概要
「九皇爺」とも。北斗七星を擬人化・神格化した七柱の星君に別の二神を加えた枠組みである事が多い。星神としての九皇大帝は「九皇星君」「北斗九辰星君」とも呼ばれる。
メンバーのバリエーション
九皇大帝のリストには複数のパターンがある。
- 北斗九星君
北斗七星に左輔星と右弼星を加えた「北斗九星」の神。
祀る例:太平古武廟(マレーシア・ペラ州タイピン)など
斗母元君の子供達とされる。「斗母元君の子である九柱の星神」という枠組みには別パターンもあり、そちらでは天皇大帝を長兄、紫微大帝を次兄とし、その下の弟達として北斗七星を挙げる(『玉清無上霊宝自然北斗本生真経(北斗本生経)』)。
三皇五帝として挙げられる上古の神・聖王達からなるメンバー。
祀る例:内杼斗母宮(タイ王国プーケット)など
- 反清復明の義士たち
清朝に反対し、明朝を復興しようとした運動家たち。なお、反清復明運動を率いた鄭成功も神として信仰されている。
伝説によると九義士は秘密結社「天地会」のメンバーである。彼等は閩南(福建省南部)にて蜂起したが敗北。海辺にて斬首刑に処され、その首は海に投げ込まれた。
その後、義士たちの死霊が祟りをなし、人々の夢の中に現れては香火でもって奉祀するよう求めた。当局に目をつけられることを恐れてそれに応えない者も多かったが、香炉を手にとり九つの火を点して神として祀る人々もいた。その後朝廷は九人を「九皇爺」に封じた。
皇舡(皇帝の船)でもって中国から送り出し、漂流ののち東南アジアに流れ着き、寺院で祀られるようになった(皇后花园天后圣宫facebookページ])。
祀る例:安邦南天宫(マレーシア・アンパン地区)など
北斗九星の神々として
『太上玄靈北斗本命延生真經』では北斗九星を神格化・擬人化した呼称として北斗第一陽明貪狼太星君、北斗第二陰精巨門元星君、北斗第三真人祿存貞星君、北斗第四玄冥文曲紐星君。北斗第五丹元簾貞罡星君、北斗第六北極武曲紀星君、北斗第七天關破軍關星君、北斗第八洞明外輔星君、北斗第九隱光內弼星君が言及される。
九柱のうち、北斗七星を司る七神は、生まれた干支ごとの人々の運命を左右する「本命神」としての性質を持つ。
神名 | 星名 | 現代天文学での天体名 | 本命星 |
---|---|---|---|
北斗第一陽明貪狼太星君 | 天枢星 | おおぐま座α星 | 子年 |
北斗第二陰精巨門元星君 | 天璇星 | おおぐま座β星 | 丑年と亥年 |
北斗第三真人祿存貞星君 | 天璣星 | おおぐま座γ星 | 寅年と戌年 |
北斗第四玄冥文曲紐星君 | 天權星 | おおぐま座δ星 | 卯年と酉年 |
北斗第五丹元簾貞罡星君 | 玉衡星 | おおぐま座ε星 | 辰年と申年 |
北斗第六北極武曲紀星君 | 開陽星 | おおぐま座ζ星 | 巳年と巳年 |
北斗第七天關破軍關星君 | 瑤光星 | おおぐま座η星 | 午年 |
北斗第八洞明外輔星君 | 左輔星 | おおぐま座g星アルコル | 言及なし |
北斗第九隱光內弼星君 | 右弼星 | 対応する天体不明 | 言及なし |
九皇爺誕
中国の旧暦(農歴)の9月1日から9月9日までが誕生日とされ、「九皇爺祭」[九皇誕」「九王爷诞」「九王誕」「九皇節」「九皇大帝聖壽」と呼ばれる生誕祭が執り行われる。
タイ王国のプーケット県の華人の信仰に由来するという。
福州(福建省福州市一帯)やマレーシア、シンガポール、タイの華人コミュニティで開催される。
信徒は期間中、ベジタリアンの食事をとる。