CV:ゆかな(電脳戦機バーチャロンマーズ)
概要
『電脳戦機バーチャロン』シリーズに登場するキャラクター。
「フィイ・イェン(ファイユーブ)」「エンジェラン(アイス・ドール)」「ガラヤカ(アプリコット・ジャム)」の3体のバーチャロイドを開発して失踪した天才科学者プラセンジット・プラジナー博士の娘で、第8プラント盟主トリストラム・リフォーの養女。
後に戦争の火種となる、神の如きシステムを備えた時空因果律制御機構タングラムを開発した才女である。
一方で、宇宙を股にかける治安維持の為の軍事部隊「MARZ」、シャドウ退治の専門家「白虹騎士団」の創設したのも彼女である。
VCa0年代の電脳暦を象徴する人物の筆頭とも言われ、それ故に波乱の生涯を運命づけられた。
人物
ブルーの線が数本入った色素が薄い長髪で、前髪で右目が隠れるほど。黒と青が基調の制服を身に纏っている。
幼少期から様々な分野で非凡な資質を示し、後にリフォー家の総帥トリストラム・リフォーの後押しもあり、OT関連の分野で実績を積む。その後、父が半ばで放棄したタングラムの開発責任者に抜擢された。
しかし開発作業の途中で事故が発生し、リリンは片目と、その事故から自身を助けてくれた恩人の少年を失ってしまう。
以後、彼女は喪に服するかのように青の衣服を身に纏い、周囲の心ない者からは「青の未亡人」と揶揄されるように。
事故の後遺症で残った目が都度左右どちらとも定まらず、また失われた方の眼窩は異なる次元の世界を映すようになっていた。
その影響でリリンの言動は、常人には理解できないものとして扱われる事が珍しくなくなり、やがては信奉の対象として崇められていく。そんな環境にリリン本人は不快と感じており、時たま我慢ならず癇癪を起こしている。
ある種の神秘性、カリスマ性を感じさせ、実際に威厳ある態度で人に接するリリンだが、歳頃の少女らしい一面を見せる時がある。
『電脳戦機バーチャロン・マーズ』では、ドラマティックモードの終盤に自らの正体を伏せて主人公の専属オペレーターとして登場するのだが、挨拶の時にうっかり正体を明かしかけたり、大事な会見なのに寝過ごしたりなど、少々ドジな部分が見受けられる。
略歴
物心つく前に、父親のプラセンジット博士が失踪した為に、身寄りがなかったリリンはリフォー家に引き取られた。
その際、衛者の少年を二人も付き随った。それぞれ蒼輝、焔輝と呼ぶ彼らとは、次第に絆を深めていった。
後に父が半ばで放棄したタングラムの開発責任者に抜擢され、VC9f年末にあの事故が起きる。
タングラムによって時空に孔が穿たれ、リリンはそこへ引きこまれる窮地に陥る。だが衛者の一人である蒼輝が身を挺して救助した事で、己の片目と彼の犠牲に、リリンは一命をとりとめた。
時空の孔に引き込まれた片目はリリンの眼窩と繋がっているようで、彼女が見るこの世ならぬ世界は、おそらく様々な次元を移動し続けている目が見ている光景だと推測できる。
事故の後遺症と、変わっていく自身を取り巻く環境に不安定になるリリンだったが、彼女の傍らには衛者の片割れ、焔輝の姿が常にあった。
その後、身柄を拘束されたリリンは第8プラントの盟主トリストラム・リフォーと、尋問という名の対話を重ね、彼からの信用を得て、弱冠15歳でありながら次の盟主となる。
新たに第8プラントことFR-08の盟主となったリリンは、VCa4年後半に当時としては最大規模の戦闘興行クレプスキュール戦役を主催、見事成功し、宿敵アンベルⅣを交渉の場に引きずり出し、さらには空前の規模の戦闘興行オラトリオ・タングラムを開闢させ、限定戦争市場を大いなる活況に導いた。
だが彼女の成功は報われず、自らの利益の障害となったリリン・プラジナーの存在を疎んだリフォー家の一族により、僅かな側近と共に火星圏へと放逐される。
それでもリリンは折れる事なく、自身を陥れた敵が、オーバーロードのティラミアⅢを侵食したダイモンであることを知ると、これを打倒するための軍事組織MARZ(マーズ)を創設。そうして力を蓄える間に次々と襲いかかる暗殺者は、衛者の焔輝あらため蛍火のファイアフライが身を挺して彼女を守ってくれた。
その後、決戦に備えた勢力を率いて地球圏へと向かったリリンは、事象崩壊要塞にてダイモンのコアを無力化する。
しかし、ここまでしても彼女が報われる事はなく、アンベルⅣから「可憐なる簒奪者」と断罪され、これが一般に広まり、リリンとMARZは新たな危機に直面した。
権力の亡者として世界的な批判に晒される中、火星圏ではMARZが本拠地を追われ、主のリリンは地球圏で孤立してしまう。
ついに望みを果たしたかに見えた少女は、再び全てを失い、改めて自らの生き抜く道を切り拓いていかざるを得なくなった。
それでも、リリン・プラジナーは諦めない。
幼い頃から不遇が身近にあった隻眼の少女は、いつの間にか強く育っていた。
傷つきながら運命に抗うその歩みは、歴史という名の道程が刻まれる。