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概要

日本各地の伝承に伝わる巨大な坊主姿の妖怪

富山県長野県静岡県榛原郡上川根村(現在の川根本町)、鹿児島県の西部などに出現したとされるほか、鳥取県の徳尾にも現れたとされており、次のような話が残っているという。

その昔、大木が数多く茂り、昼でも暗い相撲の祖神・野見宿禰(のみのすくね)を祀る「徳尾の森」は、夜になると目の前で鼻をつままれても分からない程であった。

そして何時の頃からなのか定かではないが、誰いうともなくここを夜の12時~2時頃に3回通ると必ず大坊主化出現するという噂が立った。

この噂を聞きつけた鳥取藩の羽田半弥太(はたはんやた)という荒武者が、正体を見破ろうと「徳尾の森」へと赴き、夕方近くに森の近くの茶屋で夕食を取り、店の主人に化け物の正体を見破りに来たと話し、半弥太の身を案じつつも愛想よく送り出す主人を後にして半弥太は森の奥へと入っていき、森の奥に辿り着いた頃にはすっかり夜が更けていた。

生暖かい怪しい風と共に天を突く程の大きさを誇る大坊主が現れ、ランランに光る目で半弥太を睨みつけるが、彼が恐れることなく全く動じずにいると、拍子抜けしたのか大坊主は姿を消してしまった。

意気揚々と帰る半弥太は夕食時に立ち寄った茶屋に立ち寄ると、主人に大坊主が現れた時の話をした。「怪物の大きさは、このくらいでしたか?」「いや、もっと大きかった」「それではこれくらいで?」「いやいやもっと大きかった」「では、このくらいですか?」と主人が恐ろしい声と共に、森で遭遇した怪物よりもさらに大きな大坊主の姿に変わり、半弥太を睨みつけて来た。

流石の半弥太もそのまま気を失ってその場に倒れ、気が付く周りはただの野原であり、主人も茶屋も何もかも幻のように消え去っていたという。

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