概要
上流家族の家系であるマーモリア家の出身でクラリス・フィア・アトリーの元婚約者。またユリウスの乳兄弟でもある。
本来は転生者リオンの前世がプレイしていた乙女ゲーの第1作主人公オリヴィアの攻略対象の1人。
だが、リオンと同じ転生者であるマリエによるプレイ内容を元にした介入の結果、ユリウスをはじめとした他の4人と共に彼女に夢中になってしまい、それが原因で物語全体に大きな狂いが生じてしまう事になる。
人物
元々のゲームでは、戦争パートにおいて射撃が得意なオールラウンダーという頼りになるキャラだが、とにかく胸の内を明かさないために攻略難易度が高かった。
普段は模範生的な性格を崩さず温和で紳士的に見えるが、実際は目的の為に平然と卑怯な行いをする腹黒な卑劣漢。ユリウスへの忠誠心は強い反面、一番彼を諌めなければならない身でありながら、彼の問題行為を止めないどころか追従する様な行動しかしないイエスマン。
また卑劣で腹黒い割に詐欺に騙されやすく、何度同じ様な経験をしても学習能力も無い上に、審美眼も壊滅的(後述)で、価値ある物と価値無い物への評価があべこべで騙されやすい点はある意味、自業自得である。
経歴
物語開始前
自身の通う学園にて、経歴は不明(おそらくユリウスからの紹介か。)なもののマリエに興味を抱き、ユリウス、ブラッド、グレッグ、クリスと同じく恋心を抱くようになる。
しかし、マリエの行動と立場は本来ならリビアが担うはずであった物で、邪な目的の為に近付いて来たマリエの不誠実な本性など知る由も無く、「イケメンの金づるの1人」としてユリウス達同様に利用されていく事になる。
本編
公子時代
他の4人と共にすっかりマリエに夢中になっており、ユリウスに蔑ろにされ続けたアンジェがパーティー会場にて半ば自暴自棄に陥りマリエに決闘を申し込む事態が発生。ここでブラッドはユリウス同様、マリエの代理人の1人として立候補し味方に付いて、アンジェが周囲に悪女扱いされ、孤立に追い込まれてしまう事態へと発展させている。
だが、余りにも悲惨で本来のゲーム展開から大きく外れてしまった状況を見るに見かねたリオンが介入してくる形で決闘を挑まれる事になり、各試合は1対1とはいえ、五人掛かりのアンフェアな決闘を行う事になる。
が、当初の予想とは裏腹に、決闘ではリオンの搭乗するアロガンツによって、ブラッド、グレッグ、クリスの3人は次々と敗北。
3人の敗北後、4番手の代理人として緑の鎧で参加。
当初は自分達の慢心さを棚に上げ、リオンを「見かけだけで判断する慢心で愚かな男」と見下していたが連勝したリオンを危険と判断し「私が負けるのはいいとしても殿下だけは守らねば」という一心から彼の姉の弱みにつけ込み彼女を唆す形でアロガンツに爆弾をセットし、当初予定から装備を変更したりと非道な手を使ってでも彼を抹殺しようとした。ところが、アロガンツには通常なら装甲を容易に貫く対鎧用魔弾はもちろんセットした爆弾(これも一般的な鎧なら爆薬量からして操縦者の命はないレベル)も効かなかった上、脅しの言葉も録音されて(アニメ版では自分のことを棚に上げ、リオンを卑怯者扱いするがいうまでもなく言い返された)後がなくなり斧で斬りかかろうとするもスコップで殴られ上空から落とされる形で敗北した。決闘後、クラリスとの婚約は正式に解消されたが、同時に決闘において他の4人共々醜態を晒した結果、実家に見限られ(しかも実家からの資金援助も断られた上で)廃嫡の身となった。
が、実質的ニートとなり人生の瀬戸際に立たされた状況でセレブ生活の野望を瓦解に追い込まれて絶望的になっているマリエの本心など騙されやすい彼に見抜けるわけも無く、「これでマリエと真剣に向き合える」と、決闘の約束も反故にする気満々で他の4人共々能天気な考え方をするのであった…。
なお、乳兄弟と言う立場上ユリウスを諫めるか、最低でも「マリエを側室か妾にする」と言う落し処にユリウスとアンジェを軟着陸させなければならないにも拘らずユリウスと一緒になってアンジェとその助っ人のリオンを潰そうとしたことから、ミレーヌ王妃やレッドグレイブ公爵父子などからはある意味でユリウス本人への其れを上回る怒りを買ってしまっている。
廃嫡後
決闘からしばらくして、やはり誓いを反故にする形でマリエの元に居続け、夏季休暇中は冒険者としてダンジョンに挑みながら日銭を稼ぐ日々を送っている(先述した通り実家からの資金援助が無いため)が、他の4人同様不満はないらしく自由を楽しんでいる模様。
…貧乏生活まっしぐらのマリエを除いてであるが。
その後、学園祭のエアバイクレースに参加するも元婚約者クラリスの取り巻きによる妨害を受け、ひとまず勝利したものの負傷し出場を続けることが出来なくなってしまい、リオンが彼の代役として出場することとなった。リオンは優勝し彼への借りとしてクラリスへ直々に言葉で謝罪し彼女へのけじめをつけた。
マリエが本性を表し、不満を爆発させ、さらに王家の船の絆採点は男性89点。女性12点。「悲しい結末に終わってしまいました」と言われる結果になったが当の本人は他の4人共々前向き(能天気)に本当の彼女と向き合おうとする。
なお後述するやらかしの多さから、まだ「笑える屑」の範疇にある他の五馬鹿からもクズ扱いされ、リオンやルクシオンからも五馬鹿の中で唯一「笑えない屑」と評されている(とはいえ読者によっては「笑える屑」だが)。
共和国でお金を稼ぐ事になった際は、ガラクタだと思っている骨董品を売る詐欺行為を行っている。
もっとも、ジルクが選ぶ高級品は無価値な偽物で、逆にガラクタと見做すのは莫大な価値を持つ貴重品というあべこべな審美眼だったおかげで結果的に詐欺にならず、むしろ褒め称えられた。
が、元からの尋常ではない浪費癖に加え、先述した通り詐欺に騙されやすく、お茶の詐欺に遭ってまずいお茶を買って来たり、色々な食器類の詐欺でマリエが号泣するほどの借金を作る悪癖は最後まで治らなかった(もっともマリエの本性を見抜けず篭絡されている時点で見る目がないといえるが)。
ちなみに書籍版だと共和国編で他の五馬鹿達がお金を使う時にまずマリエに相談する事を学んだというのに、こいつだけは最後まで相談せず勝手にお金を使うことをやめなかった。やはり一番の屑と言われるヤツは格が違った。