※この記事は『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』の終盤に関するネタバレが含まれているため、ゲームをエンディングまで攻略し終えてからの閲覧をお勧めします。
ヌゥルの邪魔をする いまいましい存在め…
だが お前たちの中には
大いなる力がある
ヌゥルを 閉じこめた女神ども…
貴様らの力で 世界を無にそめてやる!
概要
『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』のラスボス。当初は黒幕と思われていたガノンの背後に潜んでいた真の黒幕である。
その正体は、創世の三女神によって封じられた古の怪物。
まだ世界創造の刻が訪れる前の時代(仮に同一時系列とすればスカイウォードソードより更に前と思われる)、何もない無の世界に唯一存在していたのがヌゥルだった。
「無の世界」にはたまに何かが生まれかけることがあったが、すぐにヌゥルによって喰われてしまっていた。
それは己の世界のみを享受し、生を貪る行為であるため見咎めた三女神によってヌゥルは封印され、こうして無の世界の上に天地が創造された。
しかしヌゥルは封印されながらも天地を破壊せんと裂け目を発生させ続けた。そこで三女神は裂け目を修復する存在としてトリィをハイラルにもたらした。
生態
一人称は「ヌゥル」。
無の世界にある巨大な闇色の塊が“ヌゥルの肉体”である。三女神に封じられた影響か微動だにしない。
肉体の内部には真の本体である''ヌゥルの核''が潜んでおり、こちらがラスボスとなる。
肉体は動けないが地上に裂け目を作ったり、取り込んだ人間のカリモノを生み出して暗躍したりと能力による干渉は可能なようである。中盤ではヌゥルの核が直接ゼルダ姫を襲いに来ているので、肉体からの分離も可能なようだ。
目的
願いを叶えるという大いなる力によって三女神の創造した世界を完全に消し去ること。
そもそも無の世界とはヌゥルにとって心地の良い場所だった。自分だけがいる世界には自分だけがいればいい。そんな安寧を邪魔したのが三女神である。
激怒したヌゥルはどうにか天地を破壊出来ないかと裂け目を発生させていたが、すぐにトリィたちによって修復されてしまう。そこで三女神が地上に残した大いなる力に目を付けたのであった。
動向
前々から子供ばかり狙って裂け目を発生させていたが、これに関してサダリ大臣は「知恵の姫巫女と勇者が成長する前に捕らえようとしていたのかもしれない」と推測している。
ゼルダ姫をガノンに拉致させたのもその一環である。姫巫女という単語からゼルダ姫を連想するのは容易かったのだろう。
前述のようにガノンを表向きの黒幕として裂け目を発生させていた。ガノンはリンクに倒されたが、実はこの“ガノン”はカリモノに過ぎなかった(無の世界の魔物がヌゥルの力によってカリモノの姿に化けているようで、ガノンも複数の魔物が合体して象った存在である)。
ゼルダ姫によってカリモノのガノンが敗れた直後、彼女を狙って襲い掛かるが、そこに駆け付けたリンクに阻まれる。
ゼルダ姫には逃げられるも、リンクの方を捕らえて無の世界の水晶に幽閉した。
その後は三女神にゆかりのある場所に裂け目を発生させ、三女神を無の世界に取り込んでいたが、ゼルダ姫がトリィとの協力によって裂け目を消し去り三女神を解放する。
しかしこれこそヌゥルの仕掛けた罠であり、ゼルダ姫が三女神を救出して大いなる力を授かるに相応しい存在と認められたところで資格を得た後のゼルダ姫のカリモノを生み出し、その権利を横取りしようとする。不意を突かれたゼルダ姫にカリモノの魔手が迫るが、トリィのテレポートによりまたも取り逃がす。
