概要
擦動抵抗となる関節部を減らし、受風面積を減らしたパンタグラフ。国内では開発元である仏Faiveley社の特許期間切れとなった1980年代末期以降から国内メーカーによる製造・普及が始まった。その形状から「Zパンタ」や「脚型」と呼ばれることもある。
国内の在来線では受風面積による影響の違いが大きな問題になるような速度での運行がないためその点については従来の菱形パンタグラフや下枠交差型パンタグラフと大差ないが、それ以外の特徴である占有面積の小ささや関節が減ったことなどによる架線追従性の向上、豪雪地帯での着雪面積減少による離線の軽減、部品点数が減ったことによる製造・保守費用の低減、作用高さや折りたたみ高さが低く出来ることもあり広まっていった。
特に1998年の冬は各地で雪が多くパンタグラフの上に積もった雪で離線が多発、運転不能となってしまったケースが多かったことから、それ以降新車のみならず既存全車両をシングルアーム形へ置き換える事業者が出た。
旧来型では下枠交差形が比較的着雪被害の少ない形態ではあったが、雪国で運転するJR北海道ではそれらもシングルアーム化している。
新幹線では受風面積や風切り音が問題になる高速度での運行であり、架線追従性を高めパンタグラフカバーや遮音板に頼らない風切り音対策として積極的に採用され、改良がなされている。
西日本では長らく少数派で、新型車両なのに菱形という東日本人からすると違和感のある光景が多い。
余談
シングルアームパンタグラフの略語には「シンパ」(『シン』グルアーム『パ』ンタグラフ)という違う意味にとらわれかねないアレな略語もあるそう。つまり、東日本の鉄道会社はシンパのシンパである。