声:大塚剛央(アニメ)、赤尾ひかる(幼少期)、小林裕介(ドラマCD)
概要
「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です」の主人公。
日本の社会人(男性)が転生した存在。
経歴
前世
前世では妹に攻略させられていた乙女ゲーの『アルトリーベ』1作目を二徹でコンプリートした後、外出しようとした直後に気を失い、その所為でアパートの階段から転落死してしまった。なお、死亡する直前に妹が家族に嘘をついて海外旅行に行った証拠をメールで両親に送っており、悪いタイミングが重なった所為で妹の悲劇の遠因になってしまう。
今世
『アルトリーベ』の世界の貧乏貴族であるバルトファルト側室の次男として転生し、5歳の時に前世の記憶を思い出す。
前世の記憶を取り戻した直後は自分に何が起こったのか理解できずにいたが、今世の家族との会話から、よりによって女尊男卑の乙女ゲー世界の住人(モブキャラ)に転生した最悪の事実に気付き、絶望のあまり泣き叫ぶ。
ゲーム知識で無双することを何度も考えはしたが、日々の鍛錬や農作業など前世よりも過酷な生活に疲れ果て、特に大きな行動を取るわけでも無く15歳となる。
その年に貴族の子女が集う「学園」への入学が決まっていたが、直前で父の正室であるゾラの企みで50過ぎのバツ7貴族女性に婿候補(という建前の遺族年金狙いの生贄軍人)として売られかける。
拒めば弟であるコリンが自分の代わりに犠牲になる事もあり、何とか逃れる為に『冒険者』として一攫千金を得ようと、前世のゲーム知識を頼りに課金アイテムだったルクシオンの回収ポイントへ赴くことを決意する。
苦労の末にルクシオンを入手して見合いを回避するが、想定以上に功績を高く評価されたことで男爵への出世が決まり、傲慢な貴族の人間がほとんどの学園上級クラスに入学せざるをえなくなる。
落胆しながらも入学するが、そこで同じ転生者であるマリエの介入で、ゲームで描かれた展開が大きく狂ってしまった事を知る。やがて、孤立していた主人公のリビアや悪役令嬢であるアンジェと関わり、アンジェの起こした決闘騒動で代理人として介入した事をきっかけに皇太子であるユリウスや他の攻略対象の男子達と対立する。
マリエが前世での自分の死因となった妹の転生だとも知らずに。
誰もがリオンの敗北を確信していたが、規格外のチートアイテムであるルクシオンと最強クラスの鎧アロガンツを持つリオンは決闘で5人を次々と撃破していく。しかし、これまでの女尊男卑による苦難からストレスが溜まっていた事もあり、その解消も兼ねて5人それぞれに聞くに堪えない説教混じりの罵詈雑言を浴びせ、身も心もズタボロにする過剰な手段で叩きのめすというまさに外道な形で勝利し、決闘で賭けに参加していた生徒達の大半に大損害を被らせた事で学園中から怨みを買う。
リオン自身は最初から退学するつもりでやらかしたのだが、処刑回避の為にレッドグレイブ家に大金を持って取り入るなどした工作が裏目に出て、逆に出世する事態となってしまう。
またしても望まぬ結果に辟易するが、本来のゲームシナリオから外れたリビアとアンジェは何故かモブである筈のリオンに想いを寄せるようになり、ここから波瀾万丈な彼の第2の人生が本格的に始まる事になる。
やがてファンオース公国との戦争に突入し、そこで再び馬鹿をやらかしたマリエと話し合う事になるが、ここで初めて彼女が前世の妹である事に気付く。
紆余曲折を経て何とか1作目の戦いをクリアするが、和解したマリエから前世世界で『アルトリーベ』の続編が出されていた事と同時に3作目の展開が前倒しになった事態も起きていた事を知り、本来の運命が大きく狂ってしまった現世界で発生する混乱に対応するべく、ルクシオンやゲーム知識を持つマリエと共に動き続ける事になるのだが…。
人物
趣味はお茶。
理想の女性のタイプは「巨乳の優しい女性」だが、あくまでも理想であり、例え好みとは逆の貧乳であっても「善良な女性」ならば受け入れる事ができる。
