曖昧さ回避
にじさんじのバーチャルライバーについては、『魁星(にじさんじ)』へ
概要
「魁」は日本語では「さきがけ」と読む漢字である。北斗七星のうちの一番目から四番目の星々、天枢(おおぐま座α星)、天璇(おおぐま座β星)、天璣(おおぐま座γ星)、天権(おおぐま座δ星)を柄杓(ひしゃく)の器の部分に見立てている。
天枢星の別名である「奎星(クイシィン、けいせい)」の名でも呼ばれる。道教神祇としての魁星は「大魁夫子」「大魁星君」の尊号を持つ。
勉強・勉学を司る文運の神とされ、科挙を志す学生達も彼を信仰し、主席合格者のことも「魁星」と呼ぶようになった。
科挙に合格した人は晴れて役人となり、上位の役人は皇帝の坐す宮中に仕える事になる。
唐や宋の時代において、皇帝の宮殿前の階段には中国神話に登場する大亀「鰲」の姿が彫刻された。
宮中作法に基づき皇帝からの呼び出しを受けた役人はこの階段を登る事になる。
この事から科挙に主席で合格する事を意味する四字熟語「獨佔鰲頭(鰲の頭上を独占する)」が生まれ、科挙受験者達が合格を祈る対象となった魁星も鰲の頭上で駆ける姿で描写されるようになった。
道教においては文昌帝君、朱衣帝君、孚佑帝君、関聖帝君と併せて「五文昌」と総称される。
図像表現
「魁」の字を部首に還元すると「鬼」と「斗」となり、「斗」は柄杓を指す字でもある事から、「柄杓の枡(ます)を持つ鬼」の姿でも表現される。
右足で鰲の頭を踏み、左足は駆け抜けるように宙を蹴る。鰲は現実の亀や魚に近い姿で描写される事もある。
鰲がもとになった龍頭の魚「鰲龍」「鰲魚(こうぎょ)」に乗る形もある。
枡以外の持物として筆などがある。枡(「斗」と書かれていることもある)を左足の上向きになった足の裏の上に乗せ、空いた手で道教の印相を結んだり硯や元宝(中国の古い貨幣)を持つ事も多い。
後述の『三侠五義』では、頭に二本の角を生やし、青い顔に紅色の髪を生やし、大きな口には鋭い歯がある。左手に銀錠(蹄鉄のような形状をした元宝タイプの銀貨)、右手に朱色の筆を持つ(头生双角,青面红发,巨口撩牙,左手拿一银锭,右手执一朱笔)と描写されている。
魁星印
明朝や清朝の時代、科挙受験者達が使う参考書に魁星を描いたハンコが押されており、それが江戸時代の日本に伝わると日本人も魁星印をつくって刊本に押印した。
フィクションにおいて
清代の通俗小説『三侠五義』の主人公・包拯(実在人物。北宋時代の政治家)は下界に生まれ変わった奎星という設定。その出自から幽鬼や冥界の判官から「星主」と呼ばれる。