概要
ポップコーン・ブギとは、むつ利之が1981年から2年2ヶ月もの間少年ビッグコミック(後のヤングサンデーで現在廃刊)で全45話連載していたギャグ漫画で、1980年代前半当時の芸能界を風刺した主人公達男性アイドルトリオの立志伝である。
その主人公トリオをゲストの裏方のプロフェッショナル達の助力を借り、時には他芸能プロが派遣するプロフェッショナルの妨害を避けつつ、仕事を達成する…のだが、大概そのプロフェッショナルが暴走やヘマを起こすのがオチだった。
あらすじ
カマプロ所属の新人アイドル歌手六本木誠は、当初は単独男性アイドルとして売り出していたが(第1〜第5話)、マネージャーの青森ひろみ(♂)の陰謀で、食い逃げで閉店に追いやった牛丼店の店長とバイト店員だった水戸納豆の二人とトリオを組ませ「牛丼トリオ」を結成させる(第6話)。
ひろみは牛丼トリオを大々的に売り出す為、仕事の度に様々なプロフェッショナル達の助力を借りる。
果たして牛丼トリオの明日はどっちだ?
登場人物
レギュラーキャラ
六本木誠 一応の主人公でカマプロ所属。青森県出身の16-18歳新人アイドル歌手だったがマネージャーの陰謀で、牛丼トリオを組む羽目になる。
水戸納豆 茨城県出身の28-30歳で第6話より登場。元牛丼店のバイト店員で誠より年上。
吉野屋牛一 鹿児島県出身の32-34歳で同じく第6話より登場。元牛丼店々長の為「店長」と呼ばれている。当然牛丼トリオの最年長だかま何故か身長が低い
青森ひろみ カマプロの社員で牛丼トリオのマネージャーで43-45歳。小柄で小型のサングラスを付けているのがトレードマーク。様々な芸能人を輩出したが、誠を大々的に売り出す為に牛丼トリオを結成する。
ゲストのプロフェッショナル
第5話から登場する芸能界を支える裏方達。しかし、必ずしも主人公達の味方と言う訳ではなく、他プロから相手を潰す為に送られる事もある。
泣かせ屋のヤス 第5話、第12話、第35話に登場する記念すべき芸能プロフェッショナル第一号。泣く演技を教えるプロフェッショナルで、最多の3回登場している。
必殺コンサート盛り上げ仕掛人 第6話に登場するコンサートを盛り上げるグループ。悲鳴のお竜を率いる一番隊、失神の富子率いる二番隊、失禁のお徳率いる三番隊のチームから構成されている。女子高生の姿をしているが、正体は団地主婦のパートによるグループである。
サバ読み破りのテツ 第7話登場で初の敵側プロフェッショナル。人の年齢をズバリと読み取る特技を持っており、結成したばかりの牛丼トリオを窮地に追いやる。
サバ読ませのトメ 同じく第7話登場。サバ読み破りのテツに対抗してひろみが助っ人として呼び、テツと対決した。
シェイプアップの権三郎 第8話登場。本職は手打ちうどん屋だが、3分間だけ人間の肉体を改造出来る。
笑い袋のヨネ 第9話と第12話に登場する。泣かせ屋のヤスに次いで、ようがすのタツとタイの2回登場。妻子に逃げられる等どんな苦境でも笑いを絶やさない笑いのプロフェッショナル。泣かせ屋のヤスとは宿命のライバルと言え第12話で対決する。
コンマのケンゾー 第10話登場。どんな番組でも視聴率を上げるプロフェッショナル。
あみタイツのヨーコ 第11話登場の単独では初の女性プロフェッショナル。どんなに振り付けが下手でもあっという間にマスターしてもらえる。
熟睡ブラザーズ 第13話登場。モーニングコールのヒロシが兄で、子守歌のマサが弟の睡眠のプロフェッショナル。
一夜漬けのリツコ 第14話登場。あっという間に映画をクランクアップさせてくれる。
聴診器のハルオ 第15話登場。どんな小さな音でも聞き落とさない脅威の聴覚の持ち主。
リクルートのイチロウ 第15話登場。失職したハルオをリクルートする。
年末年始トリオ(便宜上の呼称) 第16話登場。「門松の金次郎」をリーダーに「きよしこの夜」のヒデと「中小企業のカズ」の2人のアシスタントを用いて年末年始の番組を演出する。
マッドアームのシゲ 第17話登場。寸分の狂いも無く芸能人のサインを模倣出来るプロフェッショナル。
「ようがす」のタツ 第18話と第41話に登場。 元は普通のタクシー運転手だったが、プロフェッショナルに覚醒。制限時間を提示すれば必ずその時間内に目的地へ着かせてくれる反面、その運転は破茶滅茶でまるで「大都会(刑事ドラマ)」や「西部警察」バリのカーチェイスを受ける羽目になる。
必殺帰省仕掛劇団「ふるさと」 第19話登場。 帰省できないタレントを即、田舎へ帰った気分にさせてしまう演劇集団。
泥酔のススムさん 第20話登場。水一杯でグデングデンに酔っ払ってしまう特技の持ち主。
バミューダのユウちゃん 第21話登場。どんな寒い日でもアッと言う間に夏を運んで来てくれる。モチーフは俳優の加山雄三。
3倍速のケンさん 第22話登場。3日分の生活を1日に短縮してしまう脅威の人物。
コマ送りのヨッちゃん 同じく第22話登場。此方は逆に1日の生活を3日掛けて行う超スロモー人間で、2人の元ネタは当時のホームビデオデッキの機能である。
シャンゼリーゼ花子さん 第23話登場。語学堪能のおばちゃん。
黒船が来たよのハタちゃん 第24話登場。時代劇のプロフェッショナルで、本当に時代錯誤な生き方をしている。
ジャパン人文字アクションクラブ 第25話登場。歌手が歌詞を忘れた時にその歌手の平仮名を見せる。背骨を折ってまでも文字を作るのは正にプロ根性。
お天気予報一家 第26話登場。メンコ返しの正和、モチ肌のノリ子、二日酔いでら欠勤のオサム、気象衛星の4人で気象情報を予想する。
千顔を持つ女、ミネ子 第27話登場。メーキャップのプロフェッショナル
う〜ん美味じゃのヤマさん 第28話登場。料理番組のプロフェッショナルで、ある珍味に挑むが…。此方のエピソードの慣例通り、とんでもない展開を迎えた。
グッドセンスのウメさん 第29話登場。ステージ衣装のプロフェッショナルにしてベテラン。
着せ替え人形のリカちゃん同じく第29話登場でウメさんのパートナー。目にも止まらぬ早技であっという間に着せ替えてくれる。ウメさんとの関係はパートナー以外不明。
霊長類のミズエ 第30話に登場。身も心も猿に変身するも、一度猿に変身すると1~2年猿に成り切り社会復帰出来ない困った性癖の持ち主。変身する時には男衆の前で堂々全裸になり、本作唯一のお色気シーンを展開した。
元気があってのよろしいタメさん 第31話登場。家庭ではスパルタの鬼父だが、テレビでは幼児番組の弄られ役で、テレビと現実の違いを見せた。
恋のキューピッド集団 第32話登場。恋愛が出来ないタレントの為の恋愛仕掛人。恋愛から破局迄面倒を観る。
オカマのヒロミとオナベのケンサク 第33話登場。オカマの夫とオナベのコンビで実は夫婦。
三途の川のギンさん 第34話登場。非常にアブノーマルな人である。
おしんデレラの裕子 第35話登場。村芝居の名女優で、実は泣かせ屋のヤスの娘である。
タロとジロ 第36話登場。テレビ局に閉じ込められたサバイバルのプロフェッショナル。元ネタは「南極物語」のタロとジロである。
人間プラネタリウムのユウジさん 第37話登場。本職はトビ職であるが、豆電球で見事に星座を再現する。
パニック牛松さん 第38話登場。どんな状況でもパニックの嵐を呼ぶ傍迷惑な人。
カベをぶち破れのエッちゃん 第39話登場。スランプを脱出させるプロフェッショナル。
無理心中のかなえさん 第40話登場。スタントマンを高い所から突き落とす恐ろしいプロフェッショナル。
クローン人間の山本兄弟 第42話登場。幾らでもクローン人間を増殖させるとんでもない兄弟。
影絵のシゲさん 第43話登場。指を使い様々な影絵を作り出すプロフェッショナル。
ブルドーザーのツヨシさん 同じく第43話登場。穴掘りを図面通りに掘る掘削のプロフェッショナル。
古代一族(便宜上の呼称) 同じく第43話に登場した真打のプロフェッショナル。ムー大陸の遺物のキヨシさんを始め、妻の天の羽衣伝説のヒサコ、息子の謎の土偶のトモカズ、あんこおるわっとのいとこ、祖父の妖怪小豆洗い、祖母の妖怪砂ババア、またいとこのあだむすきいで構成され、謎番組を演出する。第43話はプロフェッショナルの数が最多の3組登場した。
必殺回答カルテット 第44話に登場する本編最終芸能プロフェッショナル。本をめくって答えを見つけるまで0.01秒の早さを誇る「早めくりのタツミさん」、瞬時にボタンを押す「早押しのリュウ」、伝達人Aのフッくん、伝達人Bのヤッくんの4人からなるチームである。
その他
ナシモト 第7話と第12話に登場する所謂ゴシップリポーター。牛丼トリオの仕事を邪魔しようとあの手この手を使い、終いには芸能プロフェッショナルを派遣する程であった。結果として2話のみの登場に終わったものの、牛丼トリオを邪魔する準レギュラーの悪役になる予定だったと思われる。
誠の父 第5話登場。青森からわざわざ誠に会いに上京。
七四野権兵衛 第17話登場。サイン代筆カンパニーの営業係長。
飼育係 第30話登場。CMに出演している猿グループの飼育係。ボス猿のトモウキのスランプに手を焼く。
トモウキ 第30話登場。猿グループのボス猿だが、妻に逃げられ落ち込んでおり、ミズエが猿女に変身する原因を作り、最後にはミズエに負ける。
佐手角造 第39話登場55歳。人気大御所脚本家だが、スランプに苛まれていた所を壁破りのエッちゃんに助けられる。実はエッちゃんは佐手の嫁であった。
落田賀毛夫 第40話登場で、実質的な第40話の主役。スタントマンでありながら高所恐怖症であるが、無理心中のかなえに落とされる。
話数リスト
第1巻
No. | サブタイトル | 登場プロフェッショナル |
---|---|---|
1 | ごめんね記者会見 | 第5話迄なし |
2 | フンイキ作りはむずかしい | |
3 | おっそろしいラジオ・ガール | |
4 | 休日大パニック物語 | |
5 | ナミダ〜ナミダのご対面 | 泣かせ屋のヤス |
6 | 開演だよ、牛丼トリオ | 必殺コンサート盛り上げ仕事人 |
7 | タレントの年を暴く | サバ読み破りのテツ、サバ読ませのトメ |
8 | おれたち大スター、だからスタイル抜群 | シェイプアップの権三郎 |
9 | あ〜っはっはっは〜 | 笑い袋のヨネ |
10 | 視聴率あげます | コンマのケンゾー |
11 | 恐怖のブリッコ娘 | あみタイツのヨーコ |
12 | オ〜イオイVS.あ〜っはっはっは | 泣かせ屋のヤス(再)、笑い袋のヨネ(再) |
第2巻
No. | サブタイトル | 登場プロフェッショナル |
---|---|---|
13 | ハードスケジュールなんて怖くないやい | 熟睡ブラザーズ |
14 | 2人でお茶を | 一夜漬けのリツコ |
15 | 音の魔術師 | 聴診器のハルオ、リクルートのイチロウ |
16 | 新年を呼ぶ男 | 年末年始トリオ |
17 | サインはおまかせ | マッドアームのシゲ |
18 | 明日にむかって走れ | 「ようがす」のタツ |
19 | 田舎は最高だっぺごわす | 必殺帰省仕掛劇団「ふるさと」 |
20 | 泥酔行進曲 | 泥酔のススムさん |
21 | 海がオレを呼んでるぜ | バミューダのユウちゃん |
22 | キュルキュルの1日 | 3倍速のケンさん、コマ送りのヨッちゃん |
23 | おばちゃんは国境を越えていく | シャンゼリーゼ花子さん |
第3巻
No. | サブタイトル | 登場プロフェッショナル |
---|---|---|
24 | 気分は江戸時代 | 黒船が来たよのハタちゃん |
25 | みよ人文字 | ジャパン人文字アクションクラブ |
26 | あしたはあしたの風が吹く | お天気予報一家 |
27 | 死線を越えて | 千顔を持つ女、ミネ子 |
28 | 食べたい時がウマイ時 | う〜ん美味じゃのヤマさん |
29 | ワンマンコンサート大成功 | グッドセンスのウメさん、着せ替え人形のリカちゃん |
30 | 新説・進化論 | 霊長類のミズエ |
31 | やさしいおじさん | 元気があってのよろしいタメさん |
32 | 美しき初恋 | 恋のキューピッド集団 |
33 | い、け、な、い・おかま道 | オカマのヒロミとオナベのケンサク |
34 | センリツの夜 | 三途の川のギンさん |
第4巻
No. | サブタイトル | 登場プロフェッショナル |
---|---|---|
35 | 牛丼トリオ解散か | おしんデレラの裕子、泣かせやのヤス(再々) |
36 | 生きてきたタロとジロ | タロとジロ |
37 | 星がほしーよー | 人間プラネタリウムのユウジさん |
38 | 東京大パニック | パニック牛松さん |
39 | カベをぶちやぶれ | カベをぶち破れのエッちゃん |
40 | 決死のダイビング | 無理心中のかなえさん |
41 | カー・チェイス | 「ようがす」のタツ(再) |
42 | ネコの手も借りたい | クローン人間の山本兄弟 |
43 | 世界の謎に挑戦 | 影絵のシゲさん、ブルドーザーのツヨシさん、古代一族 |
44 | クイズはおまかせ | 必殺回答カルテット |
45 | さらば!牛丼トリオ | なし |
牛丼トリオの成績と最終回
結果から言って牛丼トリオの人気は中堅に終わったと思われ、最終回は牛丼トリオの解散から5年後が舞台となる。
六本木誠…演歌歌手に転向し、若手として人気を集める
水戸納豆…俳優として大成
店長…髭を蓄え芸能プロを起業し、社長となる。
そんな元牛丼トリオにひろみがリサイタルを開催するが…
誰も居ないリサイタル会場に元牛丼トリオがデビュー曲を歌うシーンが泣けてくる(ひろみの台詞もあるが)。
余談
単行本はビッグコミック時代に発売されたのみで、ドットコムコミックでも復刻されていない。ドットコムコミックでの復刻が望まれる。
外部リンク
関連作品
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推しの子 令和に登場した、トップアイドルのファンだった人物がそのアイドルの実子に転生し、亡母と同じ芸能人を目指すストーリー。様々なドロドロとした展開と、亡母を死に追いやった犯人と父親を探す異色作。