概要
帝都高速度交通営団(営団地下鉄)で使用されていた300・400・500・900形電車は営団地下鉄初のカルダン駆動車として登場し、丸ノ内線の路線開業時より運用されていた。
1988年より02系による置き換えが始まり、1996年までに運行終了となった。一部の車両は個人へ売却されたほか、旧形車置き換えを計画していたアルゼンチン・ブエノスアイレスの地下鉄「メトロビアス」へ譲渡された。また、301号車は「地下鉄博物館」にて保存・展示されている。
その後、ブエノスアイレス地下鉄で活躍していた584・734・752・771号車の4両を、古巣の東京地下鉄(東京メトロ)が買い戻して「動態保存」の形で残すことになった。このうち584号車は1957年に登場した当時の姿として、734号車は1996年に丸ノ内線を引退した当時の姿として、771号車はブエノスアイレス地下鉄活躍時の姿として、それぞれ復元作業が行われた。残る752号車はいわゆる「部品取り」。
ちなみにこの里帰りの際、あちらの港で出港待ちの間に大量の落書きを受けており、冗談抜きで下の画像のような状態で帰ってきた。この上金属も穴が開きまくっていたそうで、これを完璧に修繕してみせた東京メトロの本気度がうかがえる。
ブエノスアイレス地下鉄では、「安く買った中古の電車」のはずが異様に状態のいいことに驚き、「これは新車ではないのか?」と訝ったという。実際には注文通りの3~40年落ち中古車で、ただ日本の車両修繕が「予防修繕」なため故障する前に一定期間経過した箇所は直していたため、状態が保たれるというカラクリである。対して置き換え対象となった車両は、その時点で車齢60~80年でしかも照明が点かなかったりモーターが故障してたりと…そりゃ60年ほったらかしならそうなるわ。
形式別
300形
1954年の丸ノ内線開業にあわせ30両が製造された。両運転台車。
うち12両については編成の長編成化に伴い中間車へ改造された。
400形
1956年の路線延伸に伴い38両が製造された。両運転台車。
300形の自重が問題化したことから、軽量化への改良が行われた。また番号は下2桁が300形の続番で、431から始まっている。
500形
1957年から1964年までに234両が製造された。400形とは異なり片運転台車。こちらも番号は下2桁が300・400形の続番で、569から始まっている。
900形
1965年に登場した900形は編成の長編成化にあわせて18両が製造された。運転台のない中間車。番号は901から振り直された。