ちなみに胸の大きさを山に例えて見る癖があり、コミカライズでは「巨乳」=「名峰(さんみゃく)」、「貧乳」=「滑落(ガケ)」などと心の中で評し、そんな「いやらしい」を通り越した無礼極まりない視線を向けてしまった事を対象の貧乳女性に向かって思わず謝罪してしまった一幕がある。
エルフの里長の占いでは「古の魔王を従える勇者」と解釈されているが、当の本人は自分自身を外道と評しており、勇者だとは思っていない。
敵国ファンオース公国によるいきなりの襲撃(開戦宣言すらなし)の際には不殺の戦法を取り屈辱と感じたバンデルに「敗者として生き恥を晒してろ」と煽った事を切っ掛けに外道騎士と呼ばれるようになり、後に異名となる。
所謂やる時はやる男だが、一方で常に要領が悪く、その癖責任感が強く、困っている人をどうしても見捨てる事ができないお人好しな性格。
そして、敵対者を徹底的に追い詰めて罵詈雑言を浴びせることはあっても、殺戮者では無い為「可能な限り」命は奪わないように心掛けている。
また、女性に手を挙げることも忌避している。
学園卒業後は田舎で平穏に暮らすことを夢見ており、基本的には面倒事を嫌い、火の粉が降りかかっても切羽詰まるまで我慢もしくは放置するのだが、本気で激怒すると急に色々振り切ってしまい極端に思い切りが良くなる思考に切り替わり、容赦なく徹底的にストレスをぶつけるかのように敵対勢力を粉砕する上に、相手の言われたくない言葉を情け容赦なく徹底的に急所に突き刺す(その都度ルクシオンに辛辣なツッコミを入れられるが、この性格は前世の時から変わっておらず、マリエの回想では、小学生の頃に絡んできたいじめっ子のグループを返り討ちにし、転校に追い込んだ事が語られている)等、かなり意地の悪い面を見せる。
しかし、普段は雑で見通しの甘い思考をしている為、面倒事に関わる時には対処に雑な部分が多く、それで想定外の事態が起きる可能性を周囲に指摘されても、「そんな事は無い」と希望的観測して高を括り、必要以上にやりすぎた事で周囲と各勢力から一目置かれると同時に警戒され、それが次なる騒動へと必ず繋がってしまう。
また前世では元は一般人だったことや転生後は辺境の田舎貴族ゆえに貴族社会の政治事情の忖度と本音と建前にも疎く。「貴族を辞めたい」という自分の願いに反した短期間での出世も、こうした失敗(と国王ローランドがリオンへの嫌がらせ)を繰り返している所為であり、この悪癖は終始改善されず、お人好しさも相まって彼が苦労する原因となっていて、恋人達や家族、仲間達からは働き過ぎている事を心配されているが、そこでも(前世で過労が原因で死亡した経験があるにもかかわらず)無自覚さを発揮してしまっており、周囲に余計な気を遣わせている。
本人の自己評価が低いのは、ルクシオンを除外した実力を低く見ており、更にチート存在であるルクシオンを活用する自身を「卑怯者」「外道」と思っている点が少なからず影響している。
また、普段の迂闊な行動と言動は偽悪的で「自分は誠実な人間なのに周りが誤解して嫌になる」等と敢えて周りを煽ったり自嘲する悪癖がある。
たたし、先の見通しの甘さ故に本当に自分が原因だったと知って大慌てで謝罪する羽目になった事も何度かある。
そして、女性関係の方も何度失敗しても「鈍さ」だけはどうしても治らなかった為、後に致命的な大失策をやらかす事になる(後述)。
この様に精神面では余り進歩が無かったリオンとは逆に、彼と深い関係になったアンジェ、リビア、ルクシオン達がゲーム通りなら無かっただろう成長と、新たな価値観の獲得による変化の機会に恵まれ、五馬鹿達も曲り形にもそれまでの自分たちの在り方への反省を促し成長、改善していった状況を思えば皮肉と言える。
