概要
明治の終わりから大正時代初めにかけて、近世国史を補足するために市井の人々の様子が書かれた随筆集などをもとに編纂された『近世風俗見聞集』の「月堂見聞集」(本島知辰選)に記載されている怪魚。
この見聞雑録集によると、正徳2年(1712年)3月中旬ごろに江戸深川に現れ、網にかかって捕らえられた後に江戸城に献上されたものであるという。
体長は七尺(約2.1m)で、長さ七寸(約21㎝)の鼠色の毛に覆われており、鼠顔で赤目、尾は燕のように二股に分かれていた。
一説によるとこの怪魚は、江戸湾(東京湾)に迷い込んだアザラシやラッコなどの北方の海獣で、万歳楽という雅楽の曲名でもあるとても縁起の良い名をつけたのは、江戸に逗留していた公卿の近衛基熙であるといわれる。
この妖怪はツイッターの伝承妖怪お題絵において、平成27年11月のお題として出され、妖怪絵師によって新たな姿が与えられた。