概要
タイ王国を代表するアクションスタートニー・ジャー主演のムエタイアクションシリーズ第3弾にして完結編の。タイでは2010年、日本では未公開。DVDは2011年に発売。
本作は前作の直接的な続編であり、前作のエンディング直後の物語となる。
主演のトニーは前作と同様に今回も自らパンナー・リットグライ監督と共に監督業を行い、アクション・武術指導も行っている。
本作において、第1作目『マッハ!!!!!!!!』に登場した、ティンの住む村で祀られる仏像がどういった経緯で誕生したかが明らかとなり、シリーズの中で最も仏教要素が強い作品となっている。
トニーは今作において、ムエタイとタイ舞踏を融合させた、“ナーターユット”という独自の技法を編み出している。
本作のキャッチフレーズは
「CGを使いません・ワイヤーを使いません・スタントマンを使いません・早回しを使いません・今回はムエタイの奥義を使います」
あらすじ
両親の仇であるラーチャセーナを刀剣で斬り伏せ、仇を討ったかに思ったティンあったが、ラーチャセーナは服に仕込んだ鎧によって生き延びており、山賊『ガルーダの翼峰』をも自らの支配下におき、ティンは捕らえられてしまう。
なんとか脱出を試みるティンだが力及ばず、凄絶な拷問を受けて体中の骨という骨を砕かれ瀕死の重傷を負い、彼を救出に向かったガルーダの翼峰の生き残りも、呪術師“鴉男”によって全滅してしまった。
しかし、ティンの両親の友人であった家臣が、密かにアユタヤ王朝に密書を送り、ティンの処刑寸前に解放を求めるアユタヤ王の特命が届き、彼を解放せざるを得なくなったラーチャセーナは渋々ティンを解放する。
彼を受け入れた村に住んでいた幼馴染みのピムや、村人たちの献身的な治療と介護で、ティンは死の淵から意識を取り戻した。
だが、ティンの体は拷問の後遺症で固まってしまい思うように動かず、絶望感に苛まれたティンは命を絶とうとするが、僧ブアの導きを受けて山に籠もって瞑想(坐禅)に励んで己の心を見つめ直し、固まった体を動かせるようにリハビリを始めた。
その後、心身共に回復したティンは、自身が本当に歩むべき道を悟り、仏門の修行を積んで村で静かに暮らそうとする。
一方で、ラーチャセーナは毎晩のように見る悪夢と、耳元から離れない殺した王の呪いの言葉に苦しめられ、正気を失っていった末に裏切った呪術師の"鴉男"に惨殺され、悲惨な最期を遂げてしまった。
そうして彼の立ち上げたガルーダ王朝を乗っ取り、権力を手に入れた鴉男の魔の手が、ティンの住む村へと伸びる。
余談
本作の最終局面において、時間が巻き戻されるような描写があり、仏教に関する理解が無い人にはよく「魔法のような力で時間を巻き戻した」と誤解されている。
しかし決してそういう描写ではなく、あれは仏門の修行を積んだティンが、仏教における悟りの境地(正覚)に達し、強い怒りや憎悪といった負の感情に支配された際の結末を予期した描写であり、厳しい修行によって悟りに達した者の物の見え方や捉え方を映像で現したものである。