概要
声:立木文彦
刀身は野太刀程度、身幅は日本刀と同じくらいの両刃剣で、柄頭には大きな紫色の珠が埋め込まれているのが特徴。
犬の大将が自らの牙を刀々斎に鍛えさせた鉄砕牙・天生牙と異なり、入手経路は不明だが冥加達と出会う以前から元々所有していた刀。
犬夜叉・殺生丸がそれぞれ持つ単体の鉄砕牙・天生牙を寄せ付けない程の圧倒的な力を持つ一振りだが、太古の邪な悪霊が憑りついており、大将と殺生丸以外の、特に本来どんな生き物よりも欲望と自我の強い人間が持てばたちどころに悪霊の強力な邪気に心身を支配され、自分以外の全てを滅ぼすまで何十年も殺戮を繰り返す悪鬼と化してしまう。
鉄砕牙・天生牙と合わせて「天下覇道の三剣」と呼ばれ、三界を統べる三剣の一つで、地界(冥界)を司る「地の刀」であり、一振りで百体もの亡者を呼び戻す事が可能。「天の天生牙、地の叢雲牙、人の鉄砕牙、この三剣を扱える者はこの世の覇者になれる」とまで言い伝えられている。
大将が刹那猛丸との闘いで命を落とした後、遺言によって鉄砕牙と天生牙それぞれ息子たちに渡るよう手配されたが、叢雲牙については何の遺言も残されていなかった。
扱いに困った冥加・刀々斎らによって、鞘に封印を任せて骨喰いの井戸に投げ込まれ、現代では日暮家の倉庫で眠っていた。
現代になって封印が弱まり、犬夜叉の右手と同化し再び戦国時代に持ち込まれる。犬夜叉を妖怪化させて暴れ回るが、殺生丸との戦い・かごめの制止の甲斐あって犬夜叉から離れる。
その後、雑魚鬼の身体を乗っ取ってこの世とあの世の狭間に跳んで殺生丸の左腕を回収、猛丸を復活させて鉄砕牙を持つ犬夜叉・天生牙を持つ殺生丸を迎え撃つ。
猛丸の身体を失った後も殺生丸の左腕で身体を作って冥界を開き、現世を飲み込もうとする。
鉄砕牙・天生牙による弱体化を受けてなおバラバラで挑む犬夜叉と殺生丸を相手に最後まで優位を崩さなかったが、トドメとして放った獄龍破を爆流破と蒼龍破に返されて敗北。悪霊も消滅し、殺生丸の左腕と共に冥界へと送られ封印された。
物語の最後に犬夜叉と殺生丸二人の父が現れ、兄弟が力を合わせて闘うことを願って敢えてこの刀について遺言で触れなかったことが仄めかされる。
原作終了後の未来を描く作品『半妖の夜叉姫』にも登場。
回想シーンに登場した大将が、『天下覇道の剣』同様の形で持ち歩いていた。過去の回想シーンでは、この刀を構え奥義を放つ姿も描写されている。
『天下覇道の剣』では大将の遺志が、原作と微妙に異なるニュアンスで描写されているのだが、『夜叉姫』ではそうした設定や叢雲牙の顛末が、どのように扱われているのかは不明(同作は原作・TVアニメと内容をズラした、独自の世界観で展開されているため、何らかのすり合わせが起きていることも考えうる)。
元ネタは天皇家に代々継承される秘宝にして三種の神器の一つとされる「天叢雲剣」。日本神話においてスサノオがヤマタノオロチを討った際にオロチの尾から発見されたと伝えられる。草薙の剣、草那藝之大刀とも呼ばれる。
能力
必殺奥義は黒い龍を思わせる邪気を纏わせ、それを衝撃波として放つ獄龍破。
叢雲牙に斬り殺された者は瘴気によって動く屍となって甦り、身体を切断しても動き回る。死体には瘴気が蓄えられ、弥勒の風穴で吸い込んだ際は彼の体が瘴気によって侵されてしまった。
対処には火で燃やす・破魔の矢・天生牙などが有効。
物理的な封印や破壊する事が実質的に不可能であり、冥界に送り込むことでしか封じる手段が無いが、弱点は鉄砕牙・天生牙と同時に闘うことであり、この二つがそばにあるだけで力が弱まる。
叢雲牙の鞘
声:肝付兼太
冥加や刀々斎とは古馴染。「700年位なら叢雲牙を大人しくさせられる」と言って封印を買って出るが、骨喰いの井戸を通ったことによって200年ほどで再び戦国の世に蘇らせてしまった。
七宝曰く「心がささくれている」。
臆病で無責任な上に物忘れも激しいため、刀々斎はおろか同じく臆病な冥加からも「役立たず」と言わしめている。