概要
2002年12月5日に広美から発売されたXbox專用のシミュレーションRPG。正式名称は『Innocent Tears』（イノセントティアーズ）
キャラクターデザイン・3Dキャラ監修は漫画家のうたたねひろゆき氏、原画は山内則康氏が担当。
キャッチコピーは「純白の使徒…それは天からの恐怖。」
崩壊した東京を舞台に、堕天使と天使と人間の戦いを描いたダークファンタジー。本来、善や正義とされる天使が人間を喰う悪役で、堕天使が人間を守るために戦うという、独特の設定になっている。
ちなみに天使と堕天使の区別は、天使の翼は純白色、堕天使の翼は赤い色…と外見で判別されている。
天使に覚醒した人間は、人間を喰うようになり、心の奥底に持つ気持ちや欲望や悪意が表面化してしまう。天使化した後、かがりや雪子やクロードは持ち前の性格が悪化している。しかし、人喰いに関しては、サラのように人喰いではない天使もいたり、晴明に注意された葵が人間を喰わないと約束したことから、人喰いするかしないかは本人の意志で制御できるようである。
当初はドリームキャストで発売予定だった。製作過程において色々あったようで、うたたねひろゆき氏は自身が発行した同人誌「ANGEL DUST」（イノセントティアーズの設定集）では、「僕の名前を出さないでほしい」等コメントしていたほか、元AGE社員のAndy山本によると、大正野球娘。の作者が、この騒動に関与していたという。
登場人物
CV：野島健児
主人公。東京の吉祥寺の学校に通う18歳の高校生。堕天使。本人は気づいていないが、堕天使の中で最も強力な力を持つ。また、陰陽道や居合術に優れている。人一倍正義感が強く（本人はあえてそれを露骨に表すことはないが）、面倒見のいい青年。
都市崩壊後、人間を喰う天使を憎んで退治をするかたわら、行方不明になったかがりを探している。その過程で、天使たちの陰謀を知ることになる。天使に覚醒したかがりの悪質ともいえる言動に苦悩する。
実は東京が崩壊したのは、晴明が自分の力をコントロールできなかったことが原因である。晴明自身、そのことには気づいていたが、仕方ないと前向き思考で割り切っている。
エンディングで、意識不明状態のかがりを見つけるが、「ここでかがりを殺しても何にもならない。かがりが気がつくまで………待つ。かがりは、自分の犯した罪の重さを知る必要がある。いつになるかわからないが………」と語り、かがり自身が自分の犯した罪の重さに気づく日が来ることを信じて、あえて命を奪わず、これから更生するであろうかがりに寄り添おうとするなど、一途さを見せていた。
CV：井上喜久子
本作のヒロイン。天使で、人間の頃は晴明の恋人だった。年齢は18歳。天使たちのリーダー的存在。天使に覚醒した後、晴明の前から姿を消した。
人間だった頃のかがりは元気で自由奔放な性格で、本人はそれと意識せずに晴明や優美を困らせることもあった。天使として覚醒してからは、自由奔放な性格は性悪ともいえる小悪魔的性格へと変わり、晴明への愛情表現は「晴明を殺して食べてあげたい」という形に変わった。天使に覚醒する前、海水浴に来たときに打ち上げられた死体が片付けられる前に見に行こうと晴明を誘うなど、サイコパスな面も見せていたが、それが天使化していた影響か本来のものかは不明。
晴明が自分を探していることを知っているが、かがり自身は鬼ごっこをしている感覚で「何やってんの、晴明？ あたしを追いかけてくれてるんじゃなかったの？」と状況を楽しんでいる。優美の晴明への気持ちも気づいてはいるが、自分と晴明の関係に自信を持っているため、なんとも思ってなく、天使化した後は、むしろそれをちらつかせて優美をからかうなど、悪質な面も見せていた。さらに使用武器はムチという女王様的気質も備えている。
上記の迷惑かつサイコパスなキャラ設定から、二度と会いたくないヒロインと言われて嫌われたり、それに加えて、九条サラが公式イラストでメインに描かれたり立体化までされたため、サラが本作のヒロインとして認識されている。
CV：大本眞基子
堕天使。晴明の幼馴染。22歳の大学生で眼鏡をかけている。貞操観念の強い真面目な性格。美樹に弟に人殺しをさせておいていいのかと諭すなど、作中では常識人ポジション。
かがりのことで心を痛める晴明を支えようとする。幼い頃、一緒にお風呂に入ったりした晴明を異性として意識しており、今でも密かに想いを寄せている。恋人のかがりに遠慮して、あくまで晴明とは幼馴染の立場をとっているが、かがりには恋心を見透かされていて、天使化したかがりにそのことを指摘されてからかわれていた。