その後、ゼルダ姫の姿でデクの樹を欺き大いなる力に触れるが、資格がなかったため3つに別れ、1つはゼルダ姫に、もう1つはカリモノのゼルダ姫(ヌゥル)に、そして最後の1つは無の世界に囚われた本物のリンクに宿る(ちなみに、なんの因果かこの状況は「時のオカリナ」でのガノンドロフの二の舞を演じており、皮肉にもヌゥルに宿ったのはガノンドロフと同じ力のトライフォースである)。
カリモノのゼルダ姫はリンクから大いなる力のかけらを奪い取ろうとするが、追って来たゼルダ姫に阻まれ撤退。ついにリンクを救出したゼルダ姫は、共にヌゥルの体内へと突入する。
深部にてヌゥルの核と対峙。モヤが掛かっていて姿がはっきりとしなかったが、撤退して来たカリモノのゼルダ姫を取り込んだ後でモヤが晴れて全容が判明する。
デザインこそ禍々しいがその姿はトリィと瓜二つであった。
大いなる力のかけらによってパワーアップしたヌゥルは、手始めにいにしえの森を中心とした超巨大な裂け目を生み出しカカリコ村とハイラル牧場、ジャブール水域を飲み込んでしまう。
ヌゥルを止めるべく、ゼルダ姫たちは最後の戦いへ挑むこととなる。
ちなみに、トライフォースを目の前にしたカリモノのゼルダ姫のセリフを見るに、ヌゥルが作り出したカリモノの言葉はすべてヌゥルの一人芝居であることが考えられる。
現にファセットのように喋り方がオリジナルと異なったり、ハイラル王のように兵士に指摘されるまで娘のゼルダを他人のような言い方をするなど、オリジナルの性格まではコピーできていないことが示唆されている。
戦闘
そうか…
これが 大いなる力…!
だが まだ足りない…
もっと ほしい… もっと よこせ…
ゼルダとトリィとリンクの3人で挑むこととなる。リンクに力の剣を始めとする武器を返してしまうため剣士モードが発動出来ない。
前半戦は、3本の腕を床に叩き付けて攻撃したり、壁の中から腕だけを伸ばして衝撃波を仕掛けて来る。
ある程度ダメージを与えるとボディにひびが入り、3つの腕のどれかから床にダメージゾーンを形成するようになる。カリモノが触れたら一発で消滅してしまう。
ダメージを与え続けるとボディが大きく損壊。ボディがただの入れ物であり、本体は邪悪なエネルギーの塊だと判明する。
ヌゥルの腕をシンクで引っ張ることで、リンクが回転斬りで腕を切断してくれる。攻撃の激しさが弱まるだけでなく、すべての腕を切断するとヌゥルが倒れて攻撃のチャンスとなる。ちまちまと腕とヌゥルを攻撃してもダウンを取れるが、前者の方が早いし簡単である。
これは全形態共通なので、ぜひとも狙ってほしい。
中盤戦では異空間に逃げたヌゥルをゼルダ姫が追い掛け、リンクと分断されてしまう。
今度は水中戦になり、捕らえていたトリィの仲間たちを取り込みながら逃げに徹する。ゼルダ姫は追い掛けながら水中用のカリモノで攻撃することとなる。
この時、トリィの仲間を使ってウズヨビのカリモノを出し、大渦で攻撃してくる。
なお、時折大きな水泡が出てくるため、呼吸ゲージが厳しいなら取っておこう。
後半戦では再びリンクと合流。今度は5本の腕が生えた最終形態になり、ボディ部分も復活した(トリィ似の顔が泣いているように見え、取り込まれたトリィの仲間が助けを求めているようにも見える)。更にこれまで戦ったボスたちのカリモノを呼び出して攻撃し始め、ダメージを与えるほど攻撃が激しくなる。
ダメージを与え続けると本体がどんどん壊れて行き、取り込んだ大いなる力のかけらが露わとなる。更に攻撃するとダウンするので、シンクシステムでかけらを取り戻せば勝利となる。
最期
大いなる力のかけらをゼルダ姫とリンクに取り戻されるヌゥル。瀕死の状態になりながらも「よこせ…よこせ…」とかけらを求め続ける。