勉学も鍛錬も必要最低限に留めているが、狙ったかのように平均より上の成績をとる(七十点台)事が可能で、生身での戦闘も高く主に得意するのは射撃だが白兵戦もできる万能型で、切り札として高難易度の魔法の取得や、上記の理由と攻略情報があったとは言え、ルクシオンの居場所に単独で辿り着いて入手した事から解る通り、素養は決して低くはなく、ルクシオンからは「もっと真面目に訓練をすれば優秀な騎士になれる」と苦言交じりに言われ、ユリウスからも同様に評価されている。
尚、苦手なものは「お化け」であり、怨念系のモンスター相手に本気でビビりアンジェに泣き付いた事もある。
ルクシオンとの関係
マスター登録を行って主従関係となって以降、彼とは皮肉や悪口の言い合いが日常会話という残念な状態だが、ルクシオンは他者の為に体を張って戦うリオンを「自分のマスター」として認めており、リオンも自分よりはルクシオンの方が世の中の為に存在しているべきと考えており、なんだかんだで互いを信頼する気持ちは非常に強い。
また、ルクシオンを発見した事はリオン個人や世界全体にとって最大の幸運だったのだが、後に新人類についてルクシオンも知らなかったある事実が判明しており、ルクシオンは改めてリオンが自分を見つけてくれた事に感謝している。
女性関係
偽悪的で口の悪い性格と振る舞いもあって、傲慢な性悪女達には蛇蝎の如く嫌悪されているが、逆に善良な女性達からはその本質を理解され好意を抱かれている。(曰く、「ギャップが堪らない」との事)
最初に親しくなったリビアとアンジェに対しては、当初は「『モブ』が『主人公』と『悪役令嬢』に手を出すなんて恐れ多い」等と考えていたが、一連の騒動や事件を経て彼女達に大切に想われるようになり、公国との戦争後に双方から告白される。前世の概念にとらわれたせいでどちらか選べずに悩んでいたが、そうこうしている内にルクシオンに外堀を埋められ、騙し討ちの様な形で2人一緒に婚約する事態になってしまった(とは言え、2人を想う気持ちから素直に受け入れている)。
他にも何人もの女性達とフラグを立てており、手柄を上げて身分が上がっていく度にお茶会に来る女性も増え、クラリスやディアドリー、ミレーヌ達と親しくなっている。
この様に本人が「自分の今世でのモテ期はどうなっているんだ?」と困惑するほどモテているが、マリエによれば本人の自覚が無かっただけで前世の女性関係も中々に恵まれており、死亡した際には「葬儀に参列した大勢の女性達が号泣していた」との事。
つまり、メタ的に言って典型的な「鈍感系主人公」である。
彼自身は物語でよく登場する恋愛に関して鈍感なキャラを嫌っているが、自分がその鈍感だとは思っていなかった。女性から好意を抱かれても周囲から教えられるまで気付かない為、マリエやルクシオンからは呆れられていて、自分の気持ちに正直でない捻くれた性格が災いしてリビアとの間にわだかまりを生んだこともある(とはいえ、温和で謙虚だがそれ故に気弱で卑屈な一面もある当時のリビアの悪癖も重なってしまった形ではあるが)。
また、クラリスとディアドリーも異性としてリオンを意識しており、政治的な建前を利用してリオンに接近する事が多いが、当の本人は彼女達の「建前」を「本音」と解釈して「好意」にはほとんど気付いておらず、逆に気付いて警戒しているアンジェ達からは危機感を持たれている。
アルゼル共和国では、2作目主人公のノエルを何度も助けたことでリビア同様に惚れられ、それに気付かないまま婚約者であるリビアとアンジェを紹介した所為で彼女を傷つける事になってしまい、それが更に面倒な事態へ繋がる遠因にもなった。
尚、マリエを含めた周囲はノエルがリオンに懸想している事に早々に気付いていたが、逆に本人は大事になっても彼女達に教えられるまでそれに気付けず、この言い訳ができない失敗をして以降、自分では自覚していなかった欠点を多少なりとも認めざるをえなくなった上に、「最低」だの「鈍感男」だのと、周囲から散々詰られる羽目に陥り、それを否定する反論をしようとしてもこれまでの経緯から説得力がまるで無く、結局は言い負かされてしまう為、苦々しく思っている。
