概要
トンボ目ムカシトンボ科に属する種で大きさは5㎝ほどとトンボの中では中型に相当する。
名前にムカシとつくように原始的な形質を残した生きた化石であり、形態的遺存種と地理的遺存種の両方の側面を持つ生きた化石の中でも珍しい種類でもある。
原始的な特徴としては2対の翅の長さがすべて均等であること、ほかのトンボが翅を開いたまま枝などに止まるのに対し、ムカシトンボは翅を閉じて止まるという点。
主にきれいな水のある環境に住んでおり、ほかの種と違って水中ではなく水辺にある草に卵を産み付ける変わった繁殖方法をとっており、孵化したヤゴは飛び跳ねながら水の中に入って水中生活を始める。
そのヤゴの期間もかなり長いようでほかの種がトンボになるまで長くても5年ほどなのに対し、
なんと最長で8年も掛かるほどである。
また成虫になる1か月ほど前になると上陸して川辺の落ち葉の下で過ごすという点も他の種にはない生態だがそれ故に環境破壊には極めて弱く、絶滅が危惧されている。