次の瞬間、ゼルダ姫たちによって大いなる力は完全な形となり、それに触れたゼルダとリンクの願いを聞き届けた大いなる力はヌゥルを光の中へと飲み込む。光によって裁かれ消滅していく中、ヌゥルはそれでもまだ大いなる力を寄こせと求め続け、やがて消えて行った。
ヌゥルが消滅したことにより、かつて神隠しにあって言葉を失ったリンクが喋れるようになった(エンディングでは台詞が描かれないため、何を喋ったのかはプレイヤーの想像に委ねられている)他、スタッフロールの画像から廃人化した子供たちも無事に回復したことが判明する。
余談
- キャラ名について
名前の由来は、英語において「無」を意味する「ヌル(Null)」と思われる。
すなわち、本作の序盤から登場する「無の世界」という呼称そのものがヌゥルの存在の伏線となっていたのである。
また、nullはプログラム用語でもあるためメタ的な視点で捉えると任天堂スタッフ(3女神創造神)が大地を作るが、バグやプログラムミスによって裂け目が生まれる(地形バグ)のを人知れずテスターやデバッガー(つまりトリィ)が消して行ったと考えると面白いかもしれない。
- ガノンとの関連性
今作にも登場したガノンとの関係は詳しくは語られていないが、ガノンはヌゥルによって作られた無の世界の魔物で、魔物達の中でも特に強大な力を持っており、ヌゥルはガノンを「魔物たちの仮の親玉」と言う扱いにして操っていたのではないかと思われる(実際、今作のボスはガノンを含め全て無の世界の魔物である)。
劇中では誰もガノンのことを知らず一貫して「青い魔物」「ガノンという魔物」と呼んでいることから、或いは相当昔にオリジナルガノンを取り込んでカリモノにした可能性もある(本作がゼルダ史のどの時系列かは不明だが、本編の時点でガノンが力のトライフォースと分離されている)。
もしかしたら、どこかでガノンを取り込み、ガノンの強大な魔力を得たことでトリィの仲間を捕らえることができ、そのために本作の事件が発生したと考えることができる。
ただ、トライフォースを狙うも力のトライフォース以外を入手できずにゼルダとリンクに敗れるという、かつてのガノン……ガノンドロフの二の舞になろうとは、なんたる皮肉だろうか。
- 彼(彼女)の行動について
一部では「後からやってきて勝手に大地を作った三女神が悪いのであって、自分の世界の安寧を望んだこいつ自体は悪ではないのでは?」とヌゥルを擁護する声もあるが、終盤の貪欲さを見ると仮にヌゥルや無の世界を避けてハイラルの地を創造しても、ヌゥルが侵攻してこないとも限らない上に、自分以外の存在を認めない性質からヌゥルの存在を許すことは他の生命(魔物を含む)の存在や天地などの自然摂理そのものの全否定になり得ることになる。
ヌゥルが力のトライフォースを手にして裂け目を広げた際、魔物であるモリブリンも裂け目に飲まれてしまっているため、ヌゥルは決して魔物の味方ではない(そもそも、魔物のカリモノを作れるということは、魔物達も裂け目に飲み込ませて取り込んでいたことが示唆される)。
- トリィとの関連性
ヌゥルの核の容姿がトリィに似ていることと、カリモノを作り出す能力については、自分自身以外の存在を認めないヌゥルがこの容姿と能力を持っていたとは考えにくいため、トリィの仲間を取り込んだことでその姿とカリモノの力を物にしたと考える方が自然である(カリモノについてもハイラルを侵攻するための道具であり、用が済めば偽ゼルダのように捕食するつもりだったのだろう)。
実際、ラストバトルでも捕らえたトリィの仲間を利用してボスのカリモノを生成しているため、元から持っていた能力ではない可能性は高い。