概要
大富豪バッテラ氏に雇われた『グリードアイランド』のプレイヤーの一人。ハンター協会所属のハンターであり、肩書きは懸賞金(マネー)ハンター。
オールバックでまとめた黒髪に顎鬚を蓄えた男性。目つきが鋭く眉毛だけ白い。登場初期は耳が尖っておりアニメ1期でもそのデザインが踏襲されているが、『G.I編』後半及びアニメ2期では普通の耳となっている。
卓越した念能力者であるものの、具体的な能力は描写がなく不明。
人物
真面目で落ち着いた性格。慎重かつ堅実な戦略により目的達成を目指すスタイル。
「ハントは全て金の為」と公言している金利至上主義者だが、自己中心的という訳ではなく分相応というものを弁えている。様々な功績を挙げた事で一ッ星(シングル)の称号を獲得した事が語られており、本人もそこにプライドを持っている。
ケスー、ロドリオット、バリーの三人の仲間と共に仕事を行う。
作中の動向
ヨークシンの審査
ヨークシンの競売に参加したバッテラの付き人として初登場し、競売品『グリードアイランド』を過剰な落札価格のつり上げで競り落とした彼に勿体ないと金利主義らしいコメントをしていた。
その後、バッテラにゲームクリアの協力を申し出に来たゴン・キルアに対し、実力を見定めるべく「練を見せて貰おうか」と求める。これが「どのくらい強いのかを見せろ」というハンター用語であると知らなかった二人は額面通りにただの“練”をしてみせた事で、ツェズゲラは二人に不適格の判定を下した。
ゴンキルアを門前払いにしたものの、二人の潜在能力の高さには気付いており、十日後の審査が楽しみだと零していた。そして当日、自身が審査担当を務めるプレイヤー選考会で二人と再会し、彼らがわずか十日で身につけた力に驚愕し、「末恐ろしい子供達だ」と息を呑む表情をしていた。
ゲーム中では三人の仲間と共にプレイ。中盤頃までは進行度でトップクラスをキープしていた。
しかしゲンスルー組との交渉において、ゲンスルーらが仕掛けた罠によって独占していたカードの3種類が敵の手に渡ってしまう。この一件で大きな痛手を被ったツェズゲラは、挽回の為にゴレイヌの法外な要求を呑んで『一坪の海岸線』の情報を買うに至った。
スポーツ対決
その後は『一坪の海岸線』入手の為にゴン達と協力体制を取る。この際キルアに「あんた達の練を見せてよ」と立場逆転の煽りを受け、全力でこそなかったが超高度の跳躍をしてみせた。
しかし真似したゴンとキルアに余裕で最高記録を抜かれてしまい、「この短期間でどれだけ成長したんだ…!」と心の中で動揺を禁じ得なかった。
海賊とのスポーツ対決ではツェズゲラの仲間達が順調に勝ち星を上げる中で、海賊側のボポボが謀反を起こそうとしてレイザーに処罰される事態が発生。これによって一同に「ここはゲームの中ではなく現実である」という事実が発覚するが、ツェズゲラ達は以前から気付いてた。
そして迎えたレイザーとのドッジボール対決では、レイザーの念人形による高速のパス回しについていけず背中に大ダメージを受けてアウト・退場となった。慎重に徹し勝算の高い戦いばかりしてきた事で戦闘力が鈍っていた事を痛感し、もう一度鍛え直す事を決める。
試合がゴンチームの勝利に終わると、カードの分け合いに当たって「オリジナルを有する資格は君達にある」と勝利の立役者であるゴン達を労い、自身は『複製(クローン)』で複製された分を受け取った。
VS.ゲンスルー組
しかし喜びも束の間、『一坪の海岸線』が入手された事を察知したゲンスルーから「命は保障する代わりに一坪の海岸線を渡せ」と脅迫のコンタクトが入る。その際ゲンスルーがカズツールらを殺害した事を知ってゴンが逆上し、怒りに駆られて挑発するような発言をしてしまう。
これにはツェズゲラも「もし奴らがお前の挑発に乗ってここへ来ていたら、負傷しているキルアはどうなる!?」と、一時の感情に任せて自他の命を考えなしに危険に晒したゴンを本人の目線に合わせた説教で厳しく諭した。
己の負傷やブランクを差し引いても直接戦闘ではゲンスルーに勝てないと分析したツェズゲラは、「オリジナルを持っているのは十中八九ツェズゲラ」というゲンスルーの思い込みを利用して三週間の時間稼ぎをする事をゴン達に申し出る。その代わりにツェズゲラ達では自力入手が不可能同然となっている『奇運アレキサンドライト』(「一度山賊に騙されて所持カード全てを失った後、再度訪れ説得しカードになってもらい、聖騎士の首飾り等の状態異常解除効果で呪いを解いて治療する」必要があるが、ツェズゲラ達は失えない所持カードが多すぎた)を譲って貰うように約束を取り付けた後、ゲンスルー組に宣戦布告をした。
