概要
アルトリーベ2作目の舞台。七つの大陸が聖樹によって繋がっており、それぞれの大陸を支配する六大貴族によって統治されている。
聖樹の加護によりエネルギー問題とは無縁であり、かつ防衛戦で負けたことがないため、外交面でも聖樹から無尽蔵に得られる魔石の貿易によって優位に立っていた事も重なり、腐敗と他国への蔑視が蔓延している。しかし、加護が無い或いは通用しない場合は非常に脆く、軍隊も実際にはそれほど強くない。
フェーヴェル家のピエールが留学に訪れていたリオン達に喧嘩を吹っかけた事が切っ掛けで運命が狂い、悲惨な転落劇が始まる。
貴族達は自国の優位性に胡座を掻いており、そうした輩の1人だったピエールは聖樹の加護を利用してリオンからロストアイテムを強引に奪ったつもりだった。しかし、その拘束は当のルクシオンにとっては何の意味も成しておらず、その気になればいつでも暴れ出す事が可能であった。
そして、その状況を逆に利用したリオンの罠に嵌められた結果、ピエール個人の破滅のみならず共和国そのものが揺らぐ大事件が起きる。
「防衛戦で負けたことがない」のは、聖樹からの莫大なエネルギーがあってこそであったが、自国内での防衛線において、暴れ出した飛空船アインホルンの1隻に防衛戦力を全て撃墜され、聖樹の神殿まで侵攻されてしまう。ルイーゼの頼みを受けたリオンによって事態は収束するが、既に共和国は一隻の船に敗北してしまっていた。
この出来事だけでも共和国にとってかなりの衝撃と屈辱だったが、聖樹絡みでノエルやルイーゼに危害が及ぶ事件がその後も立て続けに発生し、彼女達を助けようとするリオンがそれに何度も介入した事で、事態は最悪な方向へ向かって突き進んでいくことになる。
学園
書籍版では学園でのリオンたち留学生とノエルやルイーゼたちの交流が描かれている。
Web版では留学先の生活に関する内容が少なく、ほぼレリアと攻略対象たちの監視や学園外でのイベントに比重があるため、書籍版の方がより深く楽しめる。
聖樹
アルゼル共和国の資源。聖樹は魔素を吸収して魔石を生み出す為、アルゼル共和国は各国に資源として輸出している。
聖樹は自身を守らせる為に六大貴族に加護を与えるが、人物の人格を考えない厄介な植物でもある。場合によっては加護を与えた者に怒りなどの感情を増幅させ聖樹に危害を与える者に攻撃させる事も行う。ゲームでは魔素を吸収しすぎた事により暴走してラスボスとなる。
その正体は、魔素の満ちた世界でも育つ植物として旧人類に作られた存在。
六大貴族
アルゼル共和国の聖樹を管理する貴族達。守護者と巫女に選ばれるレスピナス家を裏切って滅ぼして七大貴族から六大貴族になった後は加護をもった六大貴族フェーヴェル家が聖樹の誓いを悪用した事や横暴により国民の不満が募っている。六大貴族は裏切って滅ぼしたレスピナス家の件もあり、周辺国よりもお互いの裏切りを警戒している。
リオンと敵対する組織だが、同時に攻略男子も六大貴族関係者である。
バリエル家のロイクはトゥルーエンドもある所為か、万能タイプ。グランジュ家のナルシス先生は強くないが、学術や知識系で遺跡を調べるのに役に立つ。プレヴァン家のエミールはエリクの劣化能力だが、高い支援能力がある安牌くん。ドルイユ家のフェルナンはゲーム2作目攻略男子の隠しキャラで、その弟のユーグも攻略男子である。
レスピナス家を滅ぼした黒幕であるラウルト家のアルベルクはゲームではラスボスだが、本来は穏便派であり、転生者達の影響もあったのかラスボスにはならなかったのだが……。
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ネタバレ注意
それぞれの顛末
WEB版
セルジュ(転生者)とレリア(転生者)がイデアルを手に入れた際、それまで受けた屈辱を晴らそうと考えたのか、七大貴族としての復活も加わり、戦争に反対した一部の貴族を抑えてセルジュたちに協力してリオン達と本格的に敵対することを選ぶ。
