概要
ツイッターの妖怪紹介bot『瓶詰妖怪』 https://twitter.com/#!/bottle_youkai より月に一度、選ばれたお題から、皆様が思い思いの妖怪を描く企画です。
選ばれる妖怪は基本的に形の存在しない、またはこれまで水木しげるなどによる、有名な絵がないものが選ばれます。絵の上手下手に関わらず、それぞれの思うままに姿を与えてください。
描かれた妖怪画は、お化け大学校SNS「化け大倶楽部」のコミュニティにも纏められています(http://obakedai.jp/sns/?m=pc&a=page_c_home&target_c_commu_id=53)。
ツイッターのハッシュタグ #伝承妖怪お題絵 もあります。
※お題の提供は平成27年12月をもって4年間の歴史に終止符を打ったが、興味がある絵師はこのお題にある妖怪画を是非描いていただきたい。
注意
・妖怪画は二次創作ではなく、一次創作でお願いします。
・お題は月毎に変わりますが、過去のお題の絵を描いても大丈夫です。
これまでのお題(24年)
平成24年1月 アカデンチュウ
赤殿中【アカデンチュウ】:徳島県鳴門市に伝わる。赤い殿中(袖なし羽織)を着た子供に化ける狸。道行く人に背負ってくれとせがみ、背負うとあしをばたばたさせて喜んだという。
(笠井新也『阿波の狸の話』など)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年2月 オイガカリ
覆い掛かり【オイガカリ】:広島県比婆郡に伝わる。歩いていると後ろから覆いかかってくるという。
(柳田國男『妖怪談義』)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年3月 シッケンケン
シッケンケン:長野県諏訪郡に伝わる。雪の中に現れる女で、出会った人を紐で縛ってしまうという。片足飛びで移動することからこの名前がついたといわれている。
(『綜合日本民俗語彙』など)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年4月 ヒトリマ
火取り魔【ヒトリマ】:石川県江沼郡に伝わる。蟋蟀橋(こおろぎばし)近くを通ると提灯の火がスーッと消え、通り過ぎるとまた灯るという。
(『民間伝承』三巻九号、柳田國男『妖怪談義』など)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年5月 イデモチ
イデモチ:熊本県球磨郡に伝わる。さかま淵の主で、腹にある吸盤で人を取り殺すという。淵の底に障子が立ててあって、その中にいるともいう。
(『綜合日本民俗語彙』)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年6月 ヨバシリ
夜走り【ヨバシリ】:山口県阿武郡相島に伝わる。海上で船が白帆を捲いて走ると、向こうも走ってきてこちらを惑わすという。灰を撒いて音を立てると消えるという。「夜走り」という意味か。
(瀬川清子『旅と伝説』通巻一三〇号「相島日記」)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年7月 オトンジョロウ
おとん女郎【オトンジョロウ】:鳥取県気高郡の立見峠に伝わる。よく人を化かした女狐で、よく「おとみ」という女郎に化けたことからこの名がついたという。助けられた恩返しに、女郎に化けて京都に売られていったという逸話もある。桂蔵坊の妻ともいわれている。
(佐藤清明『現行全国妖怪事典』など)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年8月 ママオッカ
ママオッカ:千葉県佐倉市に伝わる。空の唐箕を廻すと出るという恐ろしいもの。「鬼が出る」ともいわれる。
(『佐倉市史 民俗』)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年9月 ヌノガラミ
布がらみ【ヌノガラミ】:青森県三戸郡田子町長坂に伝わる。長坂にある布沼の主といわれ、布に化けて沼のほとりの垣根にかかり、それを取ろうと近づいた人に絡み付いて沼に引き込んでしまうという。
(森山泰太郎、北彰介『青森の伝説』)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年10月 オクポ
