手塚治虫の晩年の漫画の一つ。手塚治虫が死去したため「グリンゴ」「ルードウィヒB」「青いブリンク」「聖書物語」「ジャングル大帝(新)」と共に手塚の遺作になった。(前者3つは漫画、後者3つはアニメ)
あらすじ
大学の校内で自殺を図ろうとした主人公の老人・一ノ関教授教授。
彼は生命の謎を解き明かそうと長年努力していたが、ついにそれができず年老いた自分を嘆いていた。
一ノ関教授が用意した毒を飲み干そうとすると、そこへゲーテのファウストで書かれていたような悪魔「メフィスト」が現れる。
メフィストは一ノ関教授を若返らせる代わりに悪魔の契約を結ばせる・・・。
解説
まだ本作の漫画が描かれる前、手塚治虫は40代の中頃から何度も「ネオ・ファウスト」という名前のアニメ作品を希望してた。
虫プロが倒産する直前はこの記事の同名のアニメ映画「ネオ・ファウスト」の完成シナリオも仕上げている。
しかし、それは虫プロが倒産したためお蔵入りになった。本来ならばアニメ映画「ネオ・ファウスト」はアニメラマの第四作になる予定だった。手塚は実現すれば「ネオ・ファウストは私のもう一つのライフワークにしたい」とも語っていた。
手塚治虫は漫画以外の様々な事に精通していたことは有名だが、ことにゲーテのファウストは中学生時代に読んで大きく刺激を受け、1950年赤本にて名作文学の漫画化作品としてファウストを選び、後に短編集ライオンブックスにもファウストを元ネタにした「百物語」と言う作品を発表していたが、本作はさらにその後、手塚治虫が死ぬ一年前に連載が開始された。
様々な要因からこの作品は作品の内容以外の点が注目されている。
- 手塚治虫は胃癌を胃潰瘍と宣告されていたが、当作には胃癌を胃潰瘍と告げられ、持って3,4カ月と言う執筆時の手塚の状況とよく似たキャラクターが登場する。
- 前半も早かったが、後半のストーリー展開が非常に速い。
なお手塚治虫は臨床経験こそなかったが医学博士であり、死の直前の日記には癌を告げられた人物がトイレで天井画を描きだし存在証明を残す「トイレのピエタ」という作品を構想している。
周囲の人間は本人は癌だと知らなかったはずと語るが、当作の存在も有り感づいていたか分かっていたのではないかと推察される理由の一つになった。(これ以外も日記の他のページにも手塚が癌と分かっていたと見られる部分が多くある。例えば日記の8月31日では「いよいよガンなのだろうか?」という文章もある。)
この作品に関して語られた断片的な構想から、絶筆三作の中では完結して居れば火の鳥に並ぶ壮大なスケールを持った作品となっていたと予想されており、絶筆を惜しむファンは多い。
ネーム状態の原稿を滅多な事では掲載させなかった手塚だが、絶筆となった三作で最後に描かれた作品であり、ラストの数ページは殴り描きのようなネームとなっている。
アニメ映画ネオ・ファウストの内容
林立する高層ビル、渋滞する車の群れ、そして色とりどりの商店と雑踏。
そんなどこにでもある大都会の情景に毒々しい赤色に包まれた異生成物のような生き物がいた。
それは悪魔・メフィストであった。
悪魔メフィストは赤色の異世物から人間の女の子の姿へ変え、ペダン大学の校内へ入る。
メフィストはそこで自殺をしようとしていた老いぼれの主人公に出会う。
メフィストは主人公と契約すると、主人公は若返った。その代わり、メフィストは主人公が満足すると魂をいただくつもりだった。
若返った主人公はメフィストに進められ大統領になることにする。
(上記のアニメ映画のシナリオは完全な形で書籍になっている)
原稿発見
2014年にネオ・ファウストの未発表原稿が手塚治虫の自宅から発見されたことが話題になった。
これはNHKなどでニュースとしても取り上げられた。
キャラクター
一ノ関教授
メフィストフェレス
関連イラスト
ネオ・ファウストに関するイラストを紹介してください。
別名・表記ゆれ
ネオ・ファウストに関する別名や、表記ゆれがありましたら、紹介してください。
関連タグ
ネオ・ファウストに関係するタグがありましたら、紹介してください。