概要
東方Project題材とした作品において、内容に仏教的要素、意匠等を含む作品に用いられるタグ。
「仏法」とは仏の説いた教えを指すものであり、「仏法Project」においては特定の仏法体系または特定の仏教的内部宗派ではなく最大公約数的な、広義の「仏教的要素」を指す。
例えば仏法的世界観における神仏の姿を模したものや仏具の数々、宗教絵画をベースにしたものなどの他、具体的な仏教的要素にアレンジを加えたいわば「仏教風」と言えるようなエッセンスを加味したものもあるなど、そのテイストは様々である。
仏教と東方Projectとのコラボレーションとも言えるだろう。
仏法にまつわる世界観はその長い歴史において多種多様な概念を生み出し、pixivと関連深いところにおいては、例えば文筆、絵画、造形、ストーリーその他の多面的な芸術的センスが今日も洗練され続けている。芸術性の側面からも世界中で愛されている世界観である。
「仏法Project」もまた東方Projectの二次創作にしてそういった多面的仏法的世界観へのアプローチのあり方の一つでもあるという両側面を備えるものであるが、それは必ずしも宗教的意匠には囚われない。むしろその根底に共通している芸術性を愛する心意気や、何かを表現したい想いという不易なるものこそが「仏法Project」にも入魂されている幹の部分である。
現在の幻想郷と日本の原風景
東方Projectには、古くから仏道を往き、メンバーには仏法にも関連する多様な神格の内の一柱を代理するもの(寅丸星)も在する命蓮寺の面々や、かつてはその教義を統治手段として利用した豊聡耳神子などがおり、積極的に広義の仏教と関わりをもってきた、あるいは今も関わり続けているキャラクターも複数ある。
仏教は日本においては渡来の後に多数の分化を伴いつつ従来の日本的宗教観と(時に政治的意図も交え)対立を繰り広げながらも、大勢としてはやがては融和した経緯をもつ。
幻想郷においても先の仏教的要素をもつキャラクターと日本古来の神々(例えば大和の神である八坂神奈子やそれ以前よりの土着の神である洩矢諏訪子など)が地理的にも遠くない場所に同時に存在しているという具体的な神仏習合が見られる他、守矢神社や博麗神社など、仏教以外の系統も同時に併存している。
『東方求聞口授』では幻想郷における仏教徒の代表者として聖白蓮がその仏法の考えの元で立場を異にする人物たちとも対談しているなど、それぞれの交流もある。
神奈子は星を「 商売敵っぽい 」(『求聞口授』)と評している他、『東方心綺楼』ではそれぞれの「宗教家たち」による直接的な人気集め競争も行われるなど相互に意識し合う間柄ではあるが、特に後者のケースではひと時のブームの後にはまたいつものそれぞれの生活に戻るあたりにも、根底に相互の共存をゆるやかに受け入れ合う気質を見る事ができ、それは今日の日本に至る大局的な歴史的潮流にも共有する部分がある。
さらにそれが後に能楽「心綺楼」としてデフォルメの加わったユーモアとして結実し受け入れられ、人気を博すなどの点からは、今日の幻想郷の懐の深さが垣間見られる。
この他、地獄や冥界などには全体のシステムも含め仏教的地獄と日本的黄泉の両側面も見る事が出来るなど、その原型を通しても東方Projectでは仏教的世界観を含めた様々なイメージがその解釈も加味してミックスされて世界観として構成されている様子を見る事が出来る。
加えて幻想郷の文化はその基が日本的文化であり、日本文化には習慣的・風習的にその生活に組み込まれた仏法に深く縁する仏教的世界観も息づいているため、キャラクターたちが意識せずに仏法的視点に由来する習慣を行っている可能性もある。
原作及びその二次創作における「東方Project × 仏法(仏教的要素)」は、今後も様々な可能性を拓いていくことだろう。