また、他人の人間関係に関しても誤解する場合が多く、マリエから訂正を受けることも。
兄ニックスとドロテアの見合い騒動の際には、深く悩むニックスの有様を「ヘタレ」などと自分を棚上げした発言をしまくった為、周囲からは呆れられルクシオンから突っ込みを入れられている。
婚約者のリビアとアンジェ含め、親しくなった女性達のほぼ全員が好みである善良な巨乳美女なのだが、逆に貧乳の女性とはたとえ相手の本質が善人であっても不幸な関係になってしまう事が多い。また、エルフ里長の占いから考察すると、運命の相手はマリエとヘルトルーデだった可能性があり、事実ならば色んな意味で皮肉である。
ちなみに、学園生活3年目を舞台にした短編では、マリエの取り巻きたちのそれぞれの妹と遭遇しているが、権力欲が強い子2人がリオンの嫁に立候補したがり、追い回されることになる。
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ネタバレ注意
逆ハーレムを狙っていたマリエを早期に阻止し、マリエと共に重みを背負わない日常生活を満喫して本編よりもかなり幸せな学園生活を送っている。
ここでも要領の悪さゆえルクシオンを使いこなせずオリヴィア関連は少々詰めが甘かったが、無闇に全てを救おうとせず、リオン達自身の人生を大切に出来ていた。
マリエとのヒロインフラグはお互いに気づかない事だと思われる。リオンとなった転生兄が一途に選んだ相手はマリエとなった転生妹であるのは皮肉と言える。
リオンとマリエは異世界になるべく関与せず静観する事にしたが、異世界の展開はゲーム通りになるどころかweb版や書籍版以上に悪化。
いじめが原因でリビアは聖女アンの怨霊に身体を乗っ取られてしまい、それに気付かないアンジェやユリウス達は掌で踊らされる形で対立関係を深めていき、ヘルトルーデは戦争後に死に追いやられる。
更にアルゼル共和国では転生者レリアの判断ミスが致命的な事態を引き起こし、国その物が滅びたばかりかノエルやルイーゼを含めた2作目の登場人物全員が死亡する悲劇に見舞われる等、世界全体が悪い方向へ傾いてしまった。
肝心のリオンはこのルートでも希望的観測で高を括る悪癖を出してしまい、それによりリビアが怨念に支配されている事態に気付くのが遅れ、気付いた時には最早ホルファート王国の内乱は避けられなくなっていた。
利用されている被害者に過ぎないリビアを見捨てられないリオンは怨念と対峙し、奮闘の末にリビアの救出を達成して内乱を終わらせるが、既にユリウス達5人を始め多くの命が喪われた後であり、王国は完全に滅びてしまっていた。しかもその直後、怨念と接触してリオンとのマスター登録を解除していたルクシオンが離反し、リオンを銃撃した上に、アルゼル共和国を滅ぼした黒幕であるイデアルを含めた他の人工知能達と合流して新人類への攻撃を開始し、ニックスやギルバートを含めた大勢の人間が虐殺される事態となる。だが、ひと思いに自分に止めを刺さなかった事に疑念を抱いたリオンは、ルクシオンにまだ説得の余地が残っていると確信し、彼の元へ向かおうとする。
その際、やはりマリエが前世の妹だと確信していた事を彼女に打ち明け、同じように気付いていたマリエは必ず生きて帰ってくる事を兄に約束させるが、無情にもそれは叶わず、ルクシオンの説得を成功させた直後にイデアルの横槍によってリオンは命を落とした。
説得に応じたルクシオンよってイデアル達は滅び、人類の危機は回避され、お互いに誤解や擦れ違いを繰り返していた事を自覚したリビアとアンジェも最後の最後にようやく和解するが、世界を救った英雄であるリオンは戻る事は無く、マリエを始め残された者達は悲しみに暮れながら「やり直せるならやり直したい」と願うのだった。
そして、時間は物語序盤まで巻戻ると、そこでリオン自身が誤ってリビアの行動を変えてしまう事態が起き、この新たな分岐が発生した事を示唆する謎めいた場面を最後にマリエルートは幕を閉じた。
