「ここで皆さんに言っておかねばならないことがある」
概要
CV:小山剛志(GI編OVA版)/吉野裕行(2011年アニメ版)
バッテラ氏に雇われたグリードアイランドのプレイヤーの一人。眼鏡をかけた長身の男性。細面でアゴが長い。愛称は「ゲン」。
集団でスペルカードを独占し他プレイヤーからのカード奪取でゲームクリアを目指すグループ(キルア命名:ハメ組)のメンバー。
5年前にグループが結成された際の初期メンバー10人の内の一人でもある。
ニッケス達と共にゴンら新規プレイヤーを呼び集めて、グループの戦略を説明し彼らをメンバーに勧誘した。
その後、目標の人員を達成しゲームクリアは目前であるとメンバーの士気を盛り上げるニッケスに代わり、淡々と自身の素性を語り始めた。
※以下ネタバレ注意
「オレは『爆弾魔(ボマー)』だ」
人物
正体は島の中でも有名なプレイヤーキラー「爆弾魔(ボマー)」その人。
仲間が一堂に会する中で自身の正体を打ち明け、それと同時に全員に爆弾を仕掛けていた事を暴露。背後から奇襲をかけたジスパの顔を爆破させ、取り乱したメンバー達を一瞬で沈黙させてから、にこやかに爆弾の解除方法を説明し始めた。
彼の正体、及びプレイヤー狩りなどの凶行は初期メンバーでさえ知らなかった事であり、5年もの間大勢の仲間を欺き続けた狡猾なペテン師である。真の仲間はサブとバラのみであり、ハメ組は元々カードを効率的に集める為に利用した捨て駒に過ぎなかった。メンバーの命と引き換えに彼らが集めてきた指定カード90種を奪い取った後は、解放と称して全員の爆弾を一斉に起爆。(1人を除き)60人以上のメンバーを皆殺しにした。
『HUNTER×HUNTER』内でも屈指の残虐さを持つシリアルキラーであり、仮初とはいえ5年間の付き合いを経たジスパが死んだという報を聞いても眉ひとつ動かさなかった。その前に交渉に来たプーハットに対しても「いかに冷静でイカれてるか相手に理解させるのがコツ」と言って躊躇いなく首を爆破し、その首をメンバーに送り返すという猟奇的な行動に出ている。
彼の念能力は明確に殺傷目的で開発されており、ツェズゲラに「完全な武闘派」と称された。
その後も必要に応じてプレイヤーに爆弾を仕掛けて利用したり、敵対したツェズゲラ組に関与してると疑われるプレイヤーを片っ端から殺害したりなど、非道の限りを尽くす。やがてツェズゲラ組が脱落すると最後の2種のカードを奪うためゴンチームを追跡しゴンと対決。実力差を見せつけるも、ゴン側の周到な対策と作戦により能力を封じられ、“硬”を纏ったジャジャン拳<グー>の一撃を叩き込まれ敗北。仲間を殺して奪ったカード全てを奪い返された。
平然と人を騙し、利用し、多くのプレイヤーを虐殺した冷血漢であるものの、サブとバラに対してだけは友情的な感情を持ち合わせていたようで、ビスケによって深刻なダメージを受けたバラを『大天使の息吹』で治して欲しいとゴン達に要求したり、ツェズゲラ組にサブとバラが死ぬリスクのある罠を仕掛けようとした際、「ヤバい橋を渡る時は三人一緒」と発言して自らも(意味も無く)「リスキーダイス」を振るという行為を行なっている。
念能力
具現化系能力者
念で爆弾を具現化する能力が主だが、実際には複数の系統の能力をバランスよく扱える。その為、当初『爆弾魔』は操作系か放出系の能力者であると誤った推測がなされていた。
体術も併せた総合的な戦闘力は一ツ星の称号を持つ一流ハンターのツェズゲラをして「(ツェズゲラの)肉体の鈍りを抜きにしても足元にも及ばない」と言わしめるほどであり、非常に高いレベル。
また、彼の能力はどれもコレも「他者を害する」以外の使い道がおよそ見当もつかないモノであり、こういった能力の開発を行うのは念能力者として異常と称される。
バトル漫画であるため忘れがちだが、念能力は本来は捕獲するために「衰弱させる」「相手の行動に制限を掛ける」の様な能力が戦闘にも応用できるだけでここまで「殺す」ことに特化した能力はほぼ存在しない。(あのゾルディック家のモノですら「殺しに有効」なだけで基本的に殺害以外の用途も持っている)
なお、強化系の発は四大行やその応用の発展系になる事が多いためゴンのグーやウボォーギンの超破壊拳はこの法則の例外である。
- 一握りの火薬(リトルフラワー)
(恐らく)具現化系の能力。手で掴んだものを爆破することができる。ゲンスルーが掴める物のサイズはバスケットボールぐらいまでとの事。
爆破点に手を接触させて使う為か、威力はあまり高くない。爆発で自身が怪我をしないよう、使う時は手を“凝”で守る必要があり、これによって爆破を行うつもりがあるか、あるいはフェイントで別の攻撃をする気があるのかがある程度予測がつくという欠点がある。両手で同時爆破も可能だが、体を守るオーラが乏しくなり防御力が著しく落ちるという問題も生じる。
