特徴
物語は前作ヨゾラノ星の最終回から1年後の昭和22年4月、共学化により女学校へ男子生徒が編入する場面から物語は始まっている。
作者のS.SHIMIZU氏は個人的こだわりから8月6日になると広島原爆に関連した作品を投稿しているが、本作も第1話が2018年の同日に投稿されている。また、第2話は長崎に原爆が投下された8月9日に投稿されており、原爆の日に投稿されるスタイルは前作と同様である。なお、第3話以降は完成次第随時投稿(8月6日は必ず投稿)されている。
作者の私生活の都合による休止や最強の継承者との平行執筆もあり連載期間が前作の1年半から本作では3年半を超え、話数も前作の14話(間話含む)を超える16話構成となっている。
登場人物
主要人物・キャラクター
- 滝田星(たきた せい)
前作に続き本作の主人公で、広島光明高等女学校の3年生。背が伸び、左顔の火傷を隠すため左側のみ髪を長くしている。詳細については滝田星を参照。
- 川島幹治(かわしま かんじ)
陵南中学校の級長。本作の第1話にて共学準備のため他の男子生徒と共に広島光明高等女学校へ編入してきた。戦時中は愛国主義者で、中学卒業後は入隊を志願しようとしていた。
新聞社付近(中国新聞社のことであれば、爆心地から1km程度の八丁堀付近)で被爆し、背中に大火傷を負ったため復学が遅れ、星らより1つ年上である。また背中にはガラス片が多数刺さっていたがその後取り出されている。男子側のプライドから当初は女子生徒側と対立していたが、絡まれた星を助けたことをきっかけで打ち解けるようになる。
家族は母親(佐知代、さちよ)と13歳の弟(功児、こうじ)、8歳の末弟(健次、けんじ)がいる。父親は戦没しているが、母親の兄も家族の面倒を見ている。
夏頃に背中に残ったガラス片を除去する手術を行なったが、秋頃から体調に異変をきたし始め、学園祭終了後に眩暈を起こし入院。白血球数が異常に増える白血病と判明する。
- 奥田栄吾(おくだ えいご)
※前作では「奥田大尉」であったが本作では「奥田社長」と表記する。
元陸軍大尉で、戦後は運送会社へ勤務していた。容姿は相変わらず怖く、大尉時代を知っている女学生からは怖がられているが、復員したことで性格は割と丸くなっている。弟が復員してからは戦後復興のためヤミ屋で蓄えた資金を元手に奥田運送を設立。田原東山と再会してからは被爆者救済も行うようになる。詳細は奥田栄吾を参照。
- 黒田夕子(くろだ ゆうこ)
前作に続きパンパンを稼業とし、星とよく会っている。パンパンの縄張り争いに巻き込まれ、キヨに絡まれたところをフミの機転で逃がされ、娼婦活動ができなくなったところで一銭食堂(お好み焼き屋)の女将と出会い、自身も一銭食堂を始める。詳細は黒田夕子を参照。
- 田原東山(たばら とうざん)
大正元年10月8日生まれ。元大日本帝国陸軍第27師団歩兵第3連隊の軍医で、階級は中尉。軍医時代には奥田社長と同じ連隊所属の戦友(その時は奥田社長も中尉だったので同じ階級。奥田社長が負傷し帰国した際大尉に昇進したが、田原は再開するまで知らなかった)であった。台湾からの復員を経て、戦後は故郷の広島市で外科病院を開業した。モデルは被爆者医療に尽力した原田東岷(Wikipediaより)。第13話で結成された被爆者医療を支援する「土曜会」結成も史実を基にしている。診察へ向かう途中に星を見かけ、火傷の治療に尽力するようになる。
- 塚田凛子(つかた りんこ)
昭和5年(1930年)6月1日生まれ。光明女子5年1組級長(現在の生徒会長的存在)で、演劇部の部長でもある。作中では学園祭の開催に奔走することとなる。詳細については塚田凛子を参照。
広島光明高等女学校生徒
新制度のため昭和23年より高等女学校から共学の中学校・高等学校へ改組される。
- 山本純子(やまもと すみこ)
前作では1年西組のクラスメイトとして登場したが、本作では星のクラスの級長として登場している。前作から髪型はほとんど変わっていない。
- 岡崎佳子(おかざき けいこ)
前作では1年西組の級長。前作から髪が伸び、お下げ頭となっている。陵南中学校の男子生徒からかなりもてる。本作では両親と姉も登場。
- 佐田絹子(さた きぬこ)
元4組級長。星らと同じクラスになったが元西組のメンバーとなじめず4組のメンバーとつるんでいる。1年3組の副級長だった市村十和子とは幼馴染で、元3組で生き残ったのが十和子ではなく星であったことが受け入れらず葛藤している。
