概要
昭和の怪獣ブームのさいに、大手から版権を買えない零細メーカーが勝手に考案してグッズを販売していた怪獣たちのこと。
広義には、昭和期のメーカーオリジナル怪獣製品全般を指す。妙にコアなファンがいることもあって、後年になって改めてグッズ化されたり、マイナーな特撮作品に出演したりするケースもある。
水素獣エッチなどはその典型例だろう。
紙媒体
それなりの知名度を持つものとして、有名な怪獣のパーツを組み合わたり、恐竜図鑑や海外のSF小説からイラストを拝借したりした上で作成したコラージュを使用したブロマイドやトランプといった紙媒体の自称・”オリジナル”製品が知られている。
かつては、駄菓子屋などの流通に乗り広く流通したためにリアルタイム世代の印象に残ったのか、後年『怪獣VOW』等を始めとした書籍やムック本で取り上げられる機会も多く、世代を超えて浸透していると言っても過言ではない。
書籍
出版はそれなりに高コストな商品形態であるため、パチモン怪獣のような胡乱な存在とは縁遠いと思われがちだが、ここにもパチモン怪獣の入り込む隙間は存在していた。ただし上述のようなインチキ製品とは毛色が異なり、今日で言うUMAエピソードを編集したもの、きちんとストーリーを練って重厚なイラストも添えたものも多く、厳密にはパチモン怪獣とは言い難いがたまにパチモノテイスト溢れるイラストが掲載されていることもあり、この筋のファンには見逃せないものもある。
又、怪獣ブームの影響か、UMA単品の目撃情報といった内容も時代が下るにつれて、『ゴジラ対●●』を意識したかのような、怪獣同士の対決メインの物語性を重視した内容に変遷するのも興味深い。
立体製品(人形・模型等)
イラストのみに止まらず、マルサン商店による「マルサンのウルトラ怪獣シリーズ」といったソフビ人形や、日東科学教材による「日東のウルトラ怪獣シリーズ」のようなプラモデル、怪獣消しゴムなど、立体物も多かった。
(なお、双方ともにウルトラシリーズとは無関係であり、互いの企画にも繋がりはない)
このパターンでは完全なオリジナルデザインも多い反面、恐竜などのプラモデルを箱を変えただけで怪獣と言い張って売る、版権がなくなったウルトラ怪獣のプラモデルを名前だけ変えてオリジナル怪獣だと豪語する、というようなケースもあった。
上述のまっとうな立体製品よりも悪質なケースとしては、有名怪獣によく似たデザインの怪獣をオリジナル製品と銘打って販売するという、汚さの中にも愛嬌があるものから、名称さえもそのままで販売したり、人形などの複製品・模造品や更にそれを元に(追求をかわす目的で)ツノや模様などの小細工を加えたものを流通させるという、現代の商業倫理からは信じられない行為も横行していた。
余談
- 尚、稀にパチモン怪獣にもかかわらず現存数が少ないために本物より高値がつく偽物もあるとのこと。
- 妙に有名な地底怪獣ガマロンは意外にも雑誌連載企画の出身。但し、連載当時は名前が異なっていた。
関連タグ
地底怪獣ガマロン:厳密にはパチモンではないが似た立ち位置