概要
大きさ50センチくらいの深海魚で、ワニトカゲギスに近い仲間。
下あごの先に長いヒゲのようなものを持っており、そのヒゲの先には発光器つき。というわけでチョウチンアンコウのようにこれを光らせて獲物を誘き寄せるのに使っているようだ。
ちなみにそのチョウチンアンコウと同じく、大きくてゴツいのはすべてメス。
オスはせいぜい10センチくらいのシラスのような小魚で、エサの少ない深海において繁殖の効率を高めるためにそうなったらしい(メスは卵を生むために大きくなる必要があるが、精子を提供するだけのオスは小柄でも問題ないという理屈)。
いっそ雌雄同体で相手さえ見つかれば繁殖可能というスタイルになればよりスムーズに解決しそうなものだが、きっちりオスとメスに分かれている辺りそれで問題ないのだろう。
ミツマタヤリウオの「三ツ又」
細長い体型はまっすぐ伸ばせば槍に見えなくもないが、こいつの幼魚は左右にとんでもなく目が飛び出ており、それを三本刃の槍に例えて名付けられた。
デメキンどころかシュモクザメも真っ青なぶっ飛びぶりで、真っ白なカラーと合わせて魚というよりも何かの寄生虫とかワーム系生物のような印象を抱かせる。でもれっきとした魚なのだ。
オスとメスですら全然違うところに加えてこれなので、「これだけ違うんだからさすがに別種だろう」と思われていたこともあるそうな。
ちなみに
このミツマタヤリウオのように親子(幼魚↔成魚)やオスとメスで容姿・体色が大きく異なる魚は少なくなく、特にコブダイなどのベラ科の魚は同じ種類のオス、メス、幼魚が別々に分類されていたケースがしばしばあった。ベラ類は成長すると性別が変わるので、それで余計に混乱を招いたのだろう。
他にはキンチャクダイの仲間やマンボウ、ハナヒゲウツボ、チョウチンハダカにボウエンギョ等が該当し、特にマンボウ、チョウチンハダカ、ボウエンギョはミツマタヤリウオ同様「成魚と幼魚で体型そのものがまったく違う」タイプ。
ただしマンボウの成魚はオスメス問わず姿はほぼ同じで、あとの2匹はそもそも雌雄同体なので区別がない。成魚↔幼魚、性別の両方で体型自体が極端にかけ離れているというのは珍しいようだ。