- 命の音(カウントダウン)
相手の体に念で創った爆弾を取り付ける能力。操作・放出・具現の複合技。
後述の『解放』の仕組みから、恐らく暗黒大陸編で初めて言及があった、複数人で念を補完する事で能力者本体が苦手な系統を必要とする能力でも、高い精度と威力を生み出すことが出来る相互協力(ジョイント)型の能力と思われる。
『一握りの火薬』の10倍の威力を持ち、起爆すればほぼ確実に相手の命を殺める非常に強い念。その分、発動には二重の条件がある。
- 相手の体に触れながら「ボマー」と言うこと
- 『命の音』の能力の説明とその解除方法を、ゲンスルー自身が口頭で相手に伝えること
この二つの条件を達成した時点で、触れた箇所に爆弾が出現し作動する。二つの条件は順序が前後しても問題ない。また長期間の間隔を空けていても条件は成立する。一度に多数の爆弾を発動させることも可能。
爆弾はタイマー式で6000回カウントすると爆発する。カウンターは時間ではなく対象者の心拍数をカウントしており、興奮したり大怪我を負ったりなどで鼓動が早くなるとその分爆発を早めてしまう。
爆弾の解除方法はゲンスルーの体に触れながら「ボマー捕まえた」と言うこと。
ゲンスルーはこの1の条件を行いやすくする為、積極的に爆破によるプレイヤー狩りを行い、仲間内ないしグリードアイランド中に「爆弾魔(ボマー)」というワードを浸透させていた。
- 解放(リリース)
具現化済みの『命の音』を即時起爆させる能力。ゲンスルー、サブ、バラの三人が右手親指を触れ合わせ、「解放(リリース)」と唱えることで発動する。
ボマー組はこれを「『命の音』の一斉解除」と偽ってハメ組から指定カード90枚を騙し取った挙句に皆殺しにし、最後に「恐怖からの解放」と皮肉っている。ただしアベンガネには解除ではなく一斉起爆の可能性を読まれ、彼自身の除念によって回避されてしまった。
能力に対する評価
ゲンスルーの能力、特に『一握りの火薬』についてはファンの間で疑問・批判的な声が多い。具体的には以下の2点がやり玉に挙げられる。
- 爆破するよりその手で殴った方が強いのではないか
爆発でゲンスルー自身の手が怪我しないのは「“より強いオーラ(凝)”で守っているから」と作中で説明がされている。過去には「強力なオーラ(硬)に拳本来のスピードと破壊力をのせれば攻撃力は何倍にもなる」という旨の説明がされていた事を踏まえると、『一握りの火薬』に耐えられるだけの攻防力のあるオーラをこめた拳で殴りに行けば、その数倍の威力のパンチ力を得られるという道理になってしまう。
- 『命の音』を仕掛けた方が手っ取り早いのではないか
『一握りの火薬』を使う為に相手に触れるというのは、そのまま『命の音』を仕掛けるのも可能である事を意味する。発動してしまえばほぼ確殺の『命の音』よりも『一握りの火薬』を戦闘で優先するメリットは(即効性に欠ける部分がある事を加味しても)見出しづらい。また条件があるとはいえ、『命の音』も即起爆する手段はある。
これらの論理から欠陥品ではないかという酷評さえあるものの、それらはあくまで戦う上での話である事に留意すべきという反論もある。
そもそもゲンスルーは『命の音』で一味を一斉に殺害する為に、裏で積極的にプレイヤー狩りを行い『爆弾魔(ボマー)』のキーワードを普及させる必要があった。その前提に立てば、種明かしが必要な『命の音』は情報漏洩のリスクが付きまとい失敗に繋がりかねない為、より手軽に扱える能力がある方が効率的にキーワードをばら撒くのに適していたと言える。物理的に爆弾を持っているわけでもないので疑いの目もまずかけられない。
また『命の音』解除の為に接近しようとするものに対しては牽制球になる事も忘れてはならない。掴まれると爆破されるというのは単純な殴打による反撃よりも精神的負担を誘いやすく、緊張や恐怖が走れば心拍数は上がりカウントの加速にも繋がる。
そういった観点から『命の音』の補助ないし『G.I』内での活動に役立つ能力であったと評する向きもある。
とはいえ、「同格以上の相手との近接戦闘には不向き」という点については概ね共通認識の模様。
そして『一握りの火薬』についてもオーラを込めた拳で殴ろうとすれば相手は当然避けようとする為に少ないオーラの手をフェイントと思わせて掴んだ後に攻防力を増やして爆破の様に使え、知らなければ罠にハメられ知れば少ないオーラの打撃もフェイントと侮れずに警戒せざるを得ない為に戦い難くなるといった有効性もある。
掴んでから爆破はワンテンポ遅れるし同量のオーラパンチより威力は低くなるとはいえ、念戦闘においては凝パンチ一発で戦闘の趨勢が決まる事はよほどの力量差が無ければまずあり得ない。単純に殴る蹴る以外に攻撃手段が増える事は戦闘において重要な要素であり、念パンチオンリーよりはずっと戦闘力が上がるのは間違いない。