概要
発泡性のあるワインの総称。白ワインに糖分を加え再発酵させ、発生した炭酸ガスをワインに保有させて密封する。人工的に炭酸ガスを吹き込んでつくる方法もある。
スパークリングワインに対してふつうの非発泡性ワインはスティルワイン(Still wine)と呼ばれる。
製法
シャンパーニュ方式
瓶に詰めたスティルワイン(通常の非発泡性ワイン)に糖分と酵母を加えて密栓し、そのスティルワインをベースに瓶内でさらに発酵を起こさせる製法。スティルワインを造るときの発酵(一次発酵)と区別して、この瓶内での発酵を二次発酵と呼ぶ。瓶内でのゆっくりした発酵とその後の瓶内での熟成が、きめの細かい泡を造りあげる。トラディショナル方式とも呼ばれる。
スペインのすべてのカヴァ、ドイツのゼクトの一部、イタリアのスプマンテの一部などがこの製法で造られる。
シャルマ方式
二次発酵を瓶内ではなく、密閉耐圧タンク内で行う製法で、フレッシュ・フルーティーなスパークリングワインの製造に適した方法。「シャルマ」は製法の考案者の名。
ドイツのゼクト、イタリアのスプマンテのほとんどはこの製法で造られている。
二酸化炭素吹き込み方式
スティルワインに二酸化炭素を吹き込む製法で、泡はやや粗いものの、スッキリ系で安価なスパークリングワインの製造に用いられる。
代表的なスパークリングワイン
フランス
シャンパン(Champagne)
シャンパーニュ地方で生産されたブドウのみを使い、シャンパーニュ製法で造られた発泡ワイン。
クレマン(Cremant)
シャンパーニュ以外の地域で、シャンパンと同様の製法で造られた発泡ワイン。
ヴァンムスー(Vin Mousseux)
シャンパン以外のフランス製発泡ワインの総称。「ムスー」とはフランス語で泡の意。
ペティアン(Petillant)
微発泡性のワイン。フランス語で「ぱちぱちはねる」の意。
イタリア
スプマンテ(Spumante)
イタリア語で「発泡性の」という意味で、イタリアでシャンパン等を含んだ発泡性ワイン全般を指す。ほとんどがシャルマ方式によって作られている。アスティ・スプマンテなどが有名。
フリザンテ(Frizzante)
スプマンテ同様イタリアの発泡性ワインで、微発泡性のもの。
ドイツ
シャウムヴァイン(Schaumwein)
ドイツのスパークリングワインの総称。
ゼクト(Sekt)
シャンパンと同じ製法で造られた、ドイツの発泡ワイン。
スペイン
カヴァ(Cava)
シャンパンと同じくらい古い歴史を持つ良質の発泡ワイン。
特定品種のブドウを使用し、シャンパーニュ方式が必須である上に、熟成期間などにも規制がある。
エスプモーソ(Esupumoso)
スペインでのガスを含むスパークリングワインの総称。カタルーニャ地方で多く作られている。“カヴァ”とは製造方法が異なり、明確に区別されている。
スパークリングワインを使ったカクテル
キールロワイヤル
クレームドカシスをシャンパングラスに入れ、冷やしたシャンパンで満たし、軽くステアしてつくる。
カシスの優しい味とキリッとしたシャンパンの酸味がバランスのよい飲みやすい味わい。
ミモザ
正式名称は「シャンパン・ア・ロランジェ(Champagne à l'orange)」(オレンジジュース入りのシャンパン )。
シャンパングラスにシャンパンを注ぎ、オレンジジュースで満たして、軽くステアする。
オレンジジュースの甘みに、シャンパンのキリッと引き締まった酸味がマッチしたフルーティな味わい。
シャンパン・カクテル
角砂糖にアンゴスチュラビターズをかけ、シャンパンを注ぎレモンピールを浮かべる。
映画『カサブランカ』の中で、ハンフリー・ボガートが扮する主人公リック・ブレインが、ヒロインのイルザ(イングリッド・バーグマン)を見つめ「君の瞳に乾杯」という名台詞を口にするシーンで二人が持っていたカクテルとして、世界的に有名になった。
ベリーニ
シャンパングラスに桃のピューレとグレナデンシロップをいれ、軽くステアしてから冷やしたスプマンテで満たす。 ピューレをフレッシュピーチジュースやピーチネクターなどで代用する場合もある。
スパークリングワインの爽やかさと桃の甘い香りが絶妙に調和した、フルーティで飲みやすい味わい。
シャンパン・ブルー
シャンパンにブルー・キュラソーを加えただけのシンプルなカクテル。
テルマエ・ロマエガチャに登場するブルーカクテルのモチーフと考えられる。