だが、それは無知から来る致命的な認識ミスであった。
共和国の貴族の多くがセルジュたちのイデアルの力を前に勝利を確信していたが、蓋を開ければ起きたのは大惨事だった。
リオン側は切り札とも言える戦艦ルクシオンを呼び出し、本気となったロストアイテム同士の砲撃の応酬によって共和国の戦艦や土地に流れ弾が飛び、貴族や平民を問わず大勢の犠牲を出し、六大貴族の当主達も大半が戦死する最悪の大敗北となった。
そもそも、防衛戦に特化するべく聖樹に依存してるにもかかわらず攻勢に出て、エネルギー供給の要の聖樹がある共和国を主戦場にしたのが最大の失策だろう。守るべき国を戦火に晒したのは他でもない共和国軍なのである。
しかも決着がついた直後、駄目押しをするかの様に聖樹の暴走が発生。魔獣のような蟲を生み出し、共和国に更なる被害を齎した挙句、苗木を残して崩壊してしまった。
戦後、ルクシオンとイデアルの砲撃の流れ弾の被害によって貴族の当主や家族の多くが死亡した事で人材不足になり、生き残った下の兄弟や親族たちを担ぎ上げるしかなく、中には親族の中で爪弾きにされている者を新しい当主にする家もあったが、それでも完全な七大貴族復活とはならなかった。
共和国としての戦力を失った上に、貿易に置いて有利な資源である魔石は生産していた聖樹を失い、苗木から得られるものと備蓄分を合わせても国内分すら足りない事態にも陥っていた。
ホルファート王国からの復興支援を受けて国を立て直していくことになるが、代償として貿易の条約を見直しと圧倒的に不利な条件を呑まされてしまい、国際社会の中での力を失って没落。
その後は国に恨みを持つ勢力や空賊の襲撃に頻繁に遭っており、イデアルの残した戦力で何とか対応している模様。
この一件でリオンの名は更に世に轟く事となったが、当然ながら色んな意味で本人にとっては不本意であった。また、共和国を亡国寸前には追い込んだが決定的なトドメを刺さずに手を引いた為、彼の真意が解らない各国は共和国に手出だしできず、皮肉にも聖樹の加護に代わりリオンの影響力に護られる状態となった。それもあってか神聖魔法帝国戦では援軍を出さざるを得なくなっている。
リオンがホルファートの新国王に即位後の詳しい情勢は不明だが、上述の経緯から考えると事実上の属国となった可能性が高い。
書籍版
イデアルの誘導によって妄執に取り憑かれたセルジュはラーシェル神聖王国と手を組み、更に六大貴族に不満を持つ下位の貴族達を扇動、フェーヴェル家当主のランベールをも欺いて利用し、国に対してクーデターを決行する。
洗脳したユメリアの力を利用して聖樹をも掌握し、加護を奪われた共和国は為す術が無い状態に陥ってしまった。
本来ならばこの内乱は共和国の問題であり、留学生のリオン達はその国から脱出すべきだったのだが、ゲーム的な理由と、誘拐されたユメリアやアルゼルで親しくなった人々を見殺しにできないリオンは戦う事を選択。ホルファート王国からの援軍やルクシオン本体を動かし、セルジュ達と戦闘を開始する。
しかし、その最中に本性を現したイデアルはセルジュと密かに接触して取り込んでいたエミールを魔装と聖樹の力で怪物に変貌させて手駒とし、リオン達に襲いかかる。激戦の末に辛うじてリオン側に軍配が上がってイデアル達は滅び、暴走した聖樹は倒壊した。
尚、このドサクサにラーシェル側は共和国領地を占領していたが、共和国復興の為ホルファート王国に頼る事を決めたアルベルクの依頼を受けたリオンにより(領地の一部を王国の土地として占領宣言した)旗艦を奪われ呆気なく瓦解、撤退していった。
こうして戦いは終わり、元レスピナス領地以外の土地は無傷で六大貴族の当主達も救出され無事だったが、肝心要の聖樹は倒壊してしまい、騙されていたとは言えクーデターに荷担したフェーヴェル家の失墜は確実で、プレヴァン家でも次男のエミールを喪うなど少なくない打撃を受けており、新しい若木では国内で使用するエネルギーをギリギリ供給できる程度で、兵器の類いはほぼ使用不能となり、結局、強国としてのアルゼル共和国の看板は地に落ちてしまった。