このルートにより、マリエの大失敗とそれによるリオンの介入が多くの人命を救う結果に直結していた事実が判明。同時に、二人の介入に関係無くゲーム展開が破綻する事態はどの道避けられなかった事も確定した。
ただ、犠牲者が大勢出たもののリオンの行動が世界を救う結果になる点はぶれる事は無かった。
そして、本編最終章。
ここに至るまでの所業の結果、ホルファート王国を守り続ける羽目になる。
神聖魔法帝国戦ではルクシオンを上回る能力を持った敵「アルカディア」の脅威が迫り、かつて無い危機を前にリオンは死を覚悟して戦いに挑んだ。
そして、激戦の末にアルカディアを倒す事に成功するも、それで瀕死になった時に緊張の糸が切れて生きる気力を失い、死者の国でそのまま死を望んだが、マリエの禁術によって迎えに来たアンジェ達の説得に応じてもう少し生きる決意をした。死者の国では前世の両親に3人の嫁がいるのにそのまま死のうとしたり、前世での生活管理が出来なかった事で説教されている。
そして、初期化という形で死亡したルクシオンを始め、敵だった黒騎士バンデルやヘルトラウダ・セラ・ファンオース達の希望により、半ば強制的に現世へ帰される。
神聖魔法帝国戦から数ヶ月後に意識を取り戻すが、戦いの前に死を覚悟していた所為で半ば投げやりな思考になっていた事が災いし、アンジェの策とローランドの企みによっていつの間にか(全く気付いていなかった)次期国王として祭り上げられており、そのまま王位を明け渡されて新たな王にされてしまった。
それだけに留まらず、同盟を結んだ者達の家に安請け合いな約束をした上に、「報酬」についての話の際に内容を(白金貨等に関する希望だと)勘違いした所為で新たな政略結婚を余儀なくされ、クラリス、ディアドリー、ヘルトルーデ、ルイーゼの4人が側室として嫁いで来る事になる。
今度という今度は自分の詰めの甘さと他人の気持ちに関する鈍さを思い知って後悔していたが、その直後にエリカから少なくとも6作目までゲームが出ている事を知らされ、王の仕事で多忙になるだけでなく、引き続き世界の危機を回避するための対策に動かなければならなくなる。
後にローランドの策によって本当にミレーヌまでが押しかけて来る事態に直面し、見捨てられなかった事で結局受け入れる為に家庭内修羅場を展開する羽目になるが、何とか丸く収まり、数年後には多くの子宝に恵まれた家庭を築いた。既に彼女達にも転生者やアルトリーベに関する秘密を知られた事もあり、事情を知っているアンジェに国政を任せ、五馬鹿からも積極的な支援を受けてはいるものの、子供達から離れて4作目の舞台となる砂漠の国オシアスで教師に身を扮して活動する羽目になっていた。人助けの為に厄介事に関わり続ける事に辟易しつつも、そんな自分を否定せず、4作目の主人公と出会い、本格的な介入を開始した場面を最後に物語は一応の幕を閉じた。
女性関係2
web版では複数の女性達と結婚した事が示唆される(アンジェ、リビア、ノエル、ミレーヌ)も、正確な人数までは解らなかったが、ヒロインが更に増えた書籍版では合計「8人」娶る事になった。
彼女達に対する情もあってリオンは受け入れる事を選んだが、そもそもこうなったのは彼女達が抱いていた好意に気付けなかった所為であり、外堀を埋められるまでそれが理解できなかった失敗はさすがに堪えたらしく、自分が女性の気持ちに鈍感な人間だと言う事をようやく自覚した模様。しかし、気を付けはしても治す事はできず、結婚して子供に恵まれても相変わらずな状態にある。
尚、アンジェリカ、オリヴィア、ノエルの3人と五馬鹿はマリエからリオンと『アルトリーベ』に関する秘密を教えられ、転生者の存在と自分達の世界が定期的に「滅亡の危機」に襲われる理不尽な運命にあると知る事になったが、他の側室である5人にもこの事実を告げたのかは不明(彼女達ともある程度内容を共有していないとリオンが他国に潜入するのは難しいと思われる)。
