概要
いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収めるとともに、モチーフの形態に極端な単純化・抽象化を施す平面美術の技法。
キュビスム的な技法を使ったアートは現代でも多く見られるが、典型的なキュビスム絵画は1910年代から1920年代に流行した。日本では戦前にはそれほど流行らず、むしろ第二次世界大戦後の1950年代に流行している。
パブロ・ピカソが1907年に制作した『アヴィニョンの娘たち』がこれの草分けと言われ、ピカソがジョルジュ・ブラックとの共同作業の中で発展させた技法である。複数視点に基づく画法はポール・セザンヌの作風に学んだもので、モチーフの変形・単純化はピカソがアフリカ美術からインスピレーションを得たものと言われる。
なお、複数視点に基づく画法は伝統的な西洋美術の一点透視図法を否定したものだが、複数視点による構図自体は古代エジプトの芸術作品や日本の浮世絵をはじめ洋の東西を問わず多くある(むしろ一点透視図法にこだわるルネサンス以降の西洋美術の方が美術史的には特殊なのである)。
現代では複数視点による絵画は現代アートはもとより海外コミックや海外のイラストレーターの作品などでも普通にみられ、日本のアニメや漫画に至っては一点透視図法にこだわるクリエイター(今敏など)の方が少ない。
名称
ブラックの作品を見た評論家ルイ・ヴォークセルが「形を立方体に還元している」、画家マティスが「小さな立方体の集まりのようだ」と評したことによって「キュビスム」と通称されるようになった。パブロ・ピカソはこの方法を用いた絵を一部の友人に見せたが反応が悪く、腹を立てた友人には酷い言われようだったようだ。
英語表記すればCubism(キュビズム)。キューブ(立方体)と同語源である。日本語では「立体派」と翻訳されるが、字義的には「立方体派」であり、訳語として不適切である。
キュビスムの作品を手がけた作家
キュビスムの影響を強く受けたアーティストは次のような人物がいる(創始者のブラックとピカソを除く)。このうち何人かはキュビスムの作家には入れられないこともある。
関連イラスト
関連タグ
ミッキーマウス 鉄腕アトム 骨川スネ夫 孫悟空(ドラゴンボール)...イラストをそのまま立体化すると髪型などに矛盾が生じるキャラクター。
野原しんのすけ...正面の笑顔が存在しない。