チャトゥルサナ
ちゃとぅるさな
ブラフマーの精神から誕生した四人の神。聖仙(リシ)であり、ヒンドゥー教の聖典『バーガヴァタ・プラーナ』においてはヴィシュヌの化身とされている。
ヴィシュヌの化身でありながら、至高者としてのヴィシュヌへの献身を行う。
童子(クマーラ)の姿をしており「四人のクマーラ」とも呼ばれる。図像表現においては全く同じ姿をした行者形の少年として描かれる。
年齢としてはヴェーダを学び悟りに至った4、5歳の頃の姿、あるいは16歳の姿で表現される。
四人の名前はそれぞれサナカ、サナタナ、サナンダナ、サナト。サナカは「古代」、サナンダナは「至福」、サナタナは「永遠」、サナトは「常若」を意味する。
それぞれにクマーラがつくことで「古代の」「至福の」「永遠の」「常若の」少年神という意味になる。
知者の天界「ジャナー・ローカ」を住居とし、ヴィシュヌに捧げるマントラを唱える祈りの日々を送っている。
チヤトゥルサナはブラフマーが独力でもうけた最初の子供たちである。彼は四人に自分の御業の補佐をさせ、子孫もつくってもらいたいと考えていたが、四人はそれを拒否した。
彼らは純潔の誓いである「ブラフマチャーリャ」を護持し、至高の存在への献身に生きる行者として存在し続けることになった。
『バーガヴァタ・プラーナ』ではこの対応に父ブラフマーは憤り、この怒りからルドラ神が出現したとされる。
チャトゥルサナの代表的存在。『ラーマーヤナ』など彼が単体で取り上げられた聖典も複数あり、近代神智学やニューエイジに取り入れられたこともあって、四人のクマーラの中で最も有名である。
日本では長音を省略した「サナト・クマラ」「サナット・クマラ」表記のほか、ニューエイジ界隈を中心として「サナート・クマラ」表記で言及されることも多い。
近代神智学においては「炎の主たち(Lords of the Flame)」と呼ばれる超存在の一人。金星からやってきた、エーテル体を纏う者。
「炎の主」たちは「クマラ」とも呼ばれ、サナト・クマラを含む104人が地球に来訪、「地球のロゴス(地球担当の惑星神、ともいえる存在)」からの任務により、人類の進化を促進・指導したとされる。
「ロゴスの意志の化身」ともされ、クマラたちの中でも指導的な立場であり、「大いなる白色同胞団(グレートホワイトブラザーフッド)」「スピリチュアル・ハイアラーキー」といった超常的人物(マハトマ、マスター)のグループのリーダーとして位置付けられている。
日本においては鞍馬天狗、護法魔王尊と同一視する主張があるが、これは神智学の影響を受けた新宗教「鞍馬弘教」による説である。