ちなみにweb版でのリオンは単身赴任する形となっており、家族団らんができない事を悲しんでいたが、嫁の数が増えた書籍版ではリビアが動向しており、幾らかマシになっている。
- アンジェリカ
結婚後は王妃となり、リオンの子を3人出産した模様。
数年後の「4作目」の時期にはリオンが留守の間の国政を担っている
自分を含めてリオンの嫁が8人になってしまったが、何やかんやで受け入れている自分を不思議に思っている模様。ただ、当然ながらこれ以上の人数が増える事は許容できないとリオンに釘を刺している。
ちなみに婚約者3人の中では一番の巨乳で、それを根拠にルクシオンからは「マスターから一番好かれている」等と評されていたが、ミレーヌやルイーゼ達が仲間入りした後もそのランクが下がらなかったのかは不明(マリエを除いて女性キャラ達の3サイズは未発表)。
- オリヴィア
これまでのリオンの冒険譚を執筆しており、作家としても活動している。
王妃であるアンジェから最も信頼されていて、8人の妻の中でも最強クラスの魔法の使い手である立場からか「4作目」の時期には唯一リオンに同行している。妻として彼の活動を支えているが、同時に新しい女が寄ってこない為の防波堤の役目も担っているらしく、相変わらず自覚無く女性の気を引いてしまうリオンの悪癖には辟易している。
- ノエル
web版書籍版共に3番目の嫁。
主に子供達の世話を担当していて、彼女自身は2児の母となっている。
アンジェにはリビアに次いで信頼度が高く、互いに軽口を交わしたり、ある物騒な話題になっても意気投合できる程。
- クラリス
件の「報酬」による政略結婚の希望は彼女が代表して伝えた。
以前から建前を利用してリオンと急接近するチャンスを窺っていたが、ついに成就し、独り身から念願の脱却を果たす事となった。
ちなみに、戦いで瀕死となったリオンを救ったのは元婚約者のジルクである。
- ディアドリー
先に姉ドロテアがリオンの兄ニックスと結婚した事で親戚関係となるが、彼女自身もまたリオンを諦めずに狙っており、父のローズブレイド伯爵からもリオンの妻の一人となる事を期待されていて、最後の最後にようやくそれが叶うことになった。
数年後には娘を出産した模様。
- ヘルトルーデ
かつての戦争の際、敵であるリオンに好意的な感情を少なからず抱き、不誠実なやり方ではあったが取り込みを謀った事があった。また、同行した冒険で出会ったエルフの里長に「運命の相手と出会い、頼もしい支えとなってくれる」と預言されていたが、妹ヘルトラウダを喪った後にその預言の事を思い出し、件の相手がリオンでは無いかと疑い、彼との関係についてもっと真剣に考えて行動していれば悲劇は起きなかっただろうと後悔する事になり、それ以降はずっと気に掛けていた模様。
故に自身もまた政治的な建前を利用してでも彼の側室となる事を希望し、決定事項となった際には両手でピースサインを作って喜びを表現した。
尚、嫁の中では唯一と言って良い貧乳枠である。
- ルイーゼ
ノエル同様アルゼル共和国でリオンと縁を結んで親しくなったが、立場上国を離れる事は無く、別れ際にはキスをして再会を約束していた。
リオンとの関係の切っ掛けは、彼が亡き弟リオン・サラ・ラウルトに名前も外見も瓜二つだった事からだが、他人の空似とは思えぬほどの共通点の多さにルイーゼ自身、有り得ないと思いつつも彼が「弟と同一人物ではないか」と疑っていた。事情が「弟」絡み故に男女愛とは異なる様に見え、ルイーゼも敢えてそれを言及する事で強調していたが、実際には恋愛感情を抱く程に弟を溺愛していた。つまり、その弟が血の繋がらぬ他人となった様な存在のリオンはルイーゼにとってこれ以上無い「理想の男」であり、聖樹の生贄騒動で精神が繋がった際にルイーゼの弟に対する強い想いを知っていたノエルは、「祖国の為に政略結婚を行った」と言う彼女の本心が「個人的な希望を優先したに過ぎない」と直ぐに見抜いて噛みつく事になった。
