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ボジョレー・ヌーヴォー

ぼじょれーぬーゔぉー

フランス南東部のボジョレーで醸造された新酒ワイン。 色んな意味でインフレを続けるフランス産のワイン。
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ボジョレー・ヌーヴォーとは、ワインの銘柄の一つである。


概説編集

ボジョレー(Beaujolais)とは本来、フランス南東部・リヨンのに位置する土地の名前で、特にワインの産地として知られる。転じて、同地のワインそのものも「ボジョレー」と呼ぶ。

ヌーヴォー(またはヌヴォー、Nouveau)とはその年のブドウの出来を確かめる為に醸される試飲新酒の事で、つまりこの呼称は意訳すると「ボジョレー・ワインの試飲新酒」位の意味になる。


一般的なワインは、早くとも出荷が原料のブドウが収穫された翌春になるのが通例だが、ヌーヴォー・ワインは『マセラシオン・カルボニック』という特別な発酵法を用い、ブドウの収穫後、僅か数十日で瓶詰め・出荷される。熟成の度合いが浅いため口当たりは軽く、ワインとジュースの中間のような香味である(但しアルコール度数はほぼワインと同じで、12度くらいはあるので、口当たりが軽いからと言って飲み過ぎには注意)。

また通常のワインと異なり、寝かせても特に美味しくもならない。

ボジョレー・ヌーヴォーの出荷日は品質維持の目的もあって11月第3木曜日と厳しく決められており、集荷が集中するせいでこの時期は現地の航空貨物運賃が極端に高くなる。

2020年代前半には、ロシアによるウクライナ侵攻の余波による航空運賃高騰で、日本での販売家格が更にハネ上がった事も有った。


インフレするキャッチコピー編集

しかしボジョレー・ヌーヴォーが日本で有名なのは、売り手によるキャッチコピーのパワーインフレ毎年の恒例行基となっているためだろう。

このキャッチコピーはボジョレーを扱う「フランス食品振興会(SOPEXA)」や販売業者によって考案されるもので、如何に鮮烈で買い手の購買意欲を刺激できるかに重点を置いて考えられるせいか、だいたい奇抜で現実味に欠いているものが目につく。

もちろん味を称賛したものもある(特にSOPEXAのコピーは味への言及を重視している)ものも、「◯◯年に一度の〜」という表現で自ら屋台屋を重ねていくせいで、あまり頭に入ってこないというのが本音である。

なお、刃牙シリーズでも(大袈裟な言い方に対して)「まるでボジョレー・ヌーヴォーのキャッチコピーだぜ」とネタにされた事も有る。


近年のキャッチコピーをまとめると――


  • 95年「ここ数年で一番出来が良い」
  • 96年「10年に1度の逸品」
  • 97年「1976年以来の品質」
  • 98年「10年に1度の当たり年」
  • 99年「品質は昨年より良い」
  • 00年「出来は上々で申し分の無い仕上がり」
  • 01年「ここ10年で最高」
  • 02年「過去10年で最高と言われた01年を上回る出来栄え」「1995年以来の出来」
  • 03年「100年に1度の出来」「近年にない良い出来」
  • 04年「香りが強く中々の出来栄え」
  • 05年「ここ数年で最高」
  • 06年「昨年同様良い出来栄え」
  • 07年「柔らかく果実味が豊かで上質な味わい」
  • 08年「フルーツ フルーツ フルーツ」
  • 09年「ここ50年で最高の出来」
  • 10年「2009年と同等の出来」
  • 11年「2009年より果実味に富んだリッチなワイン」
  • 12年「ボジョレー史上最悪の不作」
  • 13年「みずみずしさが感じられる素晴らしい品質」
  • 14年「2009年の50年に一度のできを超える味わい」
  • 15年「今世紀で最高の出来」
  • 16年「エレガントで酸味と果実味のバランスがとれた上品な味わい」
  • 17年「豊満で朗らか、絹のようにしなやか。しかもフレッシュで輝かしい」
  • 18年「2017年、2015年、2009年と並び、珠玉のヴィンテージとして歴史に刻まれるでしょう」
  • 19年「果実をそのまま食べたようなワインに仕上がった」

…となる。

これを見て味やバイヤーの意思が読み取れた人は、多分マインドシーカーを難なくクリア出来るかもしれない……。

特にいくつかは突っ込みどころ満載大喜利状態であり、ボジョレー好きの間では「毎年どんなコピーを発表してくるか」と、それこそ大喜利状態で予想が立てられるのが定番化している。



毎年センセーショナルなコピーが飛んでくるが、一応の法則性は有り、ボジョレーを仕込んだ年の生産量と全体的な味の評価にとりあえずは則して講じられている。

しかも文句なしで出来が良い年はストレートに絶賛する一方で、あくまで及第点となると周りくどい言い回しに転じる傾向が見られるという。


ともかく、売り手は「今年も最高の出来ですよー!!」と宣伝すべく、毎年ネタを捻り出して来るのだ。


どうしてこうなった編集

そもそもボジョレー・ヌーヴォーはあくまでボジョレーワインの醸造過渡期でしかなく、ワイン通がその年に仕込んだボジョレーの先行きを占い、出来栄えを未来に期待する意味でこっそりと楽しむものでしかなかった。


ところが21世紀ワインブームで沸く2000年代の日本でのマーケティング戦略により、「ヌーヴォーを飲まずばワインを語るに能わず」と言いたげな風潮まで作ってしまった。

世界広しと言えど、ボジョレー・ヌーヴォー一つでお祭り騒ぎするのは日本人だけらしい。


しかし空前のボジョレーブームも、上記のキャッチコピーの連発から徐々に信用を失っていき、2010年代になると急速にボジョレーブームは失速し、平成の終わりには単なる恒例行事としてニュースであっさり紹介される程度となった。

むしろ今までが過熱していたというのが正しいのだが。


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