解説
倉田龍子とは、河合克敏の柔道マンガ『帯をギュッとね!』の登場人物である。
粉川巧と杉清修、宮崎茂と三溝幸宏、斉藤浩司。そして近藤保奈美と海老塚桜子のヒロイン2人のクラス担任。担当科目は数学。
男子5人が立ち上げた浜名湖高校柔道部の顧問に担がれる。
「 私が顧問となったからには!必ずこのチームを全国一にしてみせる! 」
という宣言と共に、ぶったるんだ連載初期の浜名湖高校柔道部の面々に活を入れるため、竹刀を持って巧たちを追いかけ回す光景が日常茶飯事となった。
小学生の時に母親を亡くし、父倉田典善と二人で暮らしている。
そして、典膳は県警の柔道師範であったため、柔道素人の龍子は父の力を借りながら、部活運営をしていく。
典善とこんがらないよう、皆から「龍子先生」と名前の方で呼ばれている。
基本突っ込み役として、力強く部を運営をしていくが天然な面もあり、生徒と共にバカをやらかすこともしばしば…
例えば、県大会では遅刻した巧と清修を待って新幹線に乗り込んだが、乗り間違え逆方向の新幹線に乗ってしまった。
しかも、藤田恵まで巻き添えにした、藤田からは「このヒト、本当に先生なのか…?」と密かに突っ込まれてしまっていた。
しかし、この「緩さ」は時として救いとなる。生徒たちへの愛情は十分にあり、顧問として決める時は決める。
物語中盤からは典善の弟子である、県警の機動隊員「西久保」がコーチとしてチームに参加するようになった。
この西久保、現役時代は全国でも指折りの猛者であった男で、浜名湖高校柔道部の強化に大いに寄与するのだが、彼もボケる時は激しくボケる。
(例:インターハイ出場の際、生徒を会場へ運ぶためのバスをレンタルしそびれ、警察の護送車を持ち出したなど……バレたら減俸処分)
龍子は、西久保に対しては基本「激しい突っ込み役」となっていく。
そんな微妙な関係の二人であったが、ある時、西久保が柔道部の皆の前で「二人が深い仲であるような事(もちろん激しく誤解)」を口にしてしまった事から、関係が一転、互いを意識し始めるようになる。
やがて警察を辞め、浜名湖高校柔道部の専任コーチとなった西久保の尽力により、浜名湖高校柔道部が全国大会で優勝、日本一となる。
それは物語冒頭で龍子が宣言し、それこそ夢でしかなかった、冗談のような目標「チームの全国一」を叶えるものであった。
そして二人は結ばれ、最終回では夫婦で新たな世代の浜名湖高校柔道部を指導しながら共に歩んでいる姿が語られた。
余談だが、単行本の表紙を飾った際は「表紙の人は誰?」と全然読者に気付いて貰えなかったというエピソードがある。