- 長谷川哲代(はせがわ てつよ)
昭和5年(1930年)12月2日生まれ。凛子の級友。文芸部員。通称「テッちゃん」
陵南中学校生徒
元々は男子校で、共学化により広島光明高等女学校へ編入してきた。原爆および翌月に広島を襲った枕崎台風によって校舎が全壊したため、編入までは青空教室で授業を受けていた。
- 二宮優作(にのみや ゆうさく)
幹治と共に編入してきた男子生徒。メガネをかけており、「ニノ」の愛称で呼ばれている。被爆で父を失い、自身も左肩に裂傷を負っている。
- 和田山八郎(わだやま はちろう)
幹治と共に編入してきた男子生徒。ヒョウタンのような顔が特徴で、「ワッパ」の愛称で呼ばれている。ノリが良く、火星人の真似をしたりする。
- 木村(きむら)
幹治と共に編入してきた男子生徒。幹治が入院した時ニノやワッパたちと一緒に原爆ドームへ登り、鳥の卵を獲りに行く(現在と違い当時は原爆ドームは子供たちの遊び場であった)。
広島光明高等女学校・陵南中学校教師
- 藤巻平(ふじまき たいら)
広島光明高等女学校の英語教師。前作同様星のクラスの担任となっている。
戦時中は授業禁止となり、見かねた恩師によって師団司令部で捕虜の通訳をしていた。原爆投下日当日は午後からの出勤となり、爆心地から2.4km離れた千田町の借家でくつろいでいたところ忘れ物を取りに来た妻の福子と一緒に押入れで探し物をしていた時に被爆。家が完全に崩れず、また押入れに入っていた(さらに倒れたタンスが飛んできたガラス片から護った)ことで軽傷で済んでいる。
- 戸田良子(とだ よしこ)
大正15年(1926年)5月9日生まれ。星が3年時より赴任した国語教師。性格は天然で、世間知らずな部分がある。
- 真木武雄(まき たけお)
3年時より赴任した英語教師。元々は少尉としてマレー半島におり、英語の授業そっちのけで少尉時代の話をするため、生徒からは「M」と呼ばれ陰口を叩かれている。後述のナカタ中尉に取り入ってもらおうとするも用なし扱いされたり、奥田社長に対して尊大な態度をとるも元大尉と知ると慌て、その後きつく指導されるなどろくな目に遭っていない。
- 大河原功吉(おおがわら こうきち)
陵南中学校からきた教師。戦時中は「オニガワラ」と呼ばれるほど恐れられていたが、復員で戻ってからは平和主義者となっている。
- 山形作二郎(やまがた さくじろう)
体育科の教師で農作業の面倒を見ている。
- 山田廉造 (やまだ れんぞう)
広島光明高等女学校校長。被爆で重傷を負いながらも生存し、校長を続けている。
奥田運送関係者
第5話で奥田社長(元大尉)によって設立された運送会社。
- 伊藤大介(いとう だいすけ)
原爆により家族を失った戦争孤児。孤児院に入ることを拒み、広島駅前で靴磨きをしていた。奥田社長に気に入られ、会社設立を機に里子に入り面倒を見ている。
- 甚平(じんぺい)
前作最終回で星や夕子に絡んだところ奥田社長に叩きのめされたチンピラの一人。仲間2人と共にヤクザの鉄砲玉にされかけたところを奥田社長に拾われ、奥田運送設立メンバーになる。
なお、前作終了後の設定集では甚八(じんぱち)であったが作者のミスで名前が異なっており、前作中では名前が出てこなかったこともあり甚平が正式名である。
- 長介(ちょうすけ)
甚平と共にチンピラをしている背の高い人物。甚平同様奥田社長に拾われ、奥田運送設立メンバーになる。
- 五郎(ごろう)
甚平と共にチンピラをしている背の低い人物。甚平同様奥田社長に拾われ、奥田運送設立メンバーになる。
- 奥田栄造(おくだ えいぞう)
奥田社長の弟。復員するが荒廃化した広島に失望し酒と薬に手を出そうとしたところ兄である奥田社長に説教されたと同時に帰りを待って運送業を始めたことを告げられ、設立メンバーになる。
- 奥田明子(おくだ あきこ)
栄造の妻。前作最終回では栄造について奥田社長に相談していた。栄造と共に設立メンバーになる。事務担当。
- 斎藤文子(さいとう ふみこ)
外伝作品の上を向いて歩こうから登場していた娼婦で「フミ」と呼ばれている。富子に従事し、夕子を間接的に面倒を見ていたがキヨに絡まれた際「夕子は警察のスパイ」と言って一緒に暴行を加えたが、実は夕子を逃すための芝居で、「端まで潜って逃げな」と言いキヨにバレないよう川へ落とした。その後はキヨが逮捕されたことで足を洗い、丁度募集していた奥田運送の事務員となる。弟と妹がおり、面倒を見るためにパンパンをやっていた模様。
