フードコートとは、外食様式の一種である。
概説
施設内の一区画に多数の座席を用意し、壁側にカウンターと調理スペースだけを供えた屋台型の小型店舗を複数用意した、セルフサービス式の食堂施設。
客は店を選んで目的のメニューを注文し、それを座席スペースへと運んで食事を摂る。
料金は先払いが基本で、券売機を利用する店舗も少なくない。
多くの場合、店側が番号の付いた携帯式の呼出ベル(電子アラーム)を手渡して引き下がらせ、注文が出来上がり次第、ベルを作動させて客を店先に呼び戻し、メニューを提供する。
水やお茶などのフリードリンクは、客席スペースの何ヵ所かに設置され、客が自ら取りに行く。
食べ終えた後の食器とトレーは、各店舗の返却スペースに返す。施設によっては、返却スペースを一ヶ所に集約させ、食器の洗浄後に各店舗に振り分けられる方式もある。
メリットとして、座席を壁などで隔てないため解放感があり、座席も稼働可能なものも設置されているため、人数に合わせて座席の規模を客側で調整できる。
何よりジャンルとメニューが選り取り見取りなので、それぞれの気分と好みに合った食事を一堂に会して食べることが出来、メニューへの不平不満を小さくできる。
施設側も、飲食店区画のための面積を縮小でき、なおかつ多数の出店を募って豊富なメニューを揃えられる。
デメリットとして、水やお手拭き、メニューの運搬やごみの処理などはセルフサービスとなるため、客側にいくらかの労力を強いることになる。
座席も決して座り心地がいいとは言えず、混雑時には人込みでごった返して雑然とするため、静かにゆったりと食事を摂るにはあまり向いていない。時には赤の他人と相席を余儀なくされるので、気不味い雰囲気を覚えた人もいるだろう。
施設としても、出店した店舗の売れ行き次第でコーナーの盛衰が分かれるため、ある程度の店舗同士の連携を要求しなければならない。
客席も客側のマナーが再来店に反映されるため、折を見て客席コーナーを清掃したり、来客に注意を喚起する張り紙等を設置し、マナー向上を訴える必要がある。
デパートなどの大型商業施設に主に設置され、特に2000年代からは大規模なフードコートスペースを用意し、来店した客への休憩所も兼ねた場所として提供する施設が増えた。
ラーメン博物館など、一部のグルメ系テーマパークや複合屋台施設の多くも、フードコート方式を採用するところが多い。
昨今では高速道路のサービスエリアでも多く採用され、ご同地メニューを売りに各店舗がしのぎを削っている。ローカルのレストラングループの参入も多い。
出店店舗の傾向
ハンバーガーをはじめとしたファーストフード系も1店舗は参入している。
たこ焼きやたい焼きなどのおやつメニュー、パンケーキやアイスクリームなどのデザートやスイーツを扱う店舗も必ず少数ながら存在する。
こうした傾向は、客自らがテーブルにメニューを運ぶ関係上、複数の品目をトレーに載せるようなものよりも、一品で満足させられるメニューの方が優先されるため。座席の回転率を考慮しても、ラーメンや丼の方が手早く食べられ、後片付けも楽なので、理にかなっている。
一方で、変わり種として寿司やステーキなど、やや値の張るメニューを提供する店舗も増えている。
これはフードコートに付きまとう「安上がりで陳腐」といったマイナスイメージを払拭すると同時に、少し贅沢なメニューを手軽に楽しんでもらう狙いがある。
フードコートへの「持ち込み」について
よく意見が交わされるのが、「フードコートに施設内の食料品店からの食品や家からの弁当の持ち込み」である。
これについては、店側の裁量に一任されている。
よって、たとえ持ち込みをしたとしても「施設内の食料品店のモノはOK」であったり、客とのトラブルを避けるために家庭や他店舗からの持ち込みについて黙認したりと、施設側で対応は違っている。
ただし、張り紙等で持ち込みの裁量を明確に指定している場合はそれに従うのがマナーである。
「持ち込み禁止」を明示しているのなら、その施設での持ち込みは施設管理者からの注意喚起の対象となる。
事と次第では法的なトラブルにもつれ込むこともあるので、マナー喚起の張り紙等は事前に確認するように。
関連タグ
自称特別捜査隊:集まって話し合う場所がジュネス屋上のフードコート。
お土産コーナー/ミュージアムショップ/スーベニアショップ:フードコートと同様に、建物内にありがちなもの。