概要
アルゼル共和国の六大貴族の一つ「ラウルト家」の跡取り。2作目の攻略対象の1人。
web版では転生者。
同じ転生者であるレリアからの情報を頼りにイデアルを探し出し、マスターになる。
リオンとは違いアルゼル共和国を統一するという野望を持つが、それは所謂チートアイテムを手にした事から来る慢心で、本人はゲーム感覚で動いている節があり、武力を使った戦いの代償と責任の重大さに気付かず、漫画アニメで描かれる様な強大な力が現実化する事の危険性も正しく理解していない。
また、劇中に登場した転生者の多くがアルトリーベシリーズを知っていた中で、珍しくシリーズを知らない側の人間であり、2作目を未プレイのリオンでも気づいた補給艦の役割についても把握してないなど、そちらに関する知識にも疎い。
そうした浅慮さが災いし、独自の目的を持つイデアルに巧みに誘導される形で増長。同じようにイデアルによって増長していたレリアと共にリオンと敵対する。
ノエル救出を理由に、リオン達を民間人も生活している場所で襲撃する暴挙に出て国際問題を起こす。その際に周りへの被害を懸念して防戦一方のリオンのアロガンツを一方的に負かしたことで増長がさらに強まるが、ロストアイテム同士の戦闘による大惨事を避けたいリオンがやり過ごしただけだという事に気付いておらず、リビアを誘拐してリオン側を本気で怒らせてしまったのも軽く見た結果、共和国内でロストアイテム同士が全力で衝突する最悪の事態『戦争』を起こしてしまう。セルジュ自身は鍛えた能力とイデアルが用意したアロガンツの性能を越える鎧「ギーア」で戦うが、戦闘していたのはルクシオンによって遠隔操作されていたアロガンツであった。その上、リビアを救出し終えて戦場に戻ってきたリオンがルクシオンに操縦を預けて戦っていることにも非難をしながら戦うが、そもそも決闘を仕掛けたわけでもなく、戦争に発展している状態では力比べをする道理もない。追い詰められて、終いにはリオンが本気で自分を殺そうとしている事に気付いて命乞いをする羽目になる。
その場は見逃されるが、既に共和国は焼け野原と化しており、その光景を前にしたセルジュは自分が途方も無い過ちを犯した事をようやく自覚し、愕然とする。
更にセルジュが敗北した直後に駄目押しとばかりに聖樹の暴走が発生し、壊滅状態となった共和国は没落。責任を負ったアルベルクが自身の命を引き替えにした事で助命されるも、その後を継いだ本人は死よりも重い2度目の人生を歩む事が確定。自分の愚かさを後悔し、国を狙う空賊の相手をしながら死に場所を探す日々を過ごす様になる。
後の神聖魔法帝国戦にて再登場するが最早生きる屍の状態であり、戦闘では味方に貢献するものの、国を失墜させた所為で共和国軍からの扱いは悪く、危機的状況に陥っても救助されない有様で、代わりに同盟を組んでいたファンオース家の軍に助けられる姿を最後に物語からフェードアウトした。
余談
最後までイデアルの道具として利用されており、また日本語が読めるリオンに興味を持ったルクシオンとは違い、出会ったのが新人類の排除に傾倒しきっていたイデアルだったことに関しては不幸でしかない。しかし、この姿はある意味で言えば。リビアがルクシオンを手にした場合の末路に近い状態であり、ホルファート王国も同じ道を歩んでいた可能性があった。
尚、読者からは劇中の数々の愚行と悪い意味での子供っぽさから、「前世も頭の悪いガキだったのでは?」と予想されているが、原作者の三嶋与夢氏によると「元は30代のサラリーマンだった」との事。
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ネタバレ注意
以下、書籍版
書籍版では転生者でも無ければアルベルクの実子でも無く、ラウルト家嫡男の急逝によって跡取りとして用意された養子。二つ名は「仇敵」。
ゲームではラスボスとなる養父アルベルクへの不信感からノエルに協力する役割だったが、そのアルベルクがラスボスの役割から外れた影響なのか、彼自身は運命が最悪の形で狂ってしまう。
学院そっちのけで冒険者としてダンジョンに挑んでおり、聖樹頼りの共和国の貴族の中ではまともな実力を持つが、薬物を使用した肉体強化を行っていて、冒険者としての能力はリオン達ホルファート王国の冒険者には全く及ばない。
2作目主人公のノエルでは無くレリアに惹かれており、彼女の婚約者であるエミールとは対立関係。家族となったラウルト家とは上手くいっておらず、姉となったルイーゼとも複雑な確執があった。
幼少期、セルジュは自分が逝去したリオン・サラ・ラウルトの代わりとしてラウルト家に迎え入れられた事にネガティブな想いを抱いており、姉となったルイーゼがいつまでも死んだ実弟を想っている事も気に入らず、ある時に彼女が大切にしていたリオン(ラウルト)の遺品を燃やす暴挙に出てしまい、それ以降完全にルイーゼとは不仲となり、既に故人であるリオン(ラウルト)を憎む様にまでなってしまう。
レリアに惹かれたのは付き合いやすい性格であると同時に、自分と同様に「姉」という存在に対して愛憎入り交じった複雑な感情を抱いている事に気付いたのが切っ掛けで、冒険者への憧れにも理解を示してくれた彼女を大事な女性として意識しており、いつかエミールから奪い取ろうとまで考えている。
彼女に付き合って共和国内のダンジョンに挑み、ロストアイテムであるイデアルを発見。レリアと共にマスターと認定されるが、ここから彼の悲劇が始まる。