オクポ:埼玉県日高町(現日高市)に伝わる。暗い大木に寝泊まりしていて、暮れ方になると鳴くという。子供がよく泣くとこれが来るという。オクポが聖天院で鳴くと人が死ぬが、向山で鳴くと晴れになり、いいことがあるという。
(日高町教育委員会『日高町史 民俗編』)
ツイッター@bottle_youkai より
平成24年11月 サンタツ
サンタツ:和歌山県伊都郡に伝わる。深山に棲む魔物であり、鼬の類であるともいう。猫に似て尾が長く、畑の茄子を取りに来るという。
(高瀬敏彦『郷土研究』四巻一号「紀州伊都郡俗信」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成24年12月 ススケジョーチン
煤け提灯【ススケジョーチン】:新潟県に伝わる。暑苦しく、雨の降る晩に、火の玉がフワリフワリと飛び回る。葬式の時の湯灌で使った湯の捨場から飛び出すという。
(『高志路』五巻十一号「地言葉と農民生活(三二)(送葬篇)」)
ツイッター @bottle_youkai より
これまでのお題(25年)
平成25年1月 シズカモチ
静か餅【シズカモチ】:栃木県芳賀郡に伝わる。夜中にコツコツと餅の粉を叩くような音が聞こえてくる。音が近くなると搗き込まれるといい、この時に箕を後ろ手に持つと財産が入るという。音が遠くなると搗き出されるといい、運が衰えるという。
(平島吾一『芳賀郡郷土研究報』一号「シズカモチの話」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年2月 ボーロ
ボーロ:大分県北海部郡海邊村に伝わる。村の中央にある椋の木の下の笹薮から、これがポーと出て丈高く立つ。下から見ると消えてしまい、伐ろうとしても切れないという。
(瀬川清子『民間伝承』五巻一号「怪異」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年3月 とりけ
とりけ:香川県の丸亀地方に伝わる。鉄道の踏切や川、池などで変死がよくあるのは、先にそこで死んだ者が離れずにいて、通りかかった者を誘うからだという。
(立花正一『郷土研究』七巻二号「讃岐丸亀地方の傳承」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年4月 オマク
オマク:オネキとも。岩手県遠野市に伝わる。生者亡者に関わらず、怨念や愛着恋慕の情が凝結して、形や声をなすという思想。幽霊とは別物とされている。
(柳田國男『遠野物語』、佐々木喜善『遠野のザシキワラシとオシラサマ』)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年5月 ナワノウレン
縄簾【ナワノウレン】:京都に現れたという。雨の降る夜に、ある所を通ると、何かが顔にかかって進むのを妨げてくる。無理に通ると後ろから傘の「ろくろ」の部分を引き止めてくる。これもやり過ごすと何もなくなるという。
(高古堂主人『新説百物語』)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年6月 ムチ
ムチ:高知県高岡郡黒岩村に伝わる。田の上でムチを振り回すような音で強い風が吹き、これに当たると病気になるという。
(『綜合日本民俗語彙』など)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年7月 マコ
麻姑(原文は「魚+摩・鮕」)【マコ】:神奈川県横浜市金沢区に現れた。流圓坊という僧の元に海から二匹で現れ、よく懐いたという。体のどこかが痒いと思うと、口にせずとも察して、気持よく掻いてくれたという。(井原西鶴『西鶴諸國ばなし』)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年8月 ニシヲカムイ
ニシヲカムイ:北海道石狩市浜益区に伝わる。夏の夕暮に、海から怪物が上陸し、山の方に行ってしまった。海にいた時は黒ずんだ物に見えたが、上陸すると風のようにその形を捉えられなかったという。特に害はなかったという。
(深瀬春一『旅と伝説』三巻十号「松前怪談十種」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年9月 クネユスリ
くね揺すり【クネユスリ】:秋田県仙北郡角館町に伝わる。クネとは生垣のことで、これを揺らして音を出すのだという。
(武藤鉄城『旅と伝説』通巻一二七号「音と民俗」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年10月 シラミ
