解説
公安9課(こうあんきゅうか)は、『攻殻機動隊』に登場する架空の組織。
俗称は「攻殻機動隊」。課員や政府・軍部・警察関係者からは、「9課」、「攻機」とも呼ばれる。
内閣総理大臣直轄の公安警察組織であり、国際救助隊設立の名目で予算申請している等、非公開組織となっている。故に警察やその他の組織からはその存在は半ば都市伝説扱いされており、「S.A.C」では警察との合同作戦の際に機動隊員に「実在したのか」と驚かれている。
「犯罪の芽を事前に察知し除去していくこと」を目的とした攻性の組織であり、法に縛られない超法規的な権限と戦闘能力を有し、社会正義を実現するためには武力をもってこれを成し遂げることも辞さない非常に独立性の強い組織である。
国内での諜報・防諜活動、異常犯罪・サイバー犯罪・企業犯罪・政府内の汚職などの国民に与える影響の大きな犯罪の捜査、要人警護や警備任務、テロリズムの抑止・検挙、危険人物の暗殺などのカウンターテロといった汚れ仕事までこなすという一種の特殊部隊のような活動を行っている。
取り扱う事件や任務の性質上、解決しても真相を公表しない(というよりも公表できない)ことが多い。事件によっては警察及び電警との共同捜査や、自衛軍との合同任務を行うこともあるが、詳細を告げないまま所轄や当局から事件を横取りする形になってしまうこともあるため、現場の警察官などからはあまり良い感情を持たれてはいない。
メンバーは情報戦・電脳戦に精通しており、それぞれ最も得意としている分野が異なり、物理的な戦闘においても優れた能力を発揮する少数精鋭のスペシャリストで構成される。
便宜上、メンバーは民間の警備会社の社員となっているが、平時でも銃の携行や逮捕権などが認められており、状況や現場によっては公安や警察を名乗ることもある。
メンバーは引き抜きや推薦でのみ選ばれ、その後の訓練や試験の結果により正式にメンバーとなることが出来る。一応、チーフや隊長を務めるメンバーはいるが、基本的に課内は実力主義の階級無しであり、トップは課長の荒巻大輔の上に立つ内閣総理大臣のみ。
少数精鋭であるがゆえに組織的フットワークが軽く、機動力と即応力に長ける反面、実働部隊隊長を務める草薙素子の能力に大きく依存している面があり、組織としての層が薄く小さいために組織力が非常に弱いという欠点を持つ。原作版では素子を中心に既に出来上がっていたチームをそのまま引き抜く形で立ち上げられた「メンバーありきの組織」となっており、元から上記のような弱点は避けられない状態だった(※)。
戦闘面においては海自の秘密部隊「海坊主」から本部を襲撃された際には為す術無く圧倒されたことで、「攻めには強いが、防衛戦では脆い」という弱点が浮き彫りになり、諜報面でもゴーダ率いる「内庁」の様に数で大きく勝る組織力の強い相手には一歩及ばなかったり後手に回る事も度々あった。
草薙の失踪後の世界を描いた「SSS」では9課は大きく方針変更し、陸自や海自、警察の特殊部隊から選抜されたより抜きの人材や、優れたハッカー、幅広い情報網を持つ情報屋、捜査一課の優秀な刑事など、有望な新人を多く採用し、荒巻曰く「10の力で1つの事件を解決するのでなく、8の力で3つの事件を解決できる」大組織へと改編されていった。
多額の予算を有することから多種多様な銃火器、思考戦車、ティルトローター機、輸送ヘリ等の豊富な装備を有する。また、数少ない熱光学迷彩の使用を許可されている政府機関のひとつでもある。
給与はかなり良いらしく、メンバーは個人で複数のセーフハウス(隠れ家)や私用の火器を所有していたりする。が、任務内容のハードさに見合っていないのか、バトー達は時折冗談めかして「安月給」と零すことも。
「ARISE」では9課のメンバーがどの様にして集まり、いかにして公安9課が誕生したかについて描かれており「攻殻機動隊」誕生の秘話が判明する。
「SAC_2045」においては解散しており、トグサと荒巻以外は傭兵部隊「ゴースト」として民間傭兵会社から委託を受けて活動を行っていた。
しかし、突如出現した新人類「ポスト・ヒューマン」による電脳犯罪の阻止を目的として、内閣総理大臣の久利須・大友・帝都の密命を受けた荒巻によってメンバーを再招集して再び結成された。
ハリウッド版の「ゴースト・イン・ザ・シェル」においては総理直轄の対テロ部隊となっているが、スポンサーであるハンカ・ロボティクス社の意向を強く受けており、データ収集目的でミラが出向している。
※原作版では他組織との対立や標的にされる事態が起きていないので、組織としての欠点が問題になる事は無かった。というより、元々荒巻自体が政治的な派閥争いや官僚の縄張り争いに巻き込まれて即応性を失う事態を排除する為にそういった国内のゴタゴタに関わらないように極力努めていたのが原作版公安9課のスタンスである(そもそも原作版では直属の上司である内閣総理大臣がほとんど出てこない)。
主な課員
- 荒巻大輔 9課責任者。要人との政治的折衝、9課の作戦指揮を行う。
- 草薙素子 実動部隊隊長。前線や有事の際に指揮を執る。
- バトー 元レンジャー所属。電脳戦、白兵戦を得手とする。
- トグサ 元刑事。「SSS」や「イノセンス」では素子の代わりに隊長を務める。
- イシカワ 検索捜査や情報収集など情報支援を行う。
- サイトー 「鷹の目」を用いた精密狙撃を行うスナイパー。
- パズ ナイフによる白兵戦を得手とし、裏稼業とのつながりを活かしての捜査を得意とする。ボーマとコンビを組む事が多い。
- ボーマ 爆発物のスペシャリストで、仕掛けるのと解除する方両方を得意とする。
- アズマ
- 矢野
- ソガ
- ヒガキ
- プロト
- ジョン・スミス 「SAC_2045」に登場。NSA(アメリカ国家安全保障局)エージェントにしてポスト・ヒューマン対策局トップ。素子たち「ゴースト」にある作戦を依頼した他、後に再編された公安9課にアドバイザーとして派遣されてくる。
- 新人 PS1版ゲームに登場する主人公。フチコマ乗りとして電脳内に感覚統合を強化するデバイスを組み込んでいる。トグサと同じく元警察。