冬瓜
とうがん
冬瓜(トウガン)とは、ウリ科蔓性の一年草植物の一つである。学名Benincasa hispida.
英名:Winter melon/Wax gourd 別名カモウリ。
夏秋野菜なのに「冬瓜」と書くが、これは果実が保存性に優れていて、条件が良ければ冬まで保存できることから。
春、遅霜の心配がなくなった頃に種子を蒔き、夏~秋に果実を野菜として食用とするため収穫する。
性質は至って強健で、冬に腐った果実を畑に放り込んで埋めておけばそこから芽が出て成長し、ツルを勢いよく伸ばして果実をつけるほどである。
果実は薄型もしくは溝のないカボチャ型で、普通大型だが近年は核家族化の世相を反映し、小型(小玉スイカくらいの大きさ)の品種も作られて出回っている。
名前の由来は夏~秋に収穫して冷暗所に保管しておくと冬まで保存できることから。英語名のWinter melonはここから来ている。
古くは京都の賀茂で多く栽培されていたためカモウリ(加茂瓜)の別名もある。ただし、カモウリの名の由来は、若い果実が柔らかな産毛に覆われることによるとすることもあり、根拠として江戸時代前期の本草学者・貝原益軒は自身の著書「大和本草」にて「カモはもうせん(毛氈)の和名なり(原文ママ)」と記述されていることが挙げられる。
日本には奈良時代ごろに中国(唐)から渡来したとされ、平安時代の「延喜式」という書物に「加茂宇利」の名称が見られる。
果実は熟すと表面にロウ質の粉を吹く(英語名でWax gourdとも呼ばれるのはこれが理由)。江戸時代中期の農業の教科書「農業全書」に「まだ白き粉を生ぜざるはとるべからず。早くもぎたるはくさりやすし」と記述されるように、よく熟させてから食用にしていた。
しかし現在ではその粉が農薬と勘違いされやすいため、近年市場に出回る品種は粉を吹かないように品種改良されている。
果実を煮て食べることが多く、中華料理では人気の食材で冬瓜の中身をくりぬき肉や野菜の多く入ったスープを入れ冬瓜と共に煮込むダイナミックな料理がある。
古くは果実を受粉から数日後に収穫し、丁仙瓜(ちょうせんうり)の名で漬け物にして食べることがあって、和歌山県では商業栽培していたことがあったが近年はほとんどなくなった。東南アジアや中国などでは、毛瓜(モゥクヮ)の名で今でも冬瓜の若い実を食用にする。調理方はキュウリと同じ。
種子は漢方で冬瓜子の名でおできや虫下しに用いられる。西洋医学でも果皮をワックスゴード(Wax gourd)の名で用い、冬瓜子と利用法はほぼ同じ。