解説
声:諏訪彩花
マリエ・フォウ・ラーファンや物語全体の主人公であるリオン・フォウ・バルトファルトの転生前の世界でブームとなった乙女ゲージャンルのゲーム「アルトリーベ~聖女物語~(シリーズ第1作)」に登場する悪役。ブラッド・フォウ・フィールドの元婚約者にして、カーラ・フォウ・ウェインのかつての主人。実家のオフリー家はレッドグレイブ家とは敵対するフランプトン侯爵の派閥に属している。
ゲームのストーリーでは悪役と言う重要な役割を担う立場故に、主人公のオリヴィアがブラッドのルートに進まずとも敵対し、それで返り討ちにされて破滅するキャラクターで、web版や書籍版、マリエルート等の各ルートでも、リオンを見誤って敵対した所為で潰されてしまう事になる人物である。
経歴
決闘騒ぎでユリウス達5人(五馬鹿)に賭けて大損したらしく、その腹いせに学園祭でリオン達の模擬喫茶店を荒らしている中、その有様をお忍びで訪れたミレーヌから制止され、相手が王妃とは知らずに暴言を吐いてしまったことでリオンから制裁を受ける羽目になる。
学園祭の件は流石に実家からも責められたが、それでも懲りずに逆恨みし、今度はオリヴィアに標的を変え、リオン達に嫌がらせを続けた挙句、取り巻きのカーラに命じ共犯関係にある空賊団「ウイングシャーク」に襲わせようと罠を仕掛けるが、ゲーム知識とルクシオンを持っていたリオンに空賊団は呆気なく返り討ちにされ失敗。
カーラの自白や、空賊と組んで働いていた悪事の証拠をレッドグレイブ家に掴まれた事で、実家は貴族の地位・財産・領地を召し上げられて取り潰しとなる。フランプトン侯爵の派閥にもあっさり切り捨てられた上に、当主の父と跡取りの兄は処刑され、自身は追放されてしまった。
そして、学園祭で彼女が起こした騒動は王国内の専属使用人である亜人達のリオンに対する敵意を高めてしまい、これが後のファンオース公国との戦争で、バルトファルト家の使用人であったミオルの裏切りに繋がり、その一件による専属使用人制度の完全撤廃にまで発展していく事になる。
人物
容姿は良い方なのだが、「屑」や「俗物」と言われても差し支えない程の性悪で、平民を人間扱いしない典型的な傲慢貴族の娘。
学園内で伯爵家以上、いや子爵家や男爵家、そもそも貴族の家柄の女子は落ち着いた者達がほとんどだが、そんな中で派手に遊び回っている為やたらと目立っている。オリヴィアの様な平民出身の特待生や下級貴族を見下しているが、本人の貴族としての品は皆無に等しく、食事のマナーすらも禄に守れない有様で、その自覚の無さをカーラからは辟易されていた。
上述の通り、下級貴族ならばまだしも、伯爵令嬢でありながら自国の王妃であるミレーヌの顔を知らず、強力なロストアイテムを持つリオンを敵に回す事のリスクも全く理解していないなど、かなりの無知であり、その浅はかさにはリオンは勿論、アンジェリカにも呆れられている。
オフリー家自体が商人だった先代当主に乗っ取られた家で、強引な手段で法の目を掻い潜った挙げ句、陞爵して伯爵になった経緯を持つ。つまり、親の七光りにてリオンの様に冒険者としての功績を評価された「成り上がり」ですらなく、何より自分の家柄を鼻にかける傲慢な態度故に他の貴族からもかなり嫌悪されていた。
人間関係
家族には異母兄であるリッキー・フォウ・オフリーがいるが、兄妹仲は最悪と言って良く、更に父のオフリー伯爵には多くの隠し子がいる模様。
ブラッドとの婚約は名門の貴族の血が目当てで、ファンオース公国との問題を外交で解決した功績から縁を結ぶ事を求めた事によるもの。ブラッドの実家フィールド家は公国との最前線で、黒騎士バンデルの脅威を武力抜きで回避したオフリー家の頼みを断れなかったのである。しかし、それもマリエの暗躍で結局台無しとなってしまった。
婚約破棄で騒動を起こしたアンジェリカやクラリスとは違い、ステファニー自身はブラッドとは顔を合わせた事が少なく、せいぜい名門貴族の血を手に入れる為に利用価値のある相手としか見ておらず情も一切無かった模様。しかし、やはり腹に据えかねてはいたらしく、空賊襲撃の一件ではリオン達諸共に罠を仕掛けている。
リオンやアンジェリカにとって彼女とオフリー家など不快な感情を抱く程度の相手でしかなく、その気になればいつでも潰すことが可能だったのだが、それを全く理解せずに彼らの力を見誤った結果、実家とその寄り子を含めた多くの家が潰され、ウェイン家でも令嬢のカーラを追い出す事になり、空賊団に至ってはリオンによって心を折られた上で壊滅させられるなど、周囲に甚大な被害をもたらす形で自滅同然の末路を辿ってしまった。
元々、権力を笠に不遜な振る舞いをしてきた事で評判が悪く、家を追い出された上に見せしめとして迫害を受ける羽目になったカーラからは酷く恨まれており、求心力も実際には皆無。
婚約破棄と決闘騒ぎで味方のほとんどを失ったアンジェリカを嘲笑っていたが、追放後、逆にオリヴィアやリオンという真の味方を得ていた彼女からは、全てを失った末路を多少なりとも憐れに思われており、学園を去った自分を真面目に気にかけてくれていたのは、皮肉にも敵対していたアンジェリカだけであった。
『マリエルート』及びその書籍版『あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です』では、ブラッドの籠絡に失敗したマリエと彼女の傍にいるリオンに絡み、ラーファン子爵家を取り込み、同時にマリエをいつまでも独身でいる兄リッキーの結婚相手とするなど、ブラッドに言い寄ろうとした仕返しも兼ねた悪事を企むが、こちらのルートでもルクシオンの力を使ったリオンに完敗し、しかもバルトファルト家と同盟を組んだ貧乏貴族家の連合軍の侵攻によってオフリー領が陥落。
本編のルートよりも凄まじい形で失墜する羽目になったが、最後に自分なりに貴族としての矜恃を見せて退場しており、本編ルートよりはマシな形で物語からフェードアウトした。
余談
web版から登場しているが、書籍版やコミカライズ版でも何故か名前が付くことが無く、長らく本名が不明のままで、単に「オフリー家の令嬢」か「伯爵令嬢」呼びで、コミカライズ版でも「オフリー家伯爵令嬢」としか紹介されていなかったが、本作のアニメにて「ステファニー」という名前がようやく公開された。
オリヴィアやアンジェリカを罵倒し、リオン達を罠に嵌めようとするなどして散々暴れ回り、読者からのヘイトを多く集め、書籍版では挿絵にも登場している彼女だが、それ以外の扱いは悪く、没落する過程もろくに描かれない。ある意味では真のモブキャラである。
コミック版やアニメでは、貴族の令嬢どころか女性らしからぬ醜悪な表情で終始描かれており、学園祭でリオンにしてやられて痛々しい状態になってから、さらに醜い感情をぶつけ出している。
尚、こちらでは争いに敗れた後、全てを失った現実に絶望している様子が明確に描写されており、書籍版よりは溜飲が下がる形となっている。
原作者の三嶋与夢氏によれば、「自業自得だけど同情は出来るキャラ」との事。
王妃であるミレーヌの顔を知らなかったのは実家が嫌悪されているが故に貴族社会でのけ者にされており、王宮に呼ばれず、社交界に出られないからであり、リビアとアンジェを引き裂こうとしたのも、学園では他の貴族から距離を置かれており、本当の意味での友人がいない事から来る嫉妬によるものだったらしい。本編では性格の悪さが原因で破滅してしまったステファニーだが、どこかで手を差し伸べてくれる人物がいれば、彼女にも良きifの展開があったのかもしれない。
ちなみに、髪型が某作品の重要キャラとほとんど同じ事からネタにされている。