概要
三重県鳥羽市にある鳥羽港と、愛知県田原市伊良湖町にある伊良湖港との間を結ぶカーフェリー航路を運航している。
同区間は国道42号、および国道259号の海上区間を成しており、いわゆる「国道航路」のひとつでもある。
歴史
創業期から2010年まで
1964年に近畿日本鉄道(近鉄)と名古屋鉄道(名鉄)の大手私鉄2社が折半して設立した「伊勢湾自動車運送船」という会社を前身とする。同年から鳥羽~伊良湖間のフェリー航路の運航を開始。
1973年に現在の社名である伊勢湾フェリーに商号を変更し、1976年には鳥羽~師崎(愛知県南知多町)間の航路を開設するなど発展期を迎える。
当初の船舶の塗装はクリーム色とピンク色のツートンカラーであったが、1991年あたりから現在の「白地に水色の水玉模様」が入ったデザインに変更となっている。
2005年には中部国際空港の開港により常滑臨空都市が開発されることになったが、
この中部国際空港へのアクセスを狙ってそれまで運航してきた師崎航路の発着港を変更して常滑航路とした。
この航路は近鉄鳥羽駅発着の空港アクセスバス(三重交通が運行)を搭載して常滑に向かっていたものであり、鳥羽駅からバスに乗れば乗り換えなしで空港に行ける、というものだったが、思ったより利用率が伸びず2006年には減便、2007年には航路そのものが廃止されてしまった(同時に空港連絡バスも路線廃止)。
以後は鳥羽~伊良湖間の1航路のみで運航となるも、伊勢湾岸自動車道など高速道路を利用したマイカー利用やバスツアーに押されてこちらも減便するなどの憂き目にあい、
2010年には航路を廃止し、会社も清算すると発表されたのであった。
新生、そして現在
しかし地元自治体や利用者からは航路の存続を望む声が強く、協議を重ねた結果現在の経営陣と三重・愛知の2県、鳥羽市・田原市の2市が株式を取得(マネジメント・バイアウト)。
これにより地方自治体が出資となったため事実上の第三セクターに近い形態となり、同時に近鉄・名鉄両グループからは離脱し地元資本の企業として生まれ変わった。
現在は通常2隻体制、繁忙期は3隻体制での運航で、鳥羽~伊良湖間を55分で結ぶ。
現在の船舶
現在使用されている船舶はすべて内海造船瀬戸田造船所で建造されたものである。
- 鳥羽丸(3代目)
就航:1995年 総トン数:2410トン 全長:77.34m 幅:14.0m
旅客定員:490人 搭載台数:バスのみの場合14台、乗用車のみの場合52台、バイク15台
1993年に登場した「三河丸」の姉妹船である。三河丸のほうは常滑航路が廃止された2005年に海外に売船されたため、「三河丸型」では唯一の残存船である。
車いす対応のエレベータを完備。
- 知多丸
就航:2004年 総トン数:2331トン 全長:73.32m 幅:13.8m
旅客定員:500人 搭載台数:バスのみの場合11台、乗用車のみの場合43台、バイク10台
常滑航路開設に合わせて登場したバリアフリー対応の船で、現在の主力船舶である。
2隻を合わせて「知多丸型」とも呼ばれる。客室はボックス席とカーペット席がメインとなり、ラウンジ風に。
一方で特別室は鳥羽丸のそれを幾分簡素化したデザインとなっている。
- 伊勢丸(2代目)
就航:2005年 総トン数:2333トン 全長:73.32m 幅:13.8m
旅客定員:500人 搭載台数:バスのみの場合11台、乗用車のみの場合43台、バイク10台
知多丸の姉妹船であり、伊勢湾フェリーにおいて「伊勢丸」を名乗る船は当代で2代目となる。