シラミ:愛媛県北宇和郡下波村に伝わる。死んだ者の霊が夜の海に白く光って泳いでくることがあるという。漁師はこれを馬鹿と呼ぶが、もし馬鹿と言っているのが聞こえると、怒って櫓にすがるなど散々な目にあわせるという。
(桂井和雄『旅と伝説』十六巻二号「七人みさきに就て」など)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年11月 オラビソウケ
オラビソウケ:長崎県北部、佐賀県北西部に伝わる。山でこの怪物に遭い、おらびかけるとおらび返すという。オラブとは大声で叫ぶことであるが、ソウケの意味は不明。山彦とは違い、山響きというらしい。
(柳田國男『妖怪談義』など)
ツイッター @bottle_youkai より
平成25年12月 イゲボ
イゲボ:三重県度会郡に伝わる。鬼火のこと。
(柳田國男『妖怪談義』)
ツイッター @bottle_youkai より
これまでのお題(26年)
平成26年1月 オウエドリ
負うえ鳥【オウエドリ】:島根県隠岐島に伝わる。「負われる負われる」と嬰児のような声で鳴く怪鳥で、その姿を知るものはないという。またとても重く、これを背負って立ち上がると金持ちになれるともいわれている。
(『綜合日本民俗語彙』、『日本妖怪変化語彙』)
ツイッター @bottle_youkai より
平成26年2月 ガランサマ
伽藍さま【ガランサマ】:岡山県に伝わる。どこの寺にも境内の何処かにガランという妖魔がいるという。ひどくもの吝み(おしみ)するもので、挿歯(足駄)をはいて付いた土すら吝む程なので、寺は決して歯下駄をはいて入るものではないとされている。
(嶋村知章『岡山文化資料』二巻三号「妖怪雑輯」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成26年3月 仲西
仲西【ナカニシ】:沖縄県に伝わる。モーイという者が夫の洗骨をしていた女を助けた所、恩返しを受けることになった。城への急用の時「なかにしへーい」と呼ぶと、牛の姿となって城へ連れて行ったという。
(伊芸弘子『沖縄・首里の昔話』、金城朝永『郷土研究』五巻二号「琉球妖怪変化種目(一)」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成26年4月 スマブクロ
スマブクロ:静岡県熱海市下多賀に伝わる。スマブクロとは脱穀したスマ(フスマ)を入れる麻袋のこと。夜磯(夜の干潮時に磯で採集すること)をすると、自分にかぶさるようにやってくるという。
(木村博『民間伝承(六人社)』四十五巻二号「伊豆の妖怪譚」)
ツイッター @bottle_youkai より
平成26年5月 ヤツカハギ
八束脛【ヤツカハギ】:群馬県利根郡水上町湯ノ小屋に伝わる。尾瀬に住むが、オオユウ(大きな洞穴)を中宿にして、各地で悪事をしたという。オオユウの奥へ藤のつるを伝って出入りしていたので、奥に入った所でつるを切られ、外に出られずに餓死したという。
(『群馬県民俗調査報告書13 水上町の民俗』)
ツイッター @bottle_youkai より
平成26年6月 ドウサイ
ドウサイ:岐阜県大野郡丹生川村に伝わる。ドウサイとは蟇のこと。山小屋で夜を明かす杣人たちの所に、行灯の灯で糸車を回す美しい女に化けて現れたという。行灯を鉄砲で撃つと、目に弾が当たったドウサイが死んでいたという。
(新田貞子『ひだびと』四巻六号「飛騨の昔話と傳説 丹生川村の昔話」)
平成26年7月 クサビラ
クサビラ:奈良県吉野郡上北山村に伝わる。麦藁帽を被った子供のような姿で、重さは七、八貫ほどもあるという。楢の木の根返しの所などに現れ、夜は青い光を放って驚かすが、恐ろしいものではなく、声も出さないという。
(高橋文太郎『山と人と生活』)
平成26年8月 ビシャガツク
ビシャガツク:福井県松岡に伝わる。冬のみぞれが降る夜道を歩いていると、後ろからビシャビシャという足音が聞こえてくるという。これを「ビシャがつく」と呼んでいた。
(『南越民俗』三号「松岡附近の傳承」)
平成26年9月 アゼハシリ
アゼハシリ:佐賀地方に伝わる。稲荷や死霊などを呼び出す時に、全然関係ない、位のない狐や狸が出て、のりうつられる者が妙な恰好をすることがあるという。この位のない四つ足をアゼハシリと呼ぶという。
(宮武省三『民族と歴史』八巻一号「諸国憑物雑話十二則」)
平成26年10月 メラ