CV：緒方恵美
堕天使。晴明の弟。優等生的な性格の持ち主で、理屈っぽいところがあるが正義感の強い少年。
九条サラとは相思相愛で恋人同士。サラがクロードのスパイと知っても、サラに対する気持ちは変わらなかった。兄（晴明）がサイコパスな恋人（かがり）に振り回されている一方で、メイド少女（サラ）との純愛を見せつけたうらやましい少年。
CV：岡田純子
19歳の天使。天使だが人喰いではない。クロードのメイドだったが、クロードの企みで近づいた神楽慧を本気で愛してしまい、慧を騙したことに悩む。クロードに狙われた慧を守ろうとした際に純白の翼が漆黒の異形な翼になり、漆黒の翼を見たクロードから醜いと嫌悪されて捨てられた。以降、慧と共にクロードの計画を阻止すべく戦う。
慧を愛して献身的に尽くす健気で淑やかな性格だが、怒ると相手を殺すなど過激な面も持っている（慧もそのことは知っていて、サラが怒ろうとすると慧が待ったをかけていた）。
クロードから『女の武器を使って慧と付き合え』と命令されて、大鎌等の武器を選んで「武器を使って、男の子と付き合うって、なにかしら？」と悩んだりするなど、性的なことに関しては知識がなく天然。可憐な容姿だが、「誰か来たみたい。クロード様のさしがねかしら………ちょっと行って殺してくるっ」とすごい来客対応をしたり、戦闘では大鎌を振り回して戦うすごいメイド。
うたたねひろゆき氏によるイラストは大人っぽいデザインだが、山内則康氏による作画は幼い印象を受けるイラストで描かれていて、可憐な声と一途な性格でありながら、戦闘では大鎌を振り回して戦うなどの数々のギャップが萌えなメイド少女。その愛らしいデザインと性格設定から、公式イラストではメインで描かれたり、ガレージキットが発売されているなど、かがりではなくサラが本作のヒロインとして扱われている様子。
CV：伊藤健太郎
18歳のロックシンガー。堕天使。ヴォーカルの修行として、声にいい中国武術に精を出して達人になった精悍な青年。かがりは史郎の熱烈なファンで「史郎ちゃん」と呼んでいる。
姉雪子とは仲がよかったが、恋人美奈子を天使化した雪子に殺されてからは、償いをさせるために雪子を探している。亡くなる直前の雪子が正気に戻ったときは、雪子を助けられないかと優美に訴えるなど、あくまで嫌っているのは天使化した雪子であり、元々の雪子は大事に思っている。雪子を看取った後は、晴明につきあって最後まで一緒に戦った。
CV：富沢美智恵
天使。史郎の姉。24歳のOL。物静かで心優しい博愛主義者。重度のブラコンで、史郎を異性として意識している。友人が少ないのもそれが原因で、アフター5には会社の同僚と遊びに行くよりも、史郎との時間を優先する。史郎は雪子がそこまでブラコンとは思ってなかったが、自分のことを応援してくれている姉を慕っていて、姉弟仲はとてもよかった。
天使化してからは、史郎への愛が暴走して、史郎の恋人美奈子を殺害してしまい、そのことで史郎と対立する。動物と仲良しで、犬や猫を手なずけて怪物化させて襲わせる力を持つ。史郎を殺すことで自分だけのものにしようと晴明たちの前に立ちはだかる。倒されたことで、自分が殺してしまった美奈子に詫びるなど、本来の心優しい性格に戻り、史郎に看取られて亡くなった。
CV：南央美
友達は砂姫だけという11歳の小学生。真面目で内向的な少女。成績も優秀。砂姫との友情を非常に大切にしている。砂姫が好きな男の子（拓也）に渡してほしいと頼まれたラブレターを、嘘をついて渡さないなどして、砂姫をひとりじめしようとしていた（葵自身はそのことについて罪悪感を感じていて砂姫ちゃんに謝らないと…と思っていた）。天使化した今は、彼女との関係を引き裂こうとする相手には殺意さえ抱く。最初は天使だということを隠していた。やがて天使だと判明して、砂姫を守ろうとする気持ちが暴走して、晴明たちとも対峙したが倒される。晴明から「砂姫と仲良くしたかったらいま言ったこと守れ（腹が減ったら人間以外（野菜や牛や豚や魚）を食べること）」と、絶対に人を喰うなと言われたために、人喰いはしないと約束した。
CV：前田愛
晴明の近所に住む11歳の小学生。堕天使。生意気口調でアダルトなことを言って、晴明によくげんこつを食らっている。いじめられやすい葵をかばう心優しい性格。葵が天使と判明した後も、葵をかばうなど友達思い。天使との戦いにも参加するが、転んだり、尻もちをついたりしてばかりしている。
