概要
ポスト印象派(仏:Post-impressionnisme)は、1880年代のフランスにおいて印象派の影響や反発を経て出現した西洋絵画の潮流の総称である。日本では「後期印象派」の訳語が定着しているが、その実態は「脱印象派」「反印象派」に近い。直訳すると「後印象派」である(「ポストパンク」「ポストモダン」「ポスト宇宙世紀」などの「ポスト」)。
日本ではポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーギャンが「後期印象派の御三家」と呼ばれ、このほかジョルジュ・スーラ、ポール・シニャック、オディロン・ルドン、アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックなどが挙げられる(このうちゴッホとロートレック以外は1886年の最後の印象派展に参加している)。
ポスト印象派の画家の作風は各人の個性が強く反映したものが多く、強いて共通点を挙げるなら、印象派の色彩や光の表現に興味を持ちながら、印象派主流とは異なる独自の絵画様式を追求したところにあると言える。ただし、ポスト印象派のうちスーラやシニャックなどの「新印象主義」は、印象主義の色彩分割を徹底的に推し進めたものである。
キュビスムの先駆けとされるセザンヌをはじめ、輪郭を強調した平坦な色面で画面を構成するゴーギャンらの「綜合主義」(クロワゾニスムとも)などが、フォーヴィスム、表現主義、アール・デコなどの20世紀美術の橋渡しとなった。