メラ:福岡県八女郡串毛村に伝わる。泣き声が赤子そっくりだが赤子の形はしていない。髪が長く山中を歩きまわる際に樹木に髪が引っかかるので泣くのだという。
(高橋文太郎『山と人と生活』)
平成26年11月 ホオナデ
頬撫で【ホオナデ】:山梨県南都留郡に伝わる。暗い小道を通ると、青白い手が暗闇から現れて頬を撫でるという。
(伊藤堅吉『道志七里』)
平成26年12月 オンボノヤス
オンボノヤス:福島県に伝わる。深山幽谷には天狗の他にオンボノヤスがいて、霧を吹いてくるので用心しなければならないという。
(蒲生明『民間伝承』五巻十号「妖怪語彙」)
これまでのお題(27年)
平成27年1月 イクチ
イクチ:茨城県の外海に現れた。体の太さはそれ程でもないが、長さが数百丈もある魚であり、これが船の上を通り過ぎる時に体から油を夥しく落とし、掻き出さなければ船が沈んでしまうという。
(津村正恭『譚海』)
平成27年2月 ナナカマス
ナナカマス:兵庫県城崎郡竹野町奥須井に伝わる。四国から遊びに来ていたお姫様が“ななかます”と呼ばれる海で溺れ死んだ。それからその海を船が通ると亡霊が「伊予や讃岐の者なれど今は住む住むななかます」と悲しい声で歌ったという。
(『但馬海岸 但馬海岸地区民俗資料緊急調査報告書』)
平成27年3月 サエゾボン
サエゾボン:富山県砺波市に伝わる。サエゾとは腸チフスのことで、これが重症の時には病人の足許に沢山のボン(坊さん)が来て体を押さえたり揺すったりしているという。気力でこれを追い払えれば恢復するという。
(林宏『とやま民俗』通巻十一号「砺波地方怪恠譚(二)」)
平成27年4月 チリモヌ
チリモヌ:ザヒモンとも。鹿児島県奄美大島に伝わる。人が死んだ時に、死体の下に敷いたむしろなどに宿るという。また、これに股をくぐられると病気になってしまうという。色は薄黒く、尾は短く、豚の子のようで猫にも似ているという。
(名越左源太『南島雑話』)
平成27年5月 キンタカコウ
キンタカコウ:宮崎県東臼杵郡西郷村田代に伝わる。犬神のようなものだが位は高く、よく人に食らいつく。憑かれた者は風持ちと呼び、子供が憑かれると大人でも言えないような事を幾らでも喋るという。
(国学院大学民俗学研究会『年刊民俗採訪』昭和三十八年)
平成27年6月 カシコブチ
賢淵【カシコブチ】:宮城県仙台市に伝わる。ある男がこの淵で釣りをしていたら、小さな蜘蛛が淵から出て、男の足先に黒いものを付けていった。男がそれを柳の木に擦り付けると、木は倒れて淵に落ちた。すると淵から「賢い賢い」と声がしたので、この名が付いたという。
(『綜合日本民俗語語彙』)
平成27年7月 フクマカブセ
フクマカブセ:滋賀県甲賀郡信楽町多羅尾に伝わる。道を歩いていると、ふっと目の周りが暗闇になるが、これはフクマカブセにカブセラレタのだという。これは川べりや橋のたもとにいるもので、白い布のようなものをかぶせるのだという。
(国学院大学民俗学研究会『年刊民俗採訪』昭和三十七年)
平成27年8月 デエデエボウ
デエデエ坊【デエデエボウ】:山形県羽黒山に伝わる。雪の上に飛び飛びに大きな足跡が付くことがあり、一本足の巨人が通った跡だと考えられた。
(戸川安章『旅と伝説』通巻一九三号「羽黒山夜話」)
平成27年9月 ニタンバエ
二反生え【ニタンバエ、ニタンハエ】:鹿児島県志布志市中川内に伝わる。地面から二反ほどの反物が生えてくるので、その近くには住まなかったのだという。元はそこの地名だったともいう。
(山田奨治『民俗採訪』昭和六十三年度号「ニタンバエ」)
平成27年10月 サイノカミノヨナベテツダイ
塞の神の夜業手伝い【サイノカミノヨナベテツダイ】:大阪府泉北郡上神谷に伝わる。夜に機を織る音が聞こえる。それは塞の神がよなべを手伝わされている音なのだという。また、塞の神は藁を打つともいわれている。
(小谷方明『五倍子雑筆』六号)
平成27年11月 マンザイラク
万歳楽【マンザイラク】:江戸深川に現れた。正徳二年三月中旬、体長七尺、総身鼠色、毛の長さ七寸で、鼠の如き頭に目が赤く、尾が二岐で燕の如き魚が網にかかった。江戸城に献上され「万歳楽」と名付けられた。
(本島知辰『月堂見聞集』)
平成27年12月 ニヲヒ鳥
ニヲヒ鳥:愛知県南設楽郡に伝わる。この鳥が病人のいる家を挾(さしはさ)んで鳴いたら、その病人は死ぬという。春秋の頃に人の呻くような声で夕方に鳴くともいう。姿を見せない。ニヲヒとは呻吟のことである。
(早川孝太郎『郷土研究』四巻五号「鳥に関する俗信」)