シィィザーーァァァッ
4
しぃぃざーーぁぁぁっ
戦友を失った男の悲痛な慟哭。
漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」の主人公ジョセフ・ジョースターのセリフ。
お茶目でお調子者のジョセフとスケコマシなシーザーは初めて出会った時から反りが合わず、いがみあってばかりで和睦する気など皆無であった。
しかし、ローマで対峙した柱の男達との初戦で、互いに美点を見つけた事により軋轢は徐々に無くなり、二人はお互いを信頼し、ライバルとして切磋琢磨し成長してゆく。
その後の最終決戦。シーザーはカーズら柱の男への強い憎しみから、ジョセフやリサリサの警告を無視してカーズ達が潜むホテルに独断専行し、ワムウと再戦。ワムウを撃破寸前まで追い詰めるもの惜敗する。
瀕死の重傷を負いながらも、代代受け継いだツェペリ家の誇りにならってワムウの解毒剤入りピアスを奪取し、死力を尽くしてシャボンにピアスと自身のバンダナを包みジョセフに託し逝く。
ホテルへ駆けつけたジョセフは、そこに一つだけ残っていたシャボンの波紋から伝わる感覚でシーザーが死んだ事を悟った。しかし深い悲しみに苛まれながらもあくまで冷静に徹しようとするリサリサに倣って感情を必死に圧し殺し、シーザーの仇を討つべくカーズ達に挑もうとする。
しかし、十字の瓦礫の下から流れ出た鮮赤の血を目撃して戦友が死んだという事実を改めて痛感したジョセフは、その光景を目の前にして平然としていられる訳もなく、大粒の涙を流した。
その時に叫んだセリフが
「シィィザーーァァァッ」
である。
直接の和解を果たせぬままに戦友と永遠の別れを迎えたことは半世紀以上は生きたジョセフにとって、苦い経験の1つになっている。
その身尽きても、その魂は死なず…
シーザー・ツェペリ二十歳 ここに眠る。
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