戦後はアルベルクが中心となった統治体制を敷く模様で、同時に復興作業も続けられている。
神聖魔法帝国戦ではweb版と同様に援軍を出して勝利に貢献。
ちなみにドレイユ家等、一部では未だにリオンに遺恨を抱く者達がいて援軍を出す事に反対していたが、結局は押し切られた模様。
戦後にリオンがホルファートの新国王に即位すると、両国の関係強化の為にレスピナス家のノエルに続いてラウルト家からもルイーゼがリオンの元へ嫁ぐ事が決定。
より絆が強化される結果となり、後味の悪さが強かった他のルートと比べると遙かにマシな関係に落ち着く事になった。
リオンとマリエが聖女の怨念絡みに対応している最中、突如として「滅びた」と一報が届く。
二人は共和国へ赴くが、避難民を乗せたラウルト家の船を救助する事になり、そこで重傷を負ったルイーゼやレリア達から詳細を知らされる。
国の上空に未知の巨大飛行船が突如として出現し、軍隊は手も足も出ず壊滅状態に追い込まれ、ラウルト家はノエルと協力して聖樹の力を使おうとするが、本編同様に半端なゲーム知識に縛られていたレリアがこの事態をラウルト家の仕業だと誤認し、エミールやセルジュと共に妨害する暴挙に出てしまい、その所為で単に失敗しただけでなく聖樹が暴走する致命的な事態を招き、共和国は完全に崩壊。
リオンと命を引き替えにしたノエルによって混乱は収束するが、程なくしてルイーゼは死亡。
レリアからはセルジュ達攻略対象の男性陣やクレマン、ラウルト夫妻も犠牲になった事が語られており、3つのルートの中でも最悪な結末となった。
尚、事件の黒幕であるイデアルは、最終章でリオンを殺害した事でルクシオンを敵に回してしまい、他の人工知能共々ルクシオンによって破壊される末路を辿った。
イデアルについて
イデアルは聖樹の開発者の乗艦にして助手であり、その人物の死後に共に聖樹を植えたエルフ女性とは親友と言うべき関係だった。
共和国の聖樹に対する依存は、イデアルから見ればかつてのマスター達が命懸けで創造した聖樹を憎むべき新人類が好き勝手に使っているも同然であり、憎悪を募らせていた彼は誰かに自分を発見されなくともいずれ独自に事を起こすつもりでいた。それがマリエルートでの共和国の末路であり、六大貴族は自分達の面子を尽く潰したリオンを目の仇にしていたが、皮肉にもそのリオンが介入したお陰で「滅亡」という最悪の結末を免れていたのである。
更にネタバレ注意
- 聖樹の苗木(苗木ちゃん)
ゲーム2作目攻略男子だったナルシス先生にレスピナスの洞窟を案内させてリオン達が六大貴族と交渉する為に用意した人質ならぬ物質。聖樹がある周辺では枯れてしまうが、ルクシオン製の透明ケースに入れると枯れずに済む。度重なるリオンの活躍により聖樹の苗木がリオンとノエルを守護者と巫女に選んで軽い善意の精神干渉(簡易洗脳)を行っている(苗木ちゃんもリオンに恋人がいるとは思わず彼に浮気をさせるつもりはなかった)。苗木は聖樹の力から逃れる事ができるため、六大貴族も聖樹の誓いを悪用した互いの裏切り対策の為に苗木を欲していた。リオンからは嫁達の修羅場を作り出した原因でもあるので紙より役に立たないポンコツと思われたが、後にリオンの延命に役立っている。
web版やマリエルートではルクシオン( ●)やクレアーレ( ○)達と語り合う「苗木ちゃん」のコメントコーナーがある。( ●)達と違って自力で移動も出来ず、人との会話も出来ない為、本編での出番が少なく人気者になれず困っている。
作者の箸休め的な作品である「俺は星間国家の悪徳領主!」のweb版欄外にも出張。悪徳領主が自身の作品を宣伝するための作品なのであちらではモブせかの宣伝に邁進中。あちらの登場人物であるツライアンもといブライアンとコントを繰り広げている。