移動用呪文カードを要とした攻防の末に、ツェズゲラ達は『離脱(リープ)』を使い島外へ出る。そこで待ち伏せさせた傭兵達でゲンスルー達を迎え撃つ算段だったものの、バッテラの勝手なキャンセルにより作戦は破綻。ツェズゲラは事情を問い詰めるも、「もういいんだ…」と要領を得ない返答に「何がもういいんだ! ふざけるな!!」とさすがに憤慨。そしてゲンスルー組が追ってきた事でやむなくバッテラを無理やり連れて逃亡せざるを得なくなった。
バッテラの事情を聞いたツェズゲラ達はそのまま戻らず、ゲームの復帰期限を過ぎて事実上脱落。一応カードの消失問題はゴレイヌに全て預けると言う形で対策を打っていたものの、もはやクリアする意味は無い為そのまま放置され、ゴレイヌを通してゴン達のものとなった。
その後、慰謝料としてクリア報酬の70%(350億ジェニー)を支払って貰うという形でバッテラと話をつけ、ツェズゲラはグリードアイランドから完全に手を引いた。
周囲の評価
初登場の上から目線な態度の割にゴンキルアに短期間であっさり追い抜かれたり、シングルハンターという大層な肩書きを背負いながら活躍はそれほど大きな見所がない等、読者視点では何とも微妙な印象を受けるものの、レイザーとのスポーツ対決では彼から「強さは申し分なし」と評価を受けており、一定以上の強さはあった事が推察出来る。
実際選挙編以降の一般念能力者はそれ以前と比較して「能力自体は厄介だが他が稚拙極まる」有様で、よくて天空闘技場の我流念能力者達とトントンというレベルであった。
逆説的に「独学で念を覚えたせいで基本原則を無視した無茶苦茶な念を覚えてしまったカストロや、ゴン達に突っかかってきた雑魚狩り連中も、念能力者としてはアレでも200階クラスに居られるだけの実力はちゃんとある」「戦いの聖地の名自体には偽りがない」事も証明され、天空闘技場自体の株も上がった。
そのため今まで登場した連中が敵味方問わず全体がハイバランスで仕上がった上澄み中の上澄みの大ベテランということが発覚し、相対的に株を上げた。
戦闘描写は無かったものの、オーラの攻防力移動技術はゴンやキルアの上をいくという自信があり、実際にドッジボール対決で背中に不意打ちを食らいそうになった際、ゴン達の掛け声で瞬間的に背中にオーラを集中させ致命傷を受けずに済んでいる。
また彼の慎重さが徹底的である事は作中随所で見られ、一例としてゲンスルー組への『レヴィ』によるカード奪取を狙った際には『リスキーダイス』を使わなかったと思われる結果になっている。ゲンスルー組に『レヴィ』を仕掛けられた際には、指定ポケットのカードばかりを奪われた結果から敵が『リスキーダイス』を使った事を見抜いており、このコンボの強力さを身に染みて理解していたにもかかわらずである。『リスキーダイス』の代償の重さを熟知していたからだと推察される。
ゴレイヌは当初、ツェズゲラに先にゲームクリアされる事を懸念して彼と手を組む事には反対の立場を取っており、カードの情報だけで50億ジェニーの保険をかけるほどだったが、カード入手の為に協力した後は打ち解けたのかそのままツェズゲラ組と協力体制を続ける事を決め、最終的に彼の一世一代の賭けに賛辞を送るほどになった。ツェズゲラも手持ちカードの大半をゴレイヌに預けるという強い信頼関係が無ければ出来ない事をやっており、お互いに心から認め合った事を推察出来るワンシーンとなっている。
総合的に言うと、読者の第一印象では大した実力も無い癖に偉そうなだけのおっさんだが、作品を深く読み込む程にその優秀さが光って見えるようになるという、主人公やそのライバル達とはまた違う存在感が映える人物といった所である。
その後
後の『会長選挙編』ではキメラアントとの戦いで重体となったゴンの見舞いに来訪、義理堅い人格者の一面を見せた。そのように懸賞金ハンターと言っても全くエゴイストではない善良さが人望を呼ぶようで、選挙の投票では無所属ながらわずかに票を入れてもらえていた。