概要
中枢神経系の障害による不随意で持続的な筋収縮にかかわる運動障害の総称。
筋肉の緊張の異常によって様々な不随意運動や肢位、姿勢の異常が生じる状態となってしまう。
症状の出方も様々で、全身に及ぶものから体の一部分に発症するタイプもある。
原因は不明な点も多いが、脳や神経系の異常と言われている。
一部には遺伝性のタイプや脳性麻痺の二次障害によるもの、脳卒中の後遺症もある。
特定の動作の時に起こるものを動作特異性ジストニア、局所性ジストニアとも呼び、特に職業上よく使う部位に発生するものを職業性ジストニアともいう。
直接命に関わる可能性は低いが、自分の意に反して体が傾いたりまぶたが痙攣したりと患者が感じる不快感は決して軽いものではなく精神的にはかなり厳しい病気である。
特に職業性ジストニアの場合はミュージシャンなど「本人が好きで夢を持ってやっていた仕事」の作業が思うようにできなくなっていくため心身ともに深く傷つくことも多い。
反復動作が多い職業の職業病の一つであり、ドラマー、ピアニストは特に罹患者が多く引退や休業、パートチェンジを余儀なくされた者も少なくない。
また、音ゲーのプレイヤーにも罹患者が散見される。
罹患者でありのちに引退を決意したVersaillesのYUKIによる、ジストニアの症状説明
予防
確実な予防法はないが、体の特定部分を繰り返し同じ動作する形の酷使を避け、ストレスを溜めないようにすることが推奨されている。
治療
治療法は未だ試行錯誤の部分が多く「確実に治療できる」というものはないが、さまざま治療研究が進められている。
ボツリヌス毒素や抗コリン薬などの投薬治療を行うこともあるが、個人によって合う合わないもある。
発症の元となった反復動作から意識を離すため、別の部分を使う運動をリハビリとして行うこともある。
ジストニアに罹患したことを公表している著名人
- 滝善充(9mmParabellumBullet)
左腕に症状が発生しバンドの活動休止を余儀なくされた。復帰後も調子が悪い時は一部フレーズをサポートに任せることもある。
- 悠(摩天楼オペラ)
ドラムが思うように叩けなくなったためバンドを脱退して引退。
療養のため活動休止中。
首の筋肉に異常が出たため半年の休養。
- 裕介(DADAROMA)
ドラムが思うように叩けなくなったためバンドを脱退して引退。
- 金子隆博(米米CLUB)
症状により本来のパートだったサックスが演奏できなくなりキーボードに転向。彼が音楽を担当したカムカムエヴリバディでもトランペットが突然吹けなくなりピアノに転向するエピソードがある。
- 高屋奈月(漫画家)
- Seika(Blu-BiLLioN)
症状の進行によりバンド脱退を申し出、それにより解散が決定。
治療への専念と家庭の事情により、長期間の休業を発表したが状況がさらに悪化したため引退した。
- YA/NA(ZEPPETSTORE)
症状の進行によりドラムを引退し、電子機器を使ったRhythm Trackerに転向。
症状の進行により脱退を申し出たが、他メンバーの意向もあり無期限休養扱いとなった。
- 酒井愁(元AION、フリーのドラマー)
日常生活に支障をきたすレベルの重症に一時は陥ったが10数年の闘病の末ドラムが叩けるまでに回復。
- 庄村聡泰(Alexandros)
症状の進行によりドラマーを引退、スタイリストに転向。
- 西川悟平(ピアニスト)
一時は基礎的な童謡すら弾けなくなるほどになったが、奏法を改めて復帰。