CV：磯部弘
殺し屋で天使。空手の達人で精悍な男性。自分が強くなることと、強い相手と戦うこと以外には興味がない。しかし、自らが強者であると自覚し、強い女性への敬意や、弱者を守るなどの信念を持ち合わせている。しかし晴明たちと戦い倒され、綺羅に諭されたことで、自分の考えを改める。綺羅と一緒に生きていたいと思うようになり、「綺羅が………死ぬかもしれないと思ったら、怖くなった」と、自分の体が回復するまで綺羅を守ってくれるように史郎に頼んだ。
CV：鈴木麻里子
純粋な人間の巫女。姐さん女房的な面倒見のいい性格で、正義感も強い。殺し屋である平勝利を愛してしまい、殺人をやめてほしい一心で彼を追い続けている。晴明たちと戦い敗れた勝利に、勝利に足りないものは「恐怖（相手が死ぬことに恐怖を感じていない）」だと諭し、「人を殺す痛みを知れ」と言って、勝利に一緒に行こうと誘った。
CV：野田順子
天使。真樹の姉。14歳の中学生。儚げな雰囲気の少女。道徳的で真面目なクリスチャン。しかし、クロードの企みで暴漢に襲われて、綺羅にすんでのところで助けられたが、その日を境に人間不信（特に男性）になってしまった。その後もクロードの雇った男たちにたびたび襲われていて、その都度真樹に守られることで、真樹への依存度と男性不信が酷くなっている。
真樹が自分のために男たちを『掃除』するのを黙認し、「世界中の男どもを、皆殺しにしてくれるわ。真樹が。あたしのことを分かってくれるのはあの子だけ」と語るが、優美に「美樹ちゃん、分かっているの？ ………弟さんが人殺しで、嬉しいの？」と言われて自分の過ちに気づく。
自分のために人殺しを重ねた結果、晴明たちに倒された真樹に、「あたしは（襲った男たちを）許すわ。あなたも許すのよ、真樹。こんなことを続けてたら真樹が殺されるわ。もう、やめて」と説得して止めさせた。その後は、優美の誘いで真樹と一緒に晴明たちの仲間に加わった。
CV：野田順子
堕天使。美樹の弟。11歳の小学生。おとなしい美樹とは逆にとても明るい性格。姉にべったりしている甘えん坊で、美樹を独占したがっているシスコン。美樹の暴行事件以来、世界中の男を憎むようになり、美樹を守ろうとその後も美樹を襲う男たち（実はクロードが雇った人間たち）を殺していた。晴明たちとも対峙するが、返り討ちにあう。美樹から「あたしは（襲った男たちを）許すわ」と、このまま人殺しをしていたら真樹が殺されてしまうと説得されたことで、考えを改めて、姉と一緒に晴明たちの仲間に加わる。
CV：若本規夫
堕天使。神父をしている男性。天使たちが自分の家族を殺したという事実を知り、神への信仰が揺らいでいる。天使が支配する世界を築こうとするクロードを阻止すべく、平勝利を刺客として送り込む。一方で、クロードに狙われている美樹と真樹のことを、二人から拒否されながらも心配している、優しい人物。
晴明の父親とは知り合いで、晴明や慧のことも知っていた。晴明が天使を退治していることを知って、晴明が神の使い（天使）を殺している罪を許し見守るようになる。
CV：増谷康紀
天使。フルネームはクロード=ドゥ=レシャック。貴族階級で残虐な性格。エリート意識が大変高く、天使覚醒したことでその差別意識が暴走して、人間を見下している。人間牧場を作って天使たちに無限に食料を無限に提供するという非道な計画を進めている。
真樹に真実（人間の愚かさや醜さ）を教えようと、暴漢を雇って美樹を襲わせて、真樹を人殺しにした張本人。葵にも暴漢を雇って襲わせたり、ヨハネスの娘クララを殺すなど、やることは陰険悪質。
晴明からは『若ハゲ野郎』と呼ばれていて、本人はそのことを気にしているようで、クロード戦では怒りを爆発させていた。
CV：成田浬
幕間で登場する謎の男性。晴明の父親の知人。晴明たちを監視させて戦いを見守り、支援する。戦いが終わった後、『犠牲の鶏』計画実行について部下と話すなど、続編を示すような会話をしていた。
史郎の恋人。作中では故人。天使化した雪子が操る犬によって噛み殺された。
ヨハネスの娘。作中では故人。天使化したクロードに殺害された。
葵の回想シーンで名前のみ登場。砂姫が恋していた男の子。拓也も砂姫を好きだったが、砂姫をひとりじめしたい葵から、「砂姫ちゃんが拓也くんを嫌っていて、話しかけないでと言っている」と嘘をつかれて、砂姫との恋は実らなかった。
外部リンク
ウィキペディア - Innocent Tears (ゲーム)
