概要
ホルファート王国の王太子でアンジェリカ・ラファ・レッドグレイブの元婚約者。
本来は転生者リオン・フォウ・バルトファルトの前世がプレイしていた乙女ゲーの第1作主人公オリヴィアの攻略対象の1人で、その中でもメインとなる人物であった。
だが、リオンと同じ転生者であるマリエ・フォウ・ラーファンによるプレイ内容を基にした介入の結果、彼女に夢中になってしまい、それが原因で物語全体に大きな狂いが生じてしまう事になるのだが…?
経歴
物語開始前
ホルファート王国の国王夫妻であるローランド・ラファ・ホルファートとミレーヌ・ラファ・ホルファートの間に、王太子及び次期国王としての責務を背負う運命を背負って生まれたユリウスだが、自ら望んでそうなった訳では無いのを理由に、既に幼少期の頃より自分の立場に嫌気が差しており、この時点では特に嫌ってはいなかった婚約者のアンジェとも気持ちが擦れ違い、それによる反発心の影響か、自身の通う学園では王太子の立場を良い事に、自身を敬う誰に対しても尊大な態度を見せていた。
そんな中、ある日の登校中にて遭遇したマリエにも尊大な態度を取り、それに反抗した彼女から強烈な平手打ちを受けるが、逆にその事で自身に明確に反発を見せた彼女に興味を抱く事になる。やがて自身の苦しみを理解してくれた(と思い込んだ)彼女に対し、婚約者のアンジェの存在を意に返さない程の強烈な恋心を抱き、同じく恋心を寄せるジルク、ブラッド、クリス、グレッグの4人と火花を散らす事になる。
が、実はマリエの行動と立場は本来リビアが担うはずであった物で、邪な目的の為に近付いて来たマリエの不誠実な本性など知る由も無く、「イケメンの金づるの一人」としてユリウスは良い様に利用されていく事になる。
本編
王太子時代
他の4人と共にすっかりマリエに夢中になっていたユリウスだったが、その所為で自身の婚約者でありマリエを警戒するアンジェとの関係が険悪化する一方となり、アンジェの取り巻きが勝手にマリエの教科書を燃やした件では、「アンジェに命令されてやった」という取り巻き達の嘘を鵜呑みにし、本人の言い分もロクに聞かず一方的に責め立てる等、仮にも婚約者である彼女を蔑ろにし続ける。
その結果、遂にはパーティー会場にて半ば自暴自棄に陥ったアンジェがマリエに決闘を申し込む事態を招いてしまうのだが、ここでもマリエの味方に付くというスタンスを一切崩そうとせず、完全に彼女が周囲に悪女扱いされ、孤立に追い込まれてしまう事態へと発展させる。
だが、余りにも悲惨で本来のゲーム展開から大きく外れてしまった状況を見るに見かねたリオンが介入してくる形で決闘を挑まれる事になり、各試合は1対1とはいえ、五人掛かりのアンフェアも良い所な決闘を行う事になる。
が、当初の予想とは裏腹に、決闘ではリオンの搭乗するアロガンツによって、ブラッド、グレッグ、クリスの三人は次々とあっけなく敗北。ジルクに至っては自身を守ろうとするあまり卑劣な手段でリオンを抹殺しようとするもそれも失敗した上で敗北する等、恥の上塗りを重ねていく事になる。
そして他の四人の敗北後、マリエの5番手代理人として参戦。大勢の観衆から応援を受けるも、ルクシオンからは自身の鎧を「他の鎧よりも優秀そうだが、本当にそれだけ」と酷評されていた。
リオンのアロガンツとの決闘の中、王族に生まれたくなかったという不満だけでなく、マリエだけが自分の事を見てくれると思い込み、それまで自身の許嫁としての厳しい教育に耐えてきたアンジェの気持ちを何一つ省みない暴言までぶちまける。
しかし、人生の瀬戸際に立たされて必死に這い上がって来たリオンからしてみれば、ユリウスの言い分は「世間知らずなお坊ちゃんの贅沢な甘ったれ」でしかなく、苛立ちを覚えた彼から一方的に痛めつけられ匙を投げられそうになるが、「俺かお前が死ぬまでこの決闘をやめることを禁じる」という王族になりたくなかったという主張から完全に矛盾した王族としての強権を行使し、リオンからそのことを皮肉られる。更には自身に尽くそうとしていたアンジェの自身に対する愛を「押しつけ」と罵倒して彼女の心を深く傷付け、「本当に愛しているなら潔く身を引けばいい」と彼女の気持ちを何も考えずに愛する者の為に身を引こうともしない自分達のことを棚に上げて彼女の気持ちを踏みにじった(隣にいたオリヴィアはおろか近くにいた生徒達もユリウスにあまりな物言いをされて泣いているアンジェに同情していた)。仕舞にはリオンからの最終警告(アンジェの実家で最大支援者でもあるレッドグレイブ家に恥をかかせれば、自身の破滅は免れられない為)も耳を貸さない態度に出た結果、自身の鎧を完全破壊される形で敗北を喫した。
その後、負傷した自身の元へアンジェが見舞いに来るも、ここでの話し合いで初めてこれまでの彼女の自分への気遣いが本当の希望とは異なる見当外れな物ばかりだった事を告げ、「お前にもレッドグレイブ家に対しても無礼だと解っているが、もうお前を女として見る事はできない」と、結局彼女からの想いは最後まで拒絶の一点張りを通し、遂に決別する事になった。
そして、婚約は正式に解消されるが、同時に決闘において他の四人共々醜態を晒した結果、実家に見限られて廃嫡の身となり、更にアンジェの実家であるレッドグレイブ家を始め、他の四人と婚約関係にあった者達やその実家からも凄烈な怒りと恨みを買ってしまい、後にレッドグレイブ家の派閥が現王家を見限る遠因の一つにもなっている。
が、実質的にニートとなり人生の瀬戸際に立たされた状況も何処吹く風。セレブ生活の野望を瓦解に追い込まれて絶望的になっているマリエの本心など知る由も無く、「これでマリエと真剣に向き合える」と、決闘の約束も完全に無視する気満々で他の四人共々能天気な考え方をするのだった…。
廃嫡後
決闘からしばらくして、結局は正式に交わした誓いを反故にする形でマリエの元に居続け、夏季休暇中は冒険者としてダンジョンに挑みながら日銭を稼ぐ日々を送っているが、意外にもそれ程不満はないらしく、仲間共々自由を楽しんでいる模様。
貧乏生活まっしぐらのマリエを除いて…。
が、二学期の学園祭にてホストクラブ喫茶を出し物にした際、お忍びで店にやって来たミレーヌが現れ、元・王族でありながら神聖な決闘での約束を反故にしてリオンを卑怯者呼ばわりする事実や、出し物の内容が破廉恥な上に客に要求する金があまりにもぼったくりであった事から激怒を買ってしまう事になる。
一方で、自身もまたその母がリオンに懸想されて満更でも無い様子を見せている事に困惑し、頭を痛める羽目になる。
やがてファンオース公国との戦争が本格化。
王家の船を動かす事になるが、その時のマリエとの絆採点を行うも、結果は男性90点、女性17点だった。尚、神殿とマリエが公国との戦争に行った時について行けなかったので嫌われて当然と解釈しているが、実際にはマリエは元々ユリウスに恋愛感情など抱いていない証拠で、これは勘違いである。
王太子である為、公式には直接戦争に参加できない事から、鎧で戦闘をする時は「仮面の騎士」として正体を隠す。リオンとその派閥には正体がバレバレだったが、他の4人には最終決戦直前まで正体がばれなかった。
職人を目指すほど串焼きに嵌っているが、皮肉な事にそのお陰で無駄遣いは一番少ない方であり、マリエからは評価されている。
ちなみに、マリエに夢中になっている事を破局後のアンジェからは「胸の大きい女子が嫌いだったのか?」と、貧乳好きの疑惑をかけられたりしているが、本来の夢中になる相手が巨乳のリビアだった事を考えると、胸の大きさ以前に容姿云々は関係無く、「自分を真に理解してくれる女性」を求めていたと思われる。(ただしマリエも自身が一番嫌っていた身分目当ての女であることを見抜けなかったという皮肉な結果である)
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ネタバレ注意
人間関係が本来のアルトリーベに近いこのルートでは、ゲーム通りオリヴィアに構ってはいるものの、彼女の本当の希望等には全く気付いておらず、善意の押し売りも同然の状態になっていてオリヴィアを追い詰めてしまっており、皮肉にもアンジェが自分に対して犯したと(思い込んで)指摘した事と同様のミスをやらかしていた。
そして、いじめが原因でオリヴィアは初代聖女の怨念に身体を乗っ取られてしまうのだが、ユリウスを含めた5人はそれに気付く事ができず、怨念の暗躍に踊らされ、多くの人々を巻き込んだ最悪の結末に向かって歩み出す事となる。
そうして怨念に利用されるままリオンと完全に敵対し、内乱が勃発。
その戦争の際グレッグ、クリス、ブラッドが戦死し、ジルクも聖女の亡霊に乗っ取られたオリヴィアに背後から撃たれ死亡する。
リオンと聖女の亡霊との戦いが終わった後にボロボロになりながらも生存。アンジェリカから聖女の亡霊に惑わされていたと告げられるが、その事実を受け入れた上で「俺が愛しているのはオリヴィアだけだ」と言い放ったばかりか、「オリヴィアと一緒に自分を逃がしてくれ」と身勝手にも程がある発言をし、乳兄弟であるジルクが殺された事を教えられた際は彼の死を悲しむどころか、寧ろオリヴィアを独占できると考える始末で、既に堕ちる所まで堕ちてしまっていた。
その醜態を見て激怒したマリエから鉄拳制裁をお見舞いされてしまい、それを止めようとしたアンジェリカを背後から殺害しようとするも、ルクシオンのレーザーに撃たれて死亡した。
そして、怨念から解放されたオリヴィアは憎しみの銃口を向けてくるアンジェリカに対して、自責の念から自分を殺す様に懇願すると同時に、「彼ら5人に対する気持ちなど全く無く、魔法を学びたかったのにユリウス達が構ってくる所為で碌にできなかった上に、周りからも恨まれて迷惑していた」と苦悩と本音をぶちまけ、それを聞いたアンジェリカは、怨念の存在とユリウスの堕落振りを目の当たりにした事もあって、今までオリヴィアを元凶扱いしていた自分の認識が致命的に間違っていた事にようやく気付くも、後の祭りとなった状況を前に深い後悔と絶望に打ちのめされる。こうして、ユリウスの愚行とその最期は遺された者達に一生消えない傷を刻んでしまったのだった。
このようにゲームでは攻略対象のユリウス達だが本編の世界ではオリヴィアとは決して結ばれることがないというのがよく分かる。
最終章
一方でリオンの仲間となり、他の4人共々それなりに成長して「笑える馬鹿」としての人生を歩む事になった本編では、神聖魔法帝国との戦争の際にマリエから自分が転生者であり、リオンとは前世の兄妹関係である事実を告白され、他の4人共々マリエを信じてリオンに手を貸す事を決意し、1人で戦おうとする彼を説得した。
無事に戦争が終結し、リオンがホルファート王国の新国王に即位してから数年後には他の4人と一緒にマリエと念願の結婚し、リオンの浮島でマリエが産んだ子供達と共に平和なスローライフを送っている。
この様に、「リビアと五馬鹿が共に世界を救う運命」は既に狂ってしまっており、マリエの介入とリオンの奮闘が無ければ、ユリウス達に待っていたのは周囲を巻き込んだ最悪の形での破滅だった事がマリエルートにて判明。介入された本編では幸せな人生を手にする事になり、正しくユリウスにとってマリエは「救いの女神」だったのかもしれない(しかしリオンが物語に介入しなければマリエによる別の破滅も考えられた)