概要
ラム級仮装巡洋艦の1番艦。
数奇な運命を辿ったラム級姉妹だが、その中にあってその生涯は極めて地味である、
艦歴
1937年12月に王立バナナ専売公社所属の貨物船として就役。
1940年6月9日にエリトリアのマッサワでイタリア海軍に徴用され、仮装巡洋艦としての改装に入る。
翌日イタリアは第二次世界大戦に参戦する。これによりイギリスが押さえていたスエズ運河やジブラルタル海峡を通ることは出来なくなり、母国に帰れなくなってしまう。
もともと仮装巡洋艦への改装を前提とした設計で、マッサワにはそのための資材があらかじめ用意されていたこともあって改装は短期間で完了した。早くも8月には紅海へ商船攻撃に出撃したが、会敵はできなかった。その後は小型軽武装ということもあって、活発には行動していない。
やがて北アフリカ・東アフリカ方面の戦況が悪化し、紅海艦隊の備蓄燃料も枯渇したことから、司令部は通報艦、仮装巡洋艦と潜水艦を紅海から脱出させることにした。
前述の通り母国イタリアへの帰還は不可能だが、東に向かえば友好国である日本があるため、通報艦と仮装巡洋艦は日本を目指すこととなった。余談ながら、潜水艦は南フランスを拠点に通商破壊をしていたイタリア潜水艦部隊に合流し、中にはジブラルタル海峡を潜行突破してイタリアに帰還したものもある。
1941年2月20日に妹のラム2と通報艦のエリトリアと共にマッサワを出航し、怪しまれないように分散してインド洋への脱出を目指した。
ラム1も無事インド洋への脱出に成功したが、27日にモルディブ沖でイギリス海軍の軽巡洋艦リアンダーに捕捉される。
イギリス商船旗を掲げて偽装を図っていたラム1だったが、シルエットの特徴や武装を見抜かれ、警告射撃を受けてしまう。逃走不可能と悟って交戦に入るも、武装差の前に圧倒され、轟沈した。103名の乗員のうち2名が戦死し、艦長以下101名がリアンダーに救助された。
関連タグ
ラム2/エリトリア(通報艦):僚艦