概要
マイケル・ムアコックの代表作の一つ。
剣と魔法のファンタジー世界(人類文明勃興以前の古代世界)を舞台に、皇帝にして魔術師である主人公エルリックの冒険と、魔剣ストームブリンガーがもたらす破滅の運命を描く。
1961年に発表された『夢見る都(The Dreaming City)』ではじまり、1965年の『ストームブリンガー(Stormbringe)』で(主人公の死という形で)一旦完結。
その後数年に亘り、作中の空白期間を埋める新エピソードが発表、数回の再編集が行われ、1970年以降は同作者によるマルチバース作品群『永遠の戦士』の一環に組み込まれた。
1972年にはエルリック・サーガの起点を再構築した長編作品『メルニボネのエルリック(Elric of Melniboné)』が発表され、1989年『真珠の砦(The Fortress of the Pearl)』、1991年『薔薇の復讐(The Revenge of the Rose)』と続く。
さらに21世紀に入り新たな三部作、2001年『夢盗人の娘(The Dreamthief's Daughter)』2003年『スクレイリングの樹(The Skrayling Tree)』2005年『白き狼の息子(The White Wolf's Son)』が発表されている。
日本では1980年代~1990年代にハヤカワSF文庫で刊行されており、天野嘉孝(現・天野喜孝)による挿画とカバー絵で強く印象付けられた。2006年以降、『永遠の戦士エルリック』と題して再編集版と新三部作が刊行されている。表紙イラストは他の『永遠の戦士』新版と同じく佐伯経多&新間大悟が担当。旧版と違い挿絵はない。2021年現在、刊行分全てが電子書籍化されているが、早川書房側での紙媒体での取り扱いは終了している。
映像化やビデオゲーム化の事例は確認されていないが、コミック版とTRPGは複数種が刊行されている。
TRPG書籍では1995年に『エルリック!』の和訳がホビージャパンから、2006年に『ストームブリンガー』第五版の和訳がエンターブレインから刊行された。
2020年8月より角川書店から邦訳フルカラーコミック版が刊行中。