リオンにとっては理想的な「お姉ちゃん」だったが、結局は彼女も「奥さん」として迎え入れたのだった。
- ミレーヌ
以前から執心を抱くほどリオンは彼女を欲しており、ミレーヌも自分にとって理想的な男性であるリオンに満更では無かったが、お互いの立場からそれはできないと考えていた(マリエルートのマリエの次に思入れがあったと思われる)。故にローランドの策によって離縁された彼女が本当に押しかけてきた際、リオンはこれがローランドの悪意ある企みと解っていても欲しかったミレーヌを迎える大チャンスをみすみす逃す事ができなかった為、相当な修羅場となってしまったらしく、この件でアンジェ達のローランドに対する評価は底値を割った模様。
web版ではエリカ(転生姪)の代わりに4番目の嫁として比較的穏便に受け入れられた模様だが、書籍版では8番目の嫁だったのである程度ローランドの思惑通りになった。
後日談によれば、彼女もまた女の子を出産したとの事。
更なるネタバレ注意
書籍版完結記念のSSでは、40代を迎える前に結局死亡してしまったリオンがルクシオンと再会するエピソード(書籍版とは設定が異なる部分があり、正史ルートの後日談では無い模様)が描かれているが、そこで転生についてある事実が判明している。
輪廻転生自体は全ての魂が通る道であり、リオン達に起きた事は特別という訳では無かったが、実はリオンは『アルトリーベ』の舞台に転生する際、何故か自身の魂を裂いて同世界の同時期に複数の自分が存在する様にしていたのだ。
理由は単に「必要だったから」と語られるだけで曖昧だが、この事実から察するにノエルの元婚約者にしてルイーゼの弟リオン・サラ・ラウルトの正体は「複数のリオンの1人」だったと思われる。
ルイーゼは余りにもリオンと生前の弟に共通点が多すぎる事から、有り得ないと思いつつも何らかの繋がりを疑っていたのだが、それが見事に的中した事になる。
とは言え、全てが語られた訳では無い為、未だに多くの謎が残っている…。
『モブ』の正体
実は彼の先祖である冒険者リーア・バルトファルトは、ホルファート王国の建国に関わった五馬鹿の先祖と初代聖女アン、メアリーとパーティーを組み、リーダーとして活躍した人物だった。
しかし、五馬鹿の先祖の裏切り(詳しい真相はまだ不明)により功績の全てを奪われて田舎へ去る事になり、彼に想いを寄せていた聖女アンは王国の暴挙に激怒し、自ら行方をくらましてしまった。
これこそが聖女の血筋が行方不明になってしまった真相であり、現国王のローランドはこれらの真実を知っていたらしく、バルトファルト家の出身であるリオンが王家に取って代われる程の力を持った事に運命的なものを感じていて、これも王位を譲った理由の1つだった模様。
更にマリエの考察(3巻書籍特典)と併せると、ゲーム展開において「王国追放後のアンジェの結婚相手となった顔を負傷した醜い田舎貴族」というのはリオンの可能性が高い。
また、その根拠を裏付けるようにマリエルートでの黒騎士との闘いで顔を負傷し傷が付いたリオンは「醜男」呼ばわりされていたり、アニメ版3話でのゲーム版アンジェリカの末路説明時に追放された先で映っていた相手が「どうみてもリオンであったり」と思わせ描写が増加している。
転生兄に身体を乗っ取られない『本来のリオン』は『冒険者』ではなく『兵士』として兵役に行き、ロストアイテム無しで公国との戦争で生き残ったと推測されている。この場合公国のラスボスは聖女が倒したのだろう。
これらの情報を総合すると、「モブ」と思われていたリオンの本当のポジションは、存在は示唆されていても物語本編に直接登場する機会が無い、所謂「設定のみの重要キャラ」という事になる。
そして、マリエルートではアンジェもまた聖女の血筋である事実が判明。
建国の真の立役者の子孫と悪役令嬢にしてもう一人の聖女の子孫…この組み合わせが意味する物とは…?