新年祭で想いを遂げようとレリアに半ば強引に迫るが、そこでルイーゼとリオン・フォウ・バルトファルトと遭遇。ラウルト家のリオンと瓜二つの容姿と名前を持つ彼を見て、ルイーゼが弟の代わりとして彼に接している事を察すると、激昂して殴りかかる騒ぎを起こす。
その場は何とか静まるが、直後にルイーゼが聖樹の生贄に選ばれる事態が発生。
状況に悩むセルジュだったが、そこへ現れたイデアルからアルベルクがこの件で養子の自分よりもリオンを頼っている事を知らされ、以前からラウルト家に抱いていた不満が高まった事もあり、ルイーゼを利用してリオンを抹殺しようと企む。
自分がイデアルの奸計に踊らされているとも知らずに。
そして、生贄の儀式を妨害しようとするリオン達が六大貴族の令息達と直接対決する事態に発展。
セルジュはリオンの能力はロストアイテム頼りであり、生身での戦いでならば勝てると決めつけていたが、実際の力の差は大きかった。
リオンは生贄に進んでなろうとしているルイーゼを騙すためにわざとセルジュに痛めつけられ、彼女の意識を自分に向けさせた上で、自分が彼女の弟のリオンであるかの様な芝居までして生贄の儀式を壊そうとしたが失敗。それにより用が無くなるやいなや、セルジュを本気の一撃で沈めるとさっさとルイーゼの元へ向かい、彼女の救出を達成してしまう。
この屈辱的な敗北に憤慨したセルジュはリオン、そして自分を切り捨てたという誤解からラウルト家に対して復讐心を抱き、共和国内に侵入したラーシェル神王国と独断で手を結ぶと、更に六大貴族に不満を持つ下位の貴族達を扇動して共和国へのクーデターを決行。イデアルが洗脳したユメリアの能力を利用して貴族達から紋章の力を奪う事に成功し、国内を大混乱に陥れる。
事態を収拾しようとリオン達が介入してきた事を知ると、自身は専用機「ギーア」を駆って五馬鹿や誘拐された母ユメリアを救おうとするカイルらと激突。そして、本命であるリオンとの戦闘に突入するが、アロガンツと性能が負けず劣らずの鎧や肉体強化薬に頼っても彼との技量の差は大きく、所詮は敵では無かった。
そもそもカイルとユメリアに襲い掛かった時に、割って入ったブラッドと一騎打ちを演じているが、鎧の性能に勝り中距離戦タイプのブラッドと接近戦を演じているという有利な状況にもかかわらず、カイル達の撤退の時間稼ぎをされた上に多少のダメージは与えたもののブラッドにも最終的には逃げられているのでこの時点で鎧使いの実力はお察しである。
セルジュは目の前のリオンと故人であるリオン(ラウルト)を重ねるあまり、殺意を剥き出しにして襲いかかりながら、彼に対して「お前の所為でラウルト家に家族として愛されなかった」と十年以上抱いていた想いを吐き出す。
セルジュは養子として迎え入れられたが故にラウルト家の人々の自身に対する愛情を疑っており、それがこれまでの反抗的な態度となっていたのだが、一方で本当に愛情があるのか確かめたい想いがあった。しかし、弟との思い出を壊されたルイーゼは心に傷を受け、アルベルクはそんな子供達に心を痛め続けることになってしまう。
「本当に自分を愛しているなら許してくれた筈だ」と言うセルジュだが、それを聞いたリオンから、一方的な感情を押し付けるばかりで、ルイーゼやアルベルク達の気持ちを考えていない事、何よりセルジュ自身が彼らを家族として愛そうとしていない矛盾を指摘され動揺する。
そして、アルベルクが冒険者に憧れる気持ちを尊重しようとしていた事など、イデアルから一切聞かされていない話を初めて知らされ驚愕。
ここで、ようやく自分がイデアルに騙されていた事に気付くが、全ては遅すぎた。
本性を現したイデアルは、仕込んでいた魔装の破片を利用してギーアにセルジュを取り込ませ制御下に置き、更に秘密裏に接触していたエミールを聖樹の怪物へと変貌させ、猛攻撃を開始する。
そして、怪物にされてしまったセルジュはルクシオンのインパクトの攻撃により撃墜された。
エミールとイデアルも倒されて戦いが終わった後、魔装に取り込まれた状態で正気に戻り、駆け付けたリオン達に発見されるが最早助けることは不可能だった。自分を助けられないアルベルク達を詰るが、その現実を家族として心から悲しみ、苦しんでいる姉と父を目にし、改めて己の過ちを悟ると二人にこれまでの事を泣きながら謝罪。
苦しみから解放する為の介錯役を進んで引き受けたリオンにも迷惑を掛けた事を詫び、後を頼んで落命した。
後の最終章にて死にかけたリオンが死者の国を彷徨っていた際に、他の死亡退場したキャラ達と共に霊魂として再登場。度重なる精神的な負担から戻る事を渋るリオンを説得すると同時に現世に残したルイーゼやアルベルク達の幸せを改めて頼み、現世へ戻す後押しをした。
余談2
書籍7巻の表紙では不敵な笑みを浮かべたセルジュの横顔がライバルかボスキャラの様な雰囲気で描かれているのだが、実際の本編における彼の扱いは哀れな道化そのものであり、見ようによってはかなり皮肉。
web版とは違い、アルベルクが生き残った代わりに死亡してしまったが、こちらもクーデター等の反逆行為で法的にも助けることはできず、戦死しなければ「死」よりも重い地獄…それこそweb版と同等の悲惨な末路が待っていたと思われる。長い生き地獄を味わうよりはマシな結末なのかもしれない。
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