概要
2022年7月18日に大阪市より正式に発表された、2025年開催の大阪・関西万博公式マスコットキャラクター「ミャクミャク」に対する敬称(?)。
以前からマスコットキャラクター自体は発表され、多くの人々に周知されていたが、正式名称は決定しておらず、大阪万博のロゴであるいのちの輝きくんの名前で多くの人々に受け入れられていた。そんな中、公募された中から正式な名前がミャクミャクに決定。
しかし、発表されるや否や、Twitterユーザーをはじめとして、数多くの人々から何故か発表直後から「ミャクミャク様」と様付けで呼ぶ事例が多発し、そのままTwitterのトレンド入りしてしまう。それどころか、翌日の7月19日にはミャクミャク様がトレンド1位を取り続けると言う事態にまでに至った。
ネットの反応
特に多くの人々の心を掴んだのが、その名前の響きである。
ミャクミャクと言う名前自体は、恐らくは「脈々と受け継ぐ」と言った慣用句からついた名前であろうことは推察できるのだが、それ以上にその形容しづらい独特な印象の響きから、土着信仰の神様のような印象を与えるとして、数多くのネット民の話題に上がった。
何より、元々発表されていたいのちの輝きくん自体が名状し難い姿をし、自由に姿を変えることができると言う設定があったことから、その名前と設定が合わさって、新種の妖怪の様な印象を受けたことから、急激にこの名前が広がった。
また、民間信仰の一つであり、中部地方で主に信仰されているミシャグジ様や、都市伝説で有名な八尺様と語感や響きが似ていることから、怪異や都市伝説的な怪物の様な印象を与えることもこの名前が広まった一因とも思われる。
存在しない物語
特に今回の一件で興味深いのが、多くのネットユーザーの間で、存在しないはずのミャクミャク様の説話や都市伝説が次々に作られ発信されていることである。
主に、田舎の片隅で密かに伝えられていた物語を子どもたちが知ると言った体で多くの物語が作られる傾向にある。また、話のバリエーションが非常に多く、ミャクミャク様は人間を襲おうとしていると言った系統で作られる話と、真逆のミャクミャク様は人間を守ろうとしていると言う二つの方向で話が作られていたり、ミャクミャク様の漢字表記を考えたり、いのちの輝きくんとの繋がりを考えようとしたりと、様々な話が作られている。
中には、いのちの輝きくんだとマッドサイエンティストの失敗だが、ミャクミャク様だと土着信仰を引っ張り出した感じがあると言った様に、言葉の印象からミャクミャク様についで考察を深めようとする者もいる。
単なる一イベントのマスコットキャラクターでしかないはずの存在が、名前を得ただけでここまで多くの人々に受容されるのは、非常に珍しい現象であると言える。
新たな友達?
大阪万博でバビリオンを建設する国の一つであるチェコ共和国はパビリオン独自のマスコットキャラクターとして「RENE(レネ)」を発表した。
このレネはチェコの伝統工芸品であるガラス細工がモチーフなのだが、何を考えたか全身黄色で触手のような足、ミャクミャク同様球体の突起に目のようなものが不規則に配置されているという一見クトゥルフや地球外生命体めいたおぞましい姿をしており(かろうじて人型の姿を得たミャクミャクの方が少しマシに見えてくる)、万博の不気味さがより一層深まってしまったと注目された。
余談
ミャクミャク様のように、特に信仰や宗教と関係のない存在が神様の様に崇められる現象には前例がある。それが、日本SF大会に存在するモノリス大明神である。
詳細は割愛するが、モノリスと呼ばれるオブジェクトをいつのまにか多くの人が崇める様になっていたと言う話である。
この現象は、神とは何か?と言う命題を考えるにあたってよく例として挙げられるが、今回のミャクミャク様も科学の祭典とも言える万博のマスコットキャラクターであり、どう言う形であれ科学にまつわるイベントで似たような現象が起こると言うのは、興味深いものがある。
「ミャクミャク様」と呼ばれている事に対して、開催地大阪の府知事・吉村洋文は「僕はフレンドリーにミャッ君って呼びますが」と会見で話していた。