医療関係者
田原外科病院および土曜会のメンバー。
- 田原ツネ(たばら つね)
東山の妻で、東山より1つ上のため頭が上がらない。上安(現在の安佐南区上安)に住んでいる。
- 森下春江(もりした はるえ)
田原外科病院の看護婦長。田原の父親の病院でも働いていた。
- 藤岡
東山の恩師で、担当は内科医。学園祭の時に再会し、藤岡を慕う医師が集まった際東山に土曜会結成を進言する。
- 土田
土曜会メンバー。担当は眼科。被爆者と白内障の因果関係を報告する。
- 赤川
土曜会メンバー。担当は耳鼻科。被爆者が黒い爪が生えることを報告する。
- 殿崎
土曜会メンバー。担当は放射線診断。後遺症に対しレントゲン照射の治療を提案する。
- 松山
土曜会メンバー。担当は精神科。
- 赤川
土曜会メンバー。日赤勤務。
滝田家
前作同様商店を営んでいる。戦後はアメリカとの闇取引などで財を蓄える一方で、農地改革により田畑を接収されている。本作では光明高等女学校・陵南中学校が話の中心であるため、登場機会が減っている。
- 滝田精一郎(たきた せいいちろう)
星の兄。星の手術資金を捻出するため闇取引で蓄財する。
- 滝田松子(たきた まつこ)
精一郎の妻で、星の義姉。自分も通っていた光明高等女学校の共学化に反対で、同級生を連れて校長の元へ撤回のため訪れる。
- 滝田時生(たきた ときお)
精一郎の長男で、星の甥。漫画に夢中になり、母親の松子に怒られる日々を送る。
- 滝田光子(たきた みつこ)
精一郎の長女で、星の姪、時生の妹。相変わらず星の容姿には慣れていない模様。
- 月(つき)
星が被爆した日に広島市内で拾った猫。妊娠し、子供を三匹産む。
その他
- 仲井源蔵(なかい げんぞう)
田原外科病院を建てた大工。爆心地から2km離れた猿猴町(広島駅付近)で被爆し、左顔に大火傷を負っている。被爆者差別をしていた市外からの子供にお仕置きをしたり、資材不足で中止になりかけた文化祭の話を聞き、六助ら仲間と共に校長のもとへ押しかけに来た。
- 島内六助(しまうち ろくすけ)
源蔵とは子供時代からの友人でよくつるんでいる。常に煙草を咥えている。職業はヤミ屋。
- 岡崎典子(おかざき のりこ)
佳子の姉。爆心地から2.3km離れた広島地方専売局(JT広島工場を経て、現在はゆめタウン広島)で被爆するもほぼ無傷であったが、婚約者の家族の反対(爆心地付近にいたという虚言)を受け自暴自棄になっていた。しかし星の元気な姿を見て立ち直る。
- 佐田善吉(さた ぜんきち)
絹子の父親。戦地で両足を失い酒に溺れる日々を送っていたが、学園祭の星の元気な姿を見て改心。元々ソロバンの達人で、経理の仕事を始める。
- 藤巻福子(ふじまき ふくこ)
藤巻平の妻。原爆投下日は建物疎開をしていたが忘れ物があったため家に戻り、平と一緒に押入れで探し物をしていた時に被爆。平が覆いかぶさるように庇ったため無傷である。
- 反町喜代(そりまち きよ)
富子が岩国へ去った後横川から広島駅周辺へ活動を移した娼婦の棟梁。逆らった娼婦の顔をカミソリで傷つけることから「カミソリおキヨ」と恐れられていた。フミを僕にして逃げた夕子を見つけたら切り刻むと言っていたが、パンパン狩りで逮捕されて刑務所行きになった。
- 銃鉄(じゅうてつ)
村越組のヤクザ。常に拳銃を持っていることから甚平らに恐れられている。
- ジョージ・ナカタ
アメリカ駐留軍中尉。母親が日本人のため少し日本語ができる。広島光明・陵南の被爆生徒を検査するため校長を脅していた。
- 一銭食堂の女将
路上でお好み焼き屋を営業し、夕子にお好み焼きを与えたことで夕子はお好み焼き屋を始める。作り方などを夕子に教えていた。
1947年(昭和22年)12月7日に巡幸のため広島を訪れる。はだしのゲンと異なり、西錬兵場跡地での演説などが描かれ、主要人物が万歳三唱をするなど歓迎した描写になっている。
- 青井見空(あおい みそら)
昭和13年8月20日生。最終話で登場。星とは反対側の右頬に火傷を負っている。原爆で母を亡くし、伯母夫婦の家に引き取られている。原爆のデマや差別を恐れる伯母は見空を納屋で生活させて、学校へ通うこと以外は外出を禁止している。不良に絡まれたところを星が助け、彼女は変わっていく。