概要
リオンの父バルカス・フォウ・バルトファルトの正室ゾラの家族だが、夫のバルカスや側室であるリュースの家族を見下している上に農奴扱いしていて、情は一切抱いていない。
ホルファート王国の女尊男卑文化を盾にバルトファルト家から搾取し、仕送りが減れば彼らの事情などお構いなしに嫌がらせを行うなどやりたい放題していた為、当然ながらリオン達からは嫌われていた。
質の悪い事に、ゾラが産んだメルセ、ルトアートの姉弟は不倫で産まれた子供であり、いずれルトアートをバルカスの跡取りの男爵としてバルトファルト家を乗っ取る腹積もりでいた。
ところが…
リオンやコリンを組織内の取引きの犠牲にしようと企み、強引な縁談の話を持ち込むが、それにより前世のゲーム知識を使うことを余儀なくされたリオンが、冒険者としてロストアイテムであるルクシオンを入手した事で失敗。そして、ここから彼女達一家と傲慢な王国貴族の女達の運命が大きく狂い出す。
家系
- ゾラ・フィア・バルトファルト(母）
声：折笠愛
本来ならモブでしか無かった筈のリオンを物語の表舞台に立たせる切っ掛けを作った張本人。
傲慢な貴族女性の組織「淑女の森」に所属する根っからの性悪女。
高慢ちきな性格で小役人のステレオタイプの様な面があり、下の立場の人間には尊大な態度だが公爵令嬢であるアンジェの様な上の立場の人間に対しては卑屈で、分が悪いとそそくさと逃げ出すなど典型的な小物。
見合いの策が失敗した後もリオンから大金を奪おうと絡むが上手くいかず、彼の出世により裕福になっていく側室家族に反して、ゾラ達はどんどん立場が無くなっていく事になる。
以前からバルカスには不貞を疑われていたが、ファンオース公国との戦争の際に彼と言い争いを起こし、口を滑らせて自分からそれをばらしてしまった。
結果、離縁されると同時に見捨てられる。
悪い事に住んでいた屋敷も戦争で失ってしまい、戻るべき実家も参戦せずに逃亡を選択した所為で取り潰しとなり、皮肉にも親子共々見下していた平民の立場に落ちぶれる事になった。
- 浮気相手の男(父)
詳細は不明だが、ゾラ曰く「私の愛した人」。
ただ、本編には一度も登場しないため、公国との戦争と前後してゾラ達を見捨てて逃げ出したか、死亡している可能性が高い。
マリエルートではニックスによって容姿がルトアートに似ているらしいという言及がある。
- メルセ(長女)
母と同様に傲慢な性悪で、弟であるルトアートすらも見下している。しかも、腹黒い性格な故に悪事のやり方も陰湿な為に余計にタチが悪い。
子供の頃からジェナとフィンリー相手に悪質な嫌がらせをしていた為、フィンリーからは相当に恨まれていた。それ故に家を追い出された逆恨みで二人を痛めつけた際には、積もり積もった怒りを爆発させた彼女から強烈な報復を受ける羽目になる。
- ルトアート(長男)
弱者相手には残酷なくせに強者相手では直ぐに逃げ出すという情けない男。
いずれ男爵となる筈が出生がバレた為に追い出されて平民に落ちぶれてしまい、以降は血の繋がった肉親である筈のゾラやメルセからも見下される様になり、それを受け入れられず、逆に大出世街道を歩み美しく高貴な令嬢達と婚約するなど順風満帆なリオンや、自分を蹴落としてバルトファルト家の跡継ぎとなり、ローズブレイド伯爵家の令嬢ドロテア・フォウ・ローズブレイドを娶って男の格を上げたニックスを妬み、「いつか全てを奪ってやる」と分不相応な事を考えていた。
その後
ファンオース公国との戦争後、改革によって王国の女尊男卑文化は消滅し、皮肉な事に今度は男尊女卑文化に近い状態となってしまった。
一家は同じように国内での居場所が無くなった「淑女の森」のメンバーと共に地下に潜伏していたが、改革の原因となったリオンをのさばらせた事で組織内での扱いは悪く、周囲からこき使われる上に、ストレス発散の相手として不満の捌け口にされるなど、自業自得ではあるが散々な苦労をしていた。
当然反省など全くしておらず、自分達を追い出したリオンやバルカス達バルトファルト家を逆恨みして、クーデター成就の暁には彼らを処刑しようと考えていた。
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書籍版のネタバレ注意
アルゼル共和国での騒動から暫く経った頃、組織はその一件でリオンに遺恨を持つラーシェル神王国からの支援でホルファート王国でクーデターを起こし、再び女尊男卑文化を復活させる事を目論んでいたが、実際にはラーシェルにいいように利用されており、それどころかリオンの力を利用した国王ローランドの策略によってクーデターは呆気なく失敗。
しかし、ゾラ一家は不運なタイミングが重なった所為で計画の失敗も自分達が見捨てられてしまった事態にも気付けず、何も知らないままジェナとフィンリーを人質にして放棄されたアジトに戻り、二人を痛めつけていた所を駆け付けたリオンに抑えられる。
そこで初めてクーデターが失敗し、全てが台無しになった事実を告げられ愕然。
状況が形勢逆転し、ゾラ達三人は姉を傷付けられて激昂したフィンリーからこれまでの報復として凄まじい暴行を受けるが、その最中にゾラはあろう事かフィンリーの暴行を受けながらも自分を心配して近付いた我が子であるルトアートに魔装の破片を突き刺した。
この期に及んでも諦めようとしない彼女はルトアートを捨て駒にして自分とメルセだけで逃げ出そうとしたのである。しかし、魔装によって暴走状態の怪物と化したルトアートはそんな二人に真っ先に襲いかかると、そのまま喰い殺してしまった。
そして、憎悪の対象であるリオンに向かっていくが、彼の婚約者であるアンジェ達に邪な欲望を抱いた発言をした所為で怒りを買い、まともな戦いもできないまま一方的にライフルで蜂の巣にされる無惨な最期を遂げた。
こうしてゾラ一家は貴族としての地位と財産ばかりか、辛うじて残っていた家族の絆と命の何もかもを失って破滅。
他の「淑女の森」のメンバーとラーシェルの人間達も捕えられて騒動が収束した後、リオンはクーデター鎮圧の功績とローランドのいつもの嫌がらせで公爵への陞爵が決定。
最初の見合いの一件から最後までリオンの出世の踏み台として終わってしまったのだった。
ただ、当のリオンはまたしても望まない出世をする羽目になった事に辟易しており、ある意味では一矢報いたと言えなくもないのは皮肉である。
余談
web版とマリエルートのゾラとメルセは逮捕或いは消息不明になる形で結末が曖昧なまま雑に退場しているが、ルトアートのみがどのルートも悲惨な形で死亡する末路を辿っている。
そして、マリエルートではバルトファルト家の先祖リーア・バルトファルトこそがホルファート建国の真の立役者だった事実が判明し、本編ではそれを知っていた国王ローランドがリオンに王位を譲る事を承諾し、バルトファルト王朝が開かれている。
これらの描写により、ゾラがバルカスとの間に子を成さなかったのが色んな意味で大失敗だったという事実が強調された。
