解説
声:鈴代紗弓
リオン達の一つ上の先輩。
アトリー伯爵家の令嬢で、元はジルクの婚約者。
主人公のリビアがジルクのルートに進むと対立する事になる。
人物
オレンジ色のボリュームのある髪と、スラリとした背の高いモデル並の体形を持った美女。
怒るとかなり迫力があるが根は優しい女性で、アンジェリカと同じく人として真っ当な心を持った貴族令嬢である。ジルクへの嫌がらせも気持ちを裏切られた悲しみの裏返しで、自分を慕う取り巻きの男子達の事は心から大切に想っており、気持ちが荒んでいる中でも他者への気遣いができる性格。レースの最中にアンジェリカとオリヴィアがステファニーと一悶着あった事を気に掛け、リオンに彼女達の元へ行く様に伝えるなど助け船を出している。
この様な人柄もあって、リオンをして「良い女」と言わしめた。
尚、「察する」のが異様に得意な模様。
経歴
元は如何にも優等生という格好だったが、ジルクに一方的に婚約を破棄された事でグレてしまい、初登場時には服を着崩したギャルの様な出で立ちになり、亜人種の専属奴隷をたくさん侍らせた派手な振る舞いをし始め、父親のバーナード伯爵や取り巻きの男子達からは心配されていた。
それでも怒りが収まらず、取り巻きを使ってジルクやその関係者に執拗な嫌がらせを行い続け、同じように五馬鹿の婚約破棄の被害に遭ったアンジェリカや周囲の言葉にも耳を貸そうとしなかったが、エアバイクレースの一件でジルクの代理を務めたリオンの計らいでジルクから謝罪を受け、ようやくけじめをつける事になった。こうしてアンジェリカと同じくリオンに救われた事を切っ掛けに彼女もまた好意を抱き、後に彼のお茶会に参加するようになる。
人間関係
上述の通り、取り巻きの男子達との関係も良好で、嫌がらせの一件は完全にジルクに非があり、後に彼女と取り巻き達も妨害行為に走った事を心から深く猛省している為、リオンもクラリスを悪く思う様な事は無く、彼女に気持ちが無かったジルクも決闘騒ぎで少しは反省したのか自分なりに罪悪感を抱いていた。
婚約破棄の元凶であるマリエに対してはアンジェ同様に敵意を剥き出しにしていたが、ジルクとの関係にけじめをつけた後は特に絡んでいない。
尚、マリエは改心後、リビアやアンジェと同じく彼女にも迷惑を掛けた事を悔やんでいる様子がweb版で描かれている。
現在は助けてくれたリオンに懸想しており、アンジェリカ達と婚約した後も彼の事を諦めずにチャンスを窺っているらしく、学園内での話し合いでは、リオン絡みで何やら思わせぶりな発言をしてはアンジェリカの神経を逆撫でする事が多く、当のリオンに対しては政治的な取引きを建前にして自分と関係を結ぶことを求める等、かなり露骨に接しており、彼女の警戒心を無駄に強めている。
一方で、事件が起きる度にその解決に動かざるを得なくなるリオンを心配しており、彼のためにできることについて悩むアンジェリカにアドバイスを送る事も。また、本当に対立関係になる筈だった主人公のオリヴィアとは大した絡みが無いが、何気に彼女と立場が一部逆転しており、「オリヴィアに婚約者を奪われる筈だったクラリス自身が、逆にオリヴィアの婚約者を狙う」という、こちらもかなり複雑かつ皮肉な事になっている。
取り巻き達を含めた周囲がどんどん結婚や婚約をしていく中、ただ一人取り残されてしまってる自身の現状に強い焦りを感じており、居たたまれなさから愚痴をこぼすなどかなりストレスが溜まっている模様。尚、ダンを始めとする取り巻きの男子達は彼女に対して「尊敬」や「崇拝」に近い感情を抱いていて、「恋愛」の気持ちを向けるのは畏れ多いと考えており、この話を聞いたリオンはクラリスを不憫に思い気遣っている。
余談
書籍版ではweb版での彼女の問題行動の一部が別の人物に置き換えられており、悪印象がほぼ無くなっている。
関連タグ
ネタバレ注意
元婚約者であるジルクのクラリスに対する評価は「重い女」である。
まだ婚約者として付き合っていた頃、ジルクが一人で新型のエアバイクを見入っていた事があったが、何故か翌日にクラリスがそのエアバイクを届けに来た。
しかも、その後も何度か同じ事が続き、明らかに偶然では無い事態にジルクは辟易したらしく、その時の気持ちを思い出してか遠い目をしてリオンに当時の事を語った。
察するに、これが婚約破棄の遠因だった模様。
また、ジルクはマリエに本気で好意を抱いたが、それ以前から自分では受け止めきれない重さを持つクラリスから逃げる口実を欲していたと解釈できる。
…もっとも、リオンはその過去を知って驚きはしたが、クラリスの魅力をある程度理解している故か「その程度なら別に」という感じであっさりと流すのだった。
更なるネタバレ注意
本編最終章にて…
神聖魔法帝国戦を前に、アンジェの策とローランドの企みによってリオンがホルファート王国の次期国王に即位する事が決定。
クラリスのアトリー家を含めてバラバラだった貴族達はリオンの元に纏まる事になるが、当のリオンは死亡率の高い戦いを前に自暴自棄に陥って視野がいつも以上に狭くなっており、周囲が自分を次の国王として祭り上げた事に気付いていなかった。
そして、クラリスは自分と同じくリオンに想いを寄せるディアドリーと共に、かつての敵だったヘルトルーデと、リオンがノエルと同様、アルゼル共和国で縁を結んだ貴族令嬢であるルイーゼと対面し、戦いの報酬について…と言うよりもリオンを巡って話し合う事になるが、当のリオンが鈍感故に「報酬」について勘違いしている状況を利用し、彼女達と大して牽制する事なく、彼に「希望するだけの最大限の報酬を約束する」という曖昧な内容の契約書にサインさせる事に成功。
そして、戦いが王国の勝利で終わり、リオンは瀕死の重傷を負って3ヶ月間眠り続けていたが、無事に生還を果たす。
そのまま彼がホルファート王国の新国王となった直後、クラリスは他の3人と共に例の空手形の契約書を王妃となる事が決まったアンジェに見せ、自分が代表となって「最大限の報酬」として「国王リオンの側室となる」事を望む意思を伝えた。
それを報されたリオンは初めて自分の勘違いと失策に気付いて愕然とするも、最早断る選択肢は無く、アンジェ達もクラリス達の人となりとリオンへの気持ちが本物だと知っている事もあってか、特に修羅場にならずに受け入れる事が決定。当のリオンはアンジェから安易な契約を二度と結ばない様にキツく叱られてしまうのであった。
…が、本当の修羅場はその後であり、ローランドの策によって彼から離縁されたミレーヌもまたリオンの側室になる事を望んで押しかけてくる事態となり、リオンのミレーヌに対する執着を知っているクラリスは大いに焦ることになった模様。
と、様々な紆余曲折があったものの、諦めずにチャンスを狙っていた甲斐もあってクラリスもリオンと結ばれる事になり、独り身から無事に脱却するのだった。