この記事には『暁月のフィナーレ』のネタバレがあるため注意!!
エルピス……その名を携え、行くといい。
概要
『暁月のフィナーレ』で、鍵を握る重要な言葉。
当初はクルルの協力下でハイデリンから渡された「人の心を映す花」の名前として登場。
その後、「古代人達のつくった施設の名前」である事が明らかになる。
語源の由来は古代ギリシャ語の「希望」。
人の心を映す花
オールド・シャーレアンの地下空間「ラヴィリンソス」で見られる花。しかし今やその名を知る者はおらず、「人の心を映す花」とだけ呼ばれている。
周囲の人間の心を映して色を変える性質を持つ。明るい感情の場合は白く輝き、負の感情の場合は暗くなる。
クルルの肉体を借りて一時的に顕現したハイデリンから光の戦士に一輪が託され、折に触れてその色を変えた。
その後、月の「嘆きの海」において、ゾディアークの封印を管理していた「月の監視者」から初めて「エルピス」の名を教えられる。
世界が分断される以前、古代世界ではそう呼ばれた花であり、次に向かうべき場所への手がかりとなった。
かつて「エルピス」の名を冠する施設にて、美しい花を創ることを愛していた職員が偶然生み出した花であり、それ故に「エルピス」の名を冠している。
「想いを自在に現象へと換えられる存在」エンテレケイアであり、色を変えるのは万物を構成するエーテルとは異なる「想いが動かす力」デュナミスによる作用。その為、本来では観測し得ないほど弱いデュナミスが実在するという証明にもなった。
光の戦士が持っていた花を見たニッダーナは、錬金術における「アーカーシャ」という概念について語る。
アーカーシャはすなわちデュナミスであり、その後も様々な場面で色を変えたが、中盤の絶望的な局面において遂に黒く染まり、崩れて塵となってしまった。
施設
施設としての「エルピス」は、今から一万二千年前、古代人の時代にまでさかのぼる。
世界の中心たるアーモロートから遠く離れた地にある。
複数の浮島からなりたっており、緑あふれる浮島には数多くの創造生物たちが暮らし、研究員がそれぞれついていて生態を観察・研究している。
「アナグノリシス天測園」を起点とし、創造生物の観測拠点「十二節の園」、実験記録を保管する「ペリペテイア晶蔵院」、世界中のあらゆる海を再現した「メタバシス六洋院」、そして多数の再現環境を擁する最大規模の研究施設「ヒュペルボレア造物院」、危険性のある植物を集めた「牙の園」などが点在している。
またエルピスの直下には、危険な創造生物を収容・研究する施設「パンデモニウム」が存在しており、クリア後に解放されるレイドコンテンツ「万魔殿パンデモニウム」で訪れる事となる。
現所長はヘルメス。
前所長は十四人委員会の現ファダニエルであり、近々座を降りることになっている。
まず前提として、古代人は「自らを星の血液と見なし、星を善くしていく」という使命を帯びている。
創造魔法で新たなものを創るのはその一環だが、無為無策な粗製乱造では星にカオスが生じてしまう。その為、創ったものに対して適切な判断を下すことが必要とされた。
創造生物は、アーモロートの創造物管理局で正式登録される前に「星を善きものにするのに適しているか」「他の生物や環境に悪影響を与えないか」など、生態を詳しく観察・研究される。そして審査を受け、認可された生物は適切な地域に放たれるという流れが確立しており、エルピスは「品質検査所」としての役割を持つ「生命の実験場」であった。
この地で確認できる創造生物は、現在の分かたれた世界に生きる生物達の源であり、名前こそ異なるが(例:オレイアス→スプリガン、アンビストマ→ウーパールーパー)その姿は継承されている。
ちなみに創造生物には流行があり、かつて「サメ」をベースとした創造生物が人気を博した時には、当初こそ真っ当な目的から様々な種類が創造されたものの、その後は奇をてらってか、空を飛ぶもの、賢いもの、頭がたくさんあるもの、ついには二足歩行するものまで登場したという。
その一方、「破壊衝動が強すぎる」などの理由で危険だと判断されたものは「星海に還す」事が決まっている。
それはすなわち「できるだけ苦痛なく殺処分する」事であり、遺骸は魔法を使いすみやかに分解される。
こうした方針や死生観は古代人にとって当たり前なのだが、現所長ヘルメスは創造された命を尊んでおり、極力最後の手段を取らずに済むよう、時間をかけて改善の余地を追求するなど、慎重に対処している。
中盤以降、ある事をきっかけとし、思いがけない人物の助力を得て、光の戦士は一万二千年前の古代世界へ向かう。
「エルピス」へと至る扉の前でさらに思いがけない人物達と出会い、成り行きで同道。
そこでヘルメス、そして彼の創造生物「メーティオン」と出会うのだが……