連タグ
ミュシャ(アール・ヌーヴォーを代表するイラストレーター)
エミール・ガレ(アール・ヌーヴォーを代表するガラス工芸家)