曖昧さ回避
1.正方形を七つのピースに分割し、それらを組み合わせて図形を作る知育パズル。カッティングパズルとも呼ばれる。
2.SEGA発売のゲーム『電脳戦機バーチャロン』に登場する、架空のシステム。本項にて解説。
概要
電脳戦機バーチャロンシリーズのシステム。シリーズ2作目となる『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』で初登場した。
「因果律を操作し、世界と世界の事象すら入れ替える」という、もはや神とすら呼べる恐ろしい機能を持つ。
分かりやすく例えるとゲームのガチャで最高レアを常に引けたり、アニメのキャラクターを現実に呼ぶ事だって出来る力を持っている
解説
月面で発見された先進文明のオーバーテクノロジー、その実用化計画『V-プロジェクト』が産み出した究極のシステム。
事象転送機能を持った『V-クリスタル』を制御下に置く事で、無数に存在する並行世界と現行世界の事象を繋ぎ合わせ、それらを入れ替える……つまり未来で起きる出来事や運命を、意のまま自在に操作する事が可能となる。
しかしシステムとしてはまだまだ未完成な上、控えめな女性の人格を植え付けられているため、その力をタングラム自らが発揮する事は滅多に無い。
こんなにも万能な力だが、どうやらタングラムにも出来ない事が存在するらしく、元から存在しない可能性(世界)の場合、それを入れ替える事は出来ないようだ。
タングラムはあくまで「今の世界と、ifでもある並行世界の事象同士を入れ替えるシステム」に過ぎない。
例えばまず、ある世界の一人の人間が金持ちになりたいと願う。次に、いくつもの並行世界からその人間が金持ちになっている世界をタングラムが検索する。この中に一つでも金持ちになっている世界があれば、その並行世界との事象を入れ替えて、願った人間を金持ちにする事が出来る。
しかし、もしもその人間が金持ちになっている並行世界が一つも無かった場合、タングラムは何も出来ない。
つまり、タングラムに何か望みを叶えてもらいたいならば、実際に叶った可能性(世界)が生まれるように、自分自身もある程度は努力しなければならないのである。
経緯
元々はリリン・プラジナーが、謎の組織ダイモンに対抗するための手段として秘密裏に建造していたものだったが、それを察知したダイモン側の手によって未完成のまま強制的に起動され、並行世界の事象や情報が電脳歴の世界へと殺到し、それまでの企業国家の支配体制が崩壊する大事件に発展した。
一連の事件でタングラムの力を危険視したリリンは「タングラムは今の人類には早すぎる」「タングラム自身が己をどうするか判断するべき」と決意し、タングラムに人格を与えて電脳虚数空間へ逃亡させる手助けを行う。
しかし、この情報を第4プラントの支配者アンベルⅣによって暴露され、タングラムの使用権とアクセス権を巡る大規模な限定戦争「オラトリオ・タングラム」が勃発する。
やがてリリンは、ダイモンの生命線を裁つためにタングラムの召喚を試み、懊脳の末にファイユーブへこれを依頼。これを引き受けたファイユーブは、かつて出会った異世界の歌姫を模した姿を纏い、ムーンゲート解放の際に口ずさんだ歌でタングラムを呼び寄せる事に成功した。
だが対策を打っていたダイモンにより、タングラムは制御を乗っ取られて、数々の騒乱に利用された挙げ句に事象崩壊要塞と化してしまう。
後に特務機関MARZの活躍で支配から脱したタングラムは、ダイモンの干渉を防ぐために自身を解放してくれたMARZの隊員と融合し、その能力を発揮して火星を瞬時にテラフォーミングする。
ゲームでは
『オラトリオ・タングラム』『マーズ』のラスボスとして、プレイヤーの前に立ちはだかる。
『オラトリオ・タングラム』では並行世界を繋ぐアームを備えており、無理矢理アクセスしてきたプレイヤーを拒絶し、並行世界へと追い出してしまう。
『マーズ』ではダイモンに乗っ取られたため「ダイモン・タングラム」となっており、通常時とは違って目が血走っている。
まさかのコラボでは
『とある魔術の禁書目録』とのコラボ作品『とある魔術の電脳戦機』にも登場する。
小説版では、学園都市どころか世界そのものが無くなった後に登場。
ブルー・ストーカーがセカンドプラジナーである富良科凛鈴を介して自身にアクセスしようとしたところを、リリン・プラジナーが先にタングラムにアクセスしてヤツを拒絶。最後は上条当麻の拳によってブルー・ストーカーは倒され、富良科凛鈴をそちら側の世界の住人に書き替え、彼らの世界を元通りにした。
後のゲーム版『とある魔術の電脳戦機』でも登場。
自分を道具として利用する電脳歴世界の人間に嫌気がさしたタングラムは、電脳歴世界から完全に姿を消した後、かつて一度繋がった『とあるシリーズ』の世界に興味を持ち、再びアクセスを始めた。
タングラムは、小説版の出来事を見て『とある世界』の人々の心に憧憬を抱くようになっていたのである。
あれをもう一目見たい。
人の希望や優しさが、残酷な予定調和を打ち崩す瞬間を目撃したい。
人間を善き存在だと信じたい。
そのためにタングラムは『とある世界』と繋がったのだが、ここで問題が生じる。
タングラムという巨大な存在から発せられる引力が大き過ぎるあまり、このまま接近を許せば本格的な干渉が始まるだけではなく、『とある世界』の人々が見知らぬ並行世界に放逐され、さらには結果としてタングラムの奴隷となってしまうのだ。
具体的には、超高度化された予測行為で一切無駄の無い完璧な人生を皆歩まされ、誰も彼も定型で個性が無い、ただ幸福を配給される世界が訪れる。
結果、決まったレールから外れるのを極端に恐れる、自由意志を放棄した弱い人間に人類全員がなる。
だがタングラムは干渉をやめない。
それほどまでに電脳歴世界の人々に絶望して、『とある世界』の人々が眩しく見えたから。
やがてタングラムは、富良科を始めとする多くの人々の手を借りた上条と対峙する。
本来は決して人が踏み込めない領域にまでやって来た上条を通して、改めて『とある世界』の人間の可能性に興味を示したタングラムだったが、予想外に上条を圧倒してしまって肩透かしを喰らったため、因果律制御の機能を発揮。彼をファイユーブに接触させて強くさせようと試みた。
しかし、あくまでも自分の力で戦うと決意した上条当麻はこれを拒否。せっかく用意した特別アイテムを捨てて挑んでくる少年に困惑するタングラムであったが、上条から「お前も、お前が見限った電脳歴世界の人間と変わらない」と叱咤される。
『さびしい こわい 向こうの世界 戻りたくない』
『こっち キレイ わたし 居場所が欲しい……ッ!!』
『ひとりはいや』
『それだけだったのに』
ついに本音を吐露したタングラムに、上条は「つまらない世界が嫌なら、まずは自分が変われ」と諭す。電脳歴世界の人々と実際に戦って、そして救う事ができるのはタングラムしかいないのだから。
「そうして戦って、挑んで、立ち向かって。胸を張れるような自分ってのを手に入れたら、また遊びに来い」
「そうしたらさ」
「今度の今度こそ、損得も思惑もいらない。ただただ思う存分バーチャロンで遊ぼうぜ。タングラム」
その後、きちんと事件の後片づけを済ませたタングラムは電脳歴世界に戻った模様。
そしてある日、ツンツン頭の友人へフレンド登録の申請を送ったのであった。