概要
1967年、フリージャズの旗手であったジョン・コルトレーンが肝臓癌で死去した。彼を敬愛するフランス出身のドラマー、クリスチャン・ヴァンデはその死に衝撃を受け、傷心のままにイタリアを放浪する旅に出た。クラブで演奏しながらイタリアを彷徨う日々が続いたが、1969年に「神からの啓示」を受けた彼は急遽フランスに帰郷、ジャズやプログレッシブ・ロックを演奏するミュージシャンらとマグマを結成した。
ファースト、セカンドは呪術的で奇怪かつ、ジャズ色の色濃い作風であった。サードアルバムの「Mekanïk Destruktïw Kommandö(邦題:呪われし地球人たちへ)」でメンバーを刷新、暗黒面をそのままに強迫的な混声合唱を前面に押し出した、他に類を見ない音楽性を確立した。また、全てのアルバムに一貫したコンセプトとして、マグマの楽曲はコバイアなる架空の惑星の架空の言語、コバイア語によって語られる宇宙叙事詩である。惑星に匹敵する壮大な世界観を内包した彼らの音楽は多くの追従者を生み、Zeuhlという